見出し画像

一夜にしてカルト化したシネ クア ノン

「私を信用してください」と、パーカーはクランクルに告げた。「何度も同じようなことを経験していますから。私の次のニュースレターが発売されたあと、ものすごい数の電話がかかってくるようになります。…」

[引用: ワインの帝王 ロバート・パーカー (エリン・マッコイ著)]

マンフレッド クランクルは、ロサンゼルスでレストランを経営していました。

一方で彼は、「濃密でリッチ、際立って個性があり複雑、そして世界に二つとないワインを造ってみたい」との思いがあったそうです。そして、妻エレインとともに、シネ クア ノン (Sine Qua Non) を誕生させました。

しかし、当時は事業計画も事務所もなかったといいます。最初は、よそのワイナリーの設備を借り、購入したシラーから造ったとか…。

ついにクランクルは、ファーストヴィンテージ、1994年のシラー「Queen of Spades (クイーン オブ スペード)」を完成させたのです。

変わった形の瓶とラベルの中身は、熟度が高く、果実味たっぷり?!  数は、わずか100ケースで、レストランに売ったり、友人たちにも配ったそうです。
そして、クランクルは冗談のつもりで1本をロバート パーカーに送ったのです。

なんと、1週間ほどしてパーカーから電話があったそうです。
ワインをいたく気に入ったとのことでした。

その後、パーカーはワイン アドヴォケイトで称賛したようです。

シネ クア ノンの電話は鳴りやまず、一夜でカルト化するに至ったといわれています。

画像1

本日、このワインが売っているかwine-searcherで調べたところ、1カ所のみで、70万円弱で売られていました。

シネ クア ノンは、どのワインにも、一回かぎりの変わった名前がつけられています。レア度は増すばかり。

ワインの好みが似ていることはもちろんのこと、因習に立ち向かう性格のクランクルに対し、パーカーは個人的に心惹かれていたそうです。

生産者と友人同士になることを自分に許すとすれば、その相手はクランクルだろう 

[引用: ワインの帝王 ロバート・パーカー (エリン・マッコイ著)]

2000年以降は100点を連発し、現在ではアメリカNo.1ワイナリーになっています

追:
本日刊行された最新のRobert Parker Wine Advocateで、シネクアノンがあらたに赤白2つの100点を取得しました!大谷選手のようにNo.1独走です。しかも、Dryの白では初。赤については先月瓶詰めされ先週まで顧客に販売されていたもの。これで100点最多世界No.2に浮上です (100点最多No.1は同じくシラーで有名なローヌのGuigal)。いずれもどんなラベルかもわかっておらず、各々10月、2-4月のお披露目がとても楽しみです (赤はラベルなし1?!)。

(Photo by OC Gonzalez on Unsplash)

上記ストーリーは、ワインの帝王 ロバート・パーカー (エリン・マッコイ著) を参考にしました。

カルト化 (カルトワイン) については、以下をご覧いただければ幸甚です。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?