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パーパス経営について

 先日、パーパス経営で有名な名和高司先生(なわ たかし)の講演を聴講してきたので学び・感想についてまとめたいと思います。

 名和先生の書籍『パーパス経営―30年先の視点から現在を捉える』は、同類の様々な書籍の中で最も代表的な書籍と言われています。

SDGsの17枚のカードに加えて、これからは自社らしい18枚目のカードが必要である。今やSDGsは当たり前であり、会社存続に必要な十分条件でない

 多くの企業の統合報告書には、取組みがSDGsのどの部分に該当するのかという整理が綺麗にされているものの、後付け感が強く、その企業の”ならでは感”が不足していると感じていました。
 SDGsの18枚目ということは、他社にはない”その企業ならでは”の解決すべき課題であり、それは社会から求められているからやるという受動的なものではなく、自社が解決したい課題という能動的な意味でパーパスに通じるものがあるのだと思います(内から湧き出る想い)。

SONY は彼らの心に灯がつく言葉が「感動」であった。しかし、それだけでは SONY らしさがなく、クリエイティビティとテクノロジーの両方を共にハイレベルで持っているのは SONY だけであるという自負からパーパスを定義。クリエイティビティだけなら GAFAM、テクノロジーだけなら多数いる

 SONYのパーパスは他社にいる自分としても非常に共感し、良くできたパーパスであると思います。パーパスは、他の言葉で「志」「存在意義」「社会の中における役割」などと言われますが、そこにはその企業”らしさ”があり、初めて共感するのだと考えさせられました。

パーパスが利益に繋がる仕組みには 4 つの面がある。①共感による売上 UP、②生産性アップ等によるコストダウン、③信念を持つことによるリスク低下、④無形資産価値向上の4つ。

 今まで、パーパスを策定するとどんな良いことがあるのか、利益に繋がらなければ「論語と算盤」で言う、論語のみになってしまうのではないかと、若干否定的でした。しかし、利益に繋がる仕組みを説明いただき非常に腹落ちしました。論語と算盤の両方が繋がりました。

 他にも様々なことを学びましたが、最後に自分なりに示唆を得たことをあげると、「パーパスは策定して終わりではなく、企業経営全体をパーパスを起点に回していくまで使いこなさなければいけない」という事です。

 パーパスとセットで、従業員への浸透・定着がよく言われていますが。パーパスを策定することの目的はそれだけではないと思います。他にも、パートナー企業に共感してもらうことで価値協創に繋げること、経営として無駄な事業に投資しないことによるコスト抑制など、パーパスの活用先は経営全体に及びます。従業員への浸透・定着がゴールではなく、それはパーパス経営の一部に過ぎないのではないかと考えます。

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