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津軽塗り×京漆器の対談でわかったこと 前編

昨日、伝統を次世代につなぐ取り組みをされている株式会社aeruさんのお引き合わせで、青森県の津軽塗りを生業とされている方とオンライン対談をさせていただいた。

伝統工芸に関する話は数あれど、同じ業種で地域を隔てた二人が話をして見えてくるものとは!という企画をaeruさんのオンラインサロン会員に限定配信するというもの。

その対談の中で印象に残った一部をご紹介。

日本各地の伝統工芸に精通するaeru代表の矢島さんをファシリテーターとして、青森県漆器協同組合連合会の会長でもあり津軽塗りの漆器製造をされているイシオカ工芸の石岡さんとの対談である。

対談相手はもちろん、京都で漆器作りをしているがこれといって前置きすべき地位や名誉を持たないワタクシ柴田明である。

オンライン対談はまず自己紹介からはじまる。
石岡さんが津軽塗りやご自身について説明されるのだが、それを聞きながら内心ドキドキしていた。

それは、津軽塗り×京漆器の対談で自己紹介とともに説明すべき「京漆器とはなんぞや」という問いに対する回答が、「わかりません」の一言に尽きるからだ。

というのも、「京漆器」には具体的な定義が無いのである。

(詳しい方がおられたら教えてください。)

そんな「京漆器」の説明としてよく耳にするのが、
「豪華絢爛で木地は薄く、、、」
といったものや、
「ワビとサビの味わいが内側から感じられ、、、」
とか、結局どういうコト?とかえって謎が深まる曖昧な表現なのである。

また、某ウェブサイトには
「京漆器とは、京都で作られた漆器の事である。」
という潔い説明が掲載されている。

念のためと思って漆塗り職人歴50年以上の父にも京漆器の説明について質問を投げかけてみたところ、
「京漆器はミヤビなんや」
という返事で、つまりわからないという事なのである。

なので、京都で漆器作りをしている人は、「京漆器について説明をしてください」という定番の投げかけに困るのだ。

例に漏れず今回の私も説明に困ったのだが、オンラインサロンでの限定配信なのでありのままを語った。

すると、はっきりとした定義のある津軽塗りの漆器を製造されている石岡さんのと話の中で、定義が曖昧な「京漆器」には意外なメリットがあるという事がわかった。

それはまた次回に書きます。

みなさまのご支援で伝統の技が未来に、いや、僕の生活に希望が生まれます。