自分の気持ちを伝えるために
2022年だったか、奈良にある子規の庭を訪れた時、俳句が詠めたらなぁという気持ちがふっと湧き上がりました。
といいますのも、私たち「書」を書く人間は漢詩や和歌、詩や俳句を作品にしますが、殆どの場合他の人の文学作品を借りています。
自分で創作できれば一番いいのだけれど。そんな気持ちを長いこと引きずってきました。
自分の中に湧き起こる感動や心情を、どうにか表現できないだろうか?
北京に居た頃、相互学習をしていた向こうの大学生に
「漢詩を作れるようになるにはどうしたらいい?」
そう尋ねたところ
「まずは百首覚えることだよ。唐詩もいいけど、宋詞もいいよ」
という答えが返ってきました。今も昔もやっぱり暗唱なんですね。
⚠︎中国では「漢詩」という表現をしません。
とりあえず中国語の発音で耳慣れするところから始めようと思って、ピンインや声調が載っている児童向けの唐詩の本を買ってきて、声に出すことから始めました。
もちろん、現代と昔の発音は違うところもあるでしょうが。
雨が降り、花が散る頃、私の頭の中には花落知多少 hua luo zhi duo shaoが浮かんできます。
春暁は中国語で発音すると最高に心地よく、すーっと頭に入ります。
大学4年の時、漢詩を作る機会に恵まれ、四苦八苦して一首(確か五言絶句)完成させました。添削はゼミの指導教授です。
その後、水墨画を描き画讃を入れ、作品として仕上げた後表装したものがどこかにあるはずなんですが、一体どこへあるのやら?
一人、著名な書家の先生で自分で漢詩を作り作品を書いている方がいらっしゃいます。詩は石川忠久先生に師事されていたと聞いたことがあります。
その先生の字がまた素晴らしいのです。完全に私の好みと一致しています。
上品な行草で、そこには濃厚な色彩をもった情のかたちが表現されています。
いずれこんなことが出来るようになりたい。
しかし漢詩の創作は今の自分には相当難しい。周りにそんなことをしている人もいない。
とりあえず漢詩は音読暗唱を続けるとして、まずは俳句の世界に足を踏み入れることに決めました。
いきなり句会はハードルが高いので、現在通信講座で勉強中です。
半年か一年経ったら近所の句会に参加する予定です。
矢立を持って吟行できる日が来ることを願って、最終的には自分のことばで作品を残していけるといいなと思っています。
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