見出し画像

自分軸の作り方131 「習い事が嫌!」心の声を聴いてほしい。親も子も。


ベビーシッターをしていると
習い事への送迎を依頼されることがあります。

幼稚園や学童保育から習い事の教室まで
電車で移動していくのですが

そのお子さんが、習い事を楽しんでいるのか
嫌がっているのかは雰囲気で すぐわかります。



楽しんでいるお子さんは
お迎えに行って教室に到着するまで
足取り軽く、お喋りをしながら移動します。
私は電車の中で、絵本を見ていただいたり
一緒に折り紙をしたりするのですが
ほとんどのお子さんは 到着するまで楽しそうに過ごしていますし

歩きながら、面白いものを見つけては笑い、
幼稚園の面白い出来事を話しては笑い・・・

ベクトルが、「楽しい」方向なのです。

習い事が苦しいお子さんは
一緒に歩いているとき
「疲れた」「行きたくない」を連発したり
言葉にしなくても、
足取りが重く、無表情だったり。

言葉にならなくても、

あ、辛そうだな… と、感じます。


以前、ある保育園児さんを塾まで送ったことがありました。

そのお子さんは、
夏休み中に いろんな夏期講習を受けていて
月曜日から金曜日まで習い事に通っていました。

最初の面談時、
ご自宅で面談をした後、習い事教室まで送っていくご依頼でした。
その日はお母様も一緒に駅まで向かい、
駅でお母様と別れて お子さんと2人電車に乗り、
習い事教室まで送りましたが、
出発の時から
「行きたくない」オーラ全開で 困り顔。
出かける準備をしているときに
「待って、今これで遊んでるから」
「行くの嫌だなぁ」「家で遊びたいなあ」と、準備に時間がかかり
駅までの道のりも足を引きずる感じです。

「帰ってきたら○○しようね!」
お母様は一生懸命笑顔で、「頑張ってきたらご褒美をあげる」を条件に、
説得しておられました。


次の時は、保育園にお迎えに行きました。
その時、園の先生も「習い事で忙しいせいか、おつかれのようです」と、
元気のなさを心配されていました。

電車の中では折り紙をしました。
「私はこんなの作れるよ!」とお花や箱を折ってくださったりしましたが
電車を降りたとたんに
おなかいたい。と言うのです。

教室に向かおうとしますが、
ときどきお腹の痛みが襲ってきます。
駅のエスカレーターを上がったところで
座り込んでしまいました。


これは、こおりつきだ。直感しました。

 お母様に電話をして、タクシーでお迎えに来ていただくことになりました。
ただ、私は次の仕事の時間が迫っていて
お母様の到着まで待つことができません。

習い事の教室で待機していて欲しいと指示を受け、
教室までゆっくりゆっくり移動し

教室の入り口入ろうとした時。

お子さんの足が 止まりました。

表情が固まり、足がすくみます。
また凍りつき反応。自律神経失調状態です。

私はしゃがんで、
お子さんの背中をそっと撫でながら、
できるだけ穏やかな声で
「ママがここに向かって来てるからね。
外は暑いから、中で待っていよう。」と伝え
緊張が解けるのを待って、一歩、また一歩。

入り口にいらっしゃる受付の方が椅子を準備してくださり、
お子さんに座っていただきました。

私は、保育報告で保護者さんに
お子さんがお疲れのご様子であることと
足がすくんで動けなくなる「凍りつき」について
自律神経のバランス、防衛反応の話から順に
お母様に説明しました。

今はゆっくり休息してほしいこと。
いっぱい抱きしめてあげてほしいこと。
お子さんの話を聞いてあげて欲しいことを伝えました。

保護者さんから「しばらく習い事は休ませます」とのご返答をいただいて、
それから送迎の依頼は 来ていません。


2回しか会えなかったけれど
今、あの子はどうしているかなぁ と
時々思い出します。
もしかすると、他のベビーシッターに依頼されたかもしれません。


小さな小さな体で
一生懸命、何かと戦っているお子さんを思うと
ポリヴェーガル理論のことを、
たくさんの人に知ってもらいたいと思います。

きっと、もっとたくさんいるであろう 
「習い事が嫌だ」って言えない子どもたち。

いえ。
「行きたくない」と言っても、
習い事をやめることを
許してもらえない子どもたち。

親に愛され、認めてもらうため、
本当に頑張っている子どもたちです。


お子さんの心の声が 聞こえないとしたら。

「行きたくない!」と言われた親の内に、
「あなたの将来のためなのに何故!」と
怒りが込み上げるとするなら。

親御さん自身、
自分の親に心の声を聞いてもらった経験が
少ないかもしれません。

何かの不安と戦っているのかもしれません。


「嫌だ!行きたくない!」と
声を上げることは
将来、自己決定できる大人になるための
大切なステップだと思います。

じゃ、どうしようか。
大人がしっかり子どもの話を聞いて、選択肢を増やすことが大切です。


それを子どもの権利として認めるのは
親として、
もしかしたら勇気がいることかもしれません。
一回休んだら、休み癖がつくかもしれない…と不安になるかもしれません。


でも大人だって、
すごく嫌なことをやらされているときって
きっと、不満が溜まり
イライラして効率も悪く
よいパフォーマンスは決して生まれないと思うんです。

習い事は、子どもはどんなことなのか想像もできずに 

やってみる?と聞かれて、うん、と答えただけで
「あなたがやるって言ったんだからやり遂げなさい」と
全責任を負わされるのは、やはり荷が重すぎます。

自分軸で生きるために
好きなことを見つけることはもちろんですが
嫌なものをハッキリさせることも
すごく大切だと思っています。

「嫌なことは嫌」と言える。
これは、自己肯定感のバロメーターのひとつです。


そして親である自分自身に

私は どう感じてる?

私は嫌なことを、無理してやっていない?

私は どうしたい?

聞いてみてほしいと思うのです。


もしかしたら、仕事や家事分担がうまくいかず
イライラしているのかもしれません。
ホッとしたい。休みたい。
そんな声が、聴こえてくるかもしれません。


こんなことを書いている私自身も、
余裕がなければイライラしてしまいます。

だから時々立ち止まって
自分の心の声を受け止める時間を作り

ゆっくり自問自答する心の余裕を持てるように
心がけたい と思います。


習い事がつらいお子さんの心が

どうか守られますように、と願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?