ケバブが日本に本格上陸
東京の街を散歩していると、ケバブの店があちこちにできていることに気づく。前からあったことはあったと思うが、このところの増加スピードがすごい。
日本では「ケバブ」とひとくくりにされるが、ここで話題にしているのは、トルコで「ドネルケバブ」、アラブ圏では「シャワルマ」と言われているもの。円筒状に固めたこまぎれ肉(羊、牛、鶏)を回転させ、ナイフでそぎ切って、パンにはさんだり、巻いたりしてたべる。中東で幅広く食べられているファストフードだったが、中東からの移民・難民の移動もあって、欧米では、完全に根付いている。日本もここ数年、完全に市民権を得た感じだ。
肉は店頭に置かれていることが多く、一種の実演販売のようで楽しい。よく見ると、肉の断面の模様も美しかったりする。
回転肉の大きさもいろいろ。イラクのバグダッドでは、店員がイスに乗ってそぎ切る巨大シャワルマを見たときは驚いた。
肉をはさむパンの種類は各地で特徴がある。ハンバーガーのようなバンズは、イラクのクルド自治区ドホークで食べた。
シリアなど、いわゆる東地中海地方では、クレープのような薄いパンに巻いて食べる。
イランにもあって、「トルコ風のケバブ」と呼ばれ、ちょっと異国情緒が漂っている感もある。
ヨーロッパの中では、トルコ・クルド系移民・難民が多いドイツが、ドネルケバブ最も定着しているといえるだろう。かつてイスラム王朝が栄えたスペイン南部グラナダには、アラブ系によるとみられるシャワルマ屋がたくさんあった。15世紀末、いわゆる「レコンキスタ」で欧州の領土を失ったアラブ人たちによる、食文化による「再浸食」が進んでいる。
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