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精神科 救急急性期病棟への入院 #17

※前回はこちらです


10日間お風呂無し 苦行です

翌朝。
目が覚めると外は明るくなっていて、時計を見ると朝の5時半。少し熱が下がった感じがして、体の痛みもずいぶんと和らいだ感じがする。

床頭台に置いてある体温計で熱を測ってみると37.6度。まだ熱はあるけど、昨夜から2度も下がっているのですごく楽。

朝の9時過ぎ、日勤の看護師さんが部屋にやってくる。2ヶ月以上も入院してるので、この病棟の看護師さんとはもうすっかり顔なじみです。

――おはよう〇〇さん。調子はどう? 眠れた?

けっこう寝れました。さっき測ったら37.6度まで下がってました。

――そう、良かったね。ご飯持ってきたよ。その前に血圧と体温測らせてね。

食欲は全くないので朝ご飯には手を付けられず、看護師さんからカロリーメイトのゼリーをもらいました。

――困難食に変えてもらおうか? ゼリーとかなら大丈夫そう?

はい、ゼリーならなんとか…

――じゃあ先生に相談してみるね。早くても今日の夜からとかになっちゃうかもしれないけど。

困難食というのは、コーヒー味のゼリーだったり、リンゴ味のゼリーだったり、バナナ味のゼリーだったり、だいたい4品ぐらいが全てゼリーでできた食事です。飲み物はアクエリアスをトロトロにしたようなゼリー状のものが付きます。

熱はまだ少しあるけど、普通に話せるようになってきたので気になっていたことをいろいろ聞きます。

――別の病院へ転院になったりするんですか?

熱も下がってきてるからこのままここで様子を見ることになると思うよ。

――何日ぐらい隔離ですか?

症状が出た日から10日間だから、ええと、、、(壁に掛けてあるカレンダーを見ながら)、この日までかな。

ああ、やっぱり…

――じゃあ、退院も延びますよね?(わかってるけど一応は聞いてみる)

そうね。来週の予定だったよね。少し延びちゃうね。

ですよねー
そうなるのわかってましたけど…

――お風呂って入れないですか?

お風呂はちょっと対応できないかな。ごめんね。歯ブラシはあとで持ってきてあげるから。顔や体を拭く使い捨てのタオルがあるから、それもあとで持ってくるね。

さすがに10日間お風呂無しはつらい…
こんなの人生初です

――自分以外でコロナの方って出てるんですか?

他の患者さんのことはあまり話せないんだけど、、、〇〇さんの他に2人出てるの。

――え、そうなんです?

うん。その方達も昨日から個室に移ってもらってる。仲良かった人じゃないよね?。部屋も違うし。


この二人の方とはほとんど接点がなく、感染経路はいまだに謎です。

とにかく暇 暇すぎて暇

看護師さんは基本的に1日3回、ご飯と薬を持ってきてくれます。その都度、健康チェックをしてくれて、簡易トイレの交換をしてくれたり、身の回りの世話をしてくれます。

毎回違う看護師さんが来てくれるのは、病棟内で新型コロナが発症した場合の実務実習も兼ねているのではなかと勝手に想像してました。

ここは精神科の専門病院なので、積極的にコロナ患者の受け入れを行っている病院ではありません。内科の専門医は非常勤なので、入院中に何かあると近くにある総合病院で診察を受けることになります。

おそらく、看護師さんは達はいろんなことが手探り状態。クラスターのリスクも多々あると思います。もちろん私もこんなことは初めての体験だから、この先どうなってしまうんだろうという不安で頭がいっぱい。

それでもパニックになることもなく過ごせていられたのは、やっぱり看護師さんとの信頼関係があったからだと思います。

その日の夕方には熱も37度ぐらいまで下がり、体調は急激に回復。喉の痛みや鼻の症状なども全くなし。私的には明日にでも退院できそうな感じです。

体調が良くなると、完全隔離状態なので何もすることがありません。本もなければスマホもない。部屋に居てできることはただひたすら寝ること。それ以外だと窓から外を眺めたりすることぐらい。次に通る車が何かを当てるゲームもずぐに飽きます。

あまりの暇さに、次に来る看護師さんが誰かを予想するという新しいゲームも考案しましたが、予想以上にこれが全く当たらない。20人ぐらいいる看護師さんの中から一人を当てるのは予想以上にギャンブル性が高いことがわかりました。

人間、暇すぎると近くにあるものでなんとか時間を潰そうといろいろ考えます。ペットボトルに書いてある文字を隅から隅まで何度も読んだり、ティッシュの裏にある説明書きを隅から隅まで読んでみたり。

こんな部屋にあと1週間もいるだなんて…。おまけにお風呂にも入れない。もう最悪です。考えただけでも頭がおかしくなりそうです。



最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回へ続きます。

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