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精神科 救急急性期病棟への入院 #16
※前回はこちらです
これは何かの罰ゲームですか?
7月の下旬だというのにものすごく寒くて、毛布2枚でも凍えそうなぐらいに寒い。体を動かすと全身が痛いし、じっとしていても痛い。上を向いても横を向いても痛い。体が痛くて眠れない。何をどうしても痛い。でも耐えるしかない。ただひたすらに耐える。苦行です。
午後4時を過ぎた頃。ようやく主治医の先生と看護師さんが部屋にやってくる。
「〇〇さん、大変だったね。今はまずゆっくり休んで下さい」
大変だったねって、、。昨夜からずっとこんな状態で、ずっと我慢して耐えてきたのに。それを「大変だったね」の一言で終わりにするってどういうこと?
体調が超最悪だから、こんなことしか頭に浮かばない。主治医の先生は外来の診察があるから、この時間にならないと病棟へ来ることができない。それに、新型コロナの患者との接触は極力控えた方が良いということも理解している。
人として最低なことを考えてるなって思った。だから先生には何も言わなかったし、何も言えなかった。
再び熱を測る
39.8度
「解熱剤出しますから飲んで下さい」
こんなに待ったのに解熱剤だけ?
思わずそう言いそうになる。
でも我慢して耐えた。
えらい自分。
誰も褒めてくれないから自分で自分を褒めた。
再び天使が舞い降りる
午後6時過ぎになって、夜勤の看護師さんが夕食と薬を運んできてくれた。入院中によく声をかけてくれていた天使の看護師さん。
主治医の先生はとても良い先生で信頼はしているけれど、こんな時は女性の看護師さんが対応してくれるとそれだけで落ち着きます。ほんとにつらくて、泣き言たくさん言って慰めてもらいたい気分。大の大人がバカみたいだけど、この時はもうほんとに自分史上稀にみるほどの最悪な状態で、体も心もかなり弱ってました。
――〇〇さん、遅くなってごめんね。大丈夫? 熱計ってみようか
39.5度
――熱はけっこうあるね。熱以外に何か症状とかある?
けっこうどころか、もう死にそうです…
熱以外には特に何もないです…
寒くて体が痛いです…
看護師さんだから素直に言えた。
――だよね…。おしっこは出た?
さっき少し出ました…
――了解。あとでトイレも換えておくね。解熱剤持ってきたから飲んでね。ご飯持ってきたけど、食べられそう?
無理です…
――少しは食べないと良くならないよ。お味噌汁だけでも飲めない?
そんな味の濃いもの…
無理です…
――そっか。ゼリーとかならいけそう?
はい、、、
――ちょっと待ってね。
病室内のナースコールでナースステーションと話をする看護師さん。
数分後、ドアがノックされ、開いたドアのほんのわずかな隙間からカロリーメイトのゼリーとペットボトルの水を受け取る看護師さん。
寒くてエアコン切ってるから、看護師さんは汗だくです。医療の現場で働く皆さんにとって、新型コロナ患者への対応がどれだけ大変なのかを身をもって知ることになりました。
――これ(水)飲んでね。水分はできるだけ沢山取るようにして。水分取らないと熱下がらないからね。
そして簡易トイレを交換してくれて、床頭台の上を拭いてくれたり、ティッシュやトイレットペーパーも補充してくれました。
――じゃあ私、戻るからね。食事が終わったらビニール袋に食器ごと入れて、あそこのゴミ箱に入れておいてね。無理そうだったらそのまま置いておいてもいいから。何かあったらすぐナースコールで呼んでね。体温計ここに置いておくから、自分でも測ってみて。
限られた時間の中で精一杯のことをしてくれる看護師さんの優しさに涙が出そうになりました。
ゼリーを飲んで、カロナール的な薬を2錠飲み、とりあえず寝ました。
夜中に何度か目が覚めたりもしましたが、前日はほとんど眠れない状態だったので朝までずっと眠っていたと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回へ続きます。
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