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読まされる空気。 〜映画『ワンダー 君は太陽』から学ぶ、フォローワーシップの突破する力〜

こんにちは。1日1本映画を観るため、定時退社を宣言しているQAZです。映画をヒントに、仕事や生活をちょっと良くしようというnoteの第二弾です(続いたことを自ら褒めるスタイル)。

今回は、映画『ワンダー 君は太陽』から「フォロワーシップって、思っていたより強い」と思った話を。

10歳のオギー・プルマン(ジェイコブ・トレンブレイ)は、普通の子には見えない。遺伝子の疾患で、人とは違う顔で生まれてきたのだ。27回もの手術を受けたせいで、一度も学校へ通わずに自宅学習を続けてきたオギーだが、母親のイザベル(ジュリア・ロバーツ)は夫のネート(オーウェン・ウィルソン)の「まだ早い」という反対を押し切って、オギーを5年生の初日から学校に行かせようと決意する。(公式サイトより)

『ワンダー 君は太陽』が、座右の銘になりそうなパワーワード連発ながら、安っぽい感動の押し売り作品になっていないのは、予告の印象とは異なり、主人公を取り巻く人々の「葛藤」も誠実に描かれているから。それは、世の中のフツウや理想とする自分と上手く折り合いをつけられない私達の物語でもあるから。

ただ、本作の真摯なメッセージに多幸感を覚えつつも、分かりやすい悪役を除けば絵に描いたような善人しか出てこない点と、経済・教養・人格面が高水準な家庭環境というチートな設定に、少しモヤモヤしたのは、単に私が捻くれている証明。

画像引用:http://wonder-movie.jp/

正しいことと親切なこと、選ぶなら親切なこと

そんなことはどうでもよくて、映画の中盤でオギーに親友ができます。その親友となったジャックがいじめグループの同調圧力に負けたことがきっかけで二人は仲違いし、オギーは再び無視や嫌がらせの対象となり、一人ぼっちに。

クラスメイトもオギーを遠ざけはじめるなか、彼に話しかけ、仲直りへの行動をオギーと親友に促し、クラスのなかにオギーと仲良くする楽しい「空気」をつくるサマーという少女が登場します。空気を変えるには元を正すのではなく、別の空気をつくることが効果的だと分かるエピソード。

ちなみに、オギー役のジェイコブ・トレンブレイが、サマー役のミリー・デイヴィスと卒業までにキスする奮闘を描いた下ネタだけで作った『スタンド・バイ・ミー』こと『グッド・ボーイズ』は、昨年一番笑った映画です。

最初のフォロワーは、単なるバカをリーダーに変える

閑話休題。10年ほど前にとても話題になった動画があります。「社会運動はどうやって起こすか」をテーマにしたデレク・シヴァーズ氏のTEDトークで紹介された映像です。

芝生の広場で一人の男性が奇妙な踊りをはじめます。周囲の人々がそれを奇異な目で見ているなか、一人の人物がその男性のそばに駆け寄り、一緒に踊りはじめます。しばらくすると三人目がやってきて二人目から踊りを教わり、一人また一人と踊りの輪に加わっていき、やがて大勢の人が踊る一つの運動体になってしまうというもの。

リーダーシップが過大評価されているということです。確かにあの裸の男が最初でした。彼には功績があります。でも1人のバカを リーダーに変えたのは、最初のフォロワーだったのです。全員がリーダーになるべきだとよく言いますが、それは効果的ではありません。

この動画を紹介したデレク・シヴァーズ氏は、リーダーシップで大事なのは最初のフォロワーだと言います。そしてリーダーは最初のフォロワーたちを対等に扱うことが重要だとも言っています。

カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授によると、組織成果のうちリーダーの影響力が及ぶ範囲は1~2割程度で、残りの8~9割はフォロワーの力に左右されるそうで、フォロワーシップの構成要素は「貢献力」と「提案力」なんだとか。従うだけではなく、主体性をもった提案力が必要というのは、“フォロワー”に持っていた印象からは意外な部分。

リーダーシップは重要である。だがそれは、今日リーダーシップとして喧伝されているものとは大いに異なる。

いわゆるリーダー的資質とも関係はない。カリスマ性とはさらに関係がない。神秘的なものではない。

平凡で退屈なものである。その本質は行動にある。

ピーター・ドラッカー

厚生労働省の調査によると「管理職に昇進したくないと考える一般社員」は日本で働く会社員全体の6割いるそうです。日本の社会では、強いカリスマ性を持ったリーダーに対してフォロワーが支持に従いサポートにまわる構図が、まず一番にイメージされているのかもしれません。

誰かの行動を支援したり後押ししたりするスタンスを基本に、その他大勢と結びつけるファーストフォロワーというリーダーシップでもいいじゃないと、この映画からあらためて思った中間管理職でした。

では、また。

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