見出し画像

【島根】スサノオのヤマタノオロチ退治/英雄神スサノヲを祀る「八重垣神社、須佐神社、熊野大社」

スサノヲの八岐大蛇ヤマタノオロチ退治

さて、スサノヲは出雲国いずものくに肥河ひのかわ(現在の斐伊川)の上流にある鳥髪とりかみ(現在の奥出雲町鳥上)というところに降り立った。

川上から流れてきた箸を見つけて、この川の上流に人がいるとみて、上っていくと、そこで美しい娘を囲んで泣いている老夫婦を見つけた。

この老夫婦は、足名椎命アシナヅチ手名椎命テナヅチいい、泣いている娘は、櫛名田比売クシナダヒメであると言った。

スサノヲは、何事かあったのかとその老夫婦に尋ねると、老夫婦は答えた。

「この近くには、8つの頭と尾を持ち、体には、コケや木が生え、腹はタダレて、血を垂らした八岐大蛇ヤマタノオロチという大蛇がいるのです。実は、私たちには、8柱もの娘たちがいたのですが、毎年、この大蛇に娘が食べられてしまい、今年もその時期が迫り、このままでは、最後の娘であるクシナダヒメも食べられてしまうのです。」

これを聞いたスサノヲは、クシナダヒメを妻に差し出すことを条件に、ヤマタノオロチの退治を引き受けることにしたのだった。

スサノオノミコト
(Wikipediaより引用)


スサノヲは、まず、8つの生け垣を作り、老夫婦にその門ごとに強い酒を満たした桶を置くように命じた。

そして、クシナダヒメをくしの姿に変えて、自分の髪に挿し隠した。

ヤマトノオロチが出るのを待っていると、いよいよ、その大蛇が姿を現した。

8つあるそれぞれの頭は、スサノヲが仕掛けた通りに、酒桶に頭を突っ込むと、そのままガブガブと酒を飲み出した。

すっかり酒を飲み干すと、大蛇は、そのまま酔っぱらい、その場で寝てしまった。

これを好機と見たスサノヲは、自ら十拳剣とつかのつるぎを引き抜き、大蛇に切り掛かり、無事、ヤマタノオロチを征伐したのだった。

ヤマタノオロチ
(Wikipediaより引用)


すると、ヤマトノオロチの尾を切り刻んだ時、なにやら固いものに当たり、十拳剣とつかのつるぎの刃が欠けてしまった。

これを不思議と思い、尾びれを切り開いてみると、中から大きな太刀が現れた。

その時、ヤマタノオロチの頭上に雲気が掛かっていたために、その太刀を天叢雲剣あまのむらくものつるぎと名付け、高天原にいるアマテラスに献上することにした。

この天叢雲剣あまのむらくものつるぎこそ、後に三種の神器のひとつに加わる、草薙くさなぎの剣である。


無事、ヤマトノオロチを退治したスサノヲは、クシナダヒメと結婚し、再び妻が大蛇に襲れないよう宮殿を建てることにした。

そして、この宮殿を造った時に、地面から雲が立ち上ったのを見て、

八雲立つ  出雲八重垣  妻ごみに  八重垣作る  その八重垣を
(妻を厳重に守るために八重の垣を巡らそう)

と和歌を詠んでいる。(日本で初めて詠まれた和歌とされている)


その後、スサノオとクシナダヒメの間に、八島士奴美神ヤシマジヌミという神が生まれ、その子孫に大己貴命オホナムチが誕生する。

後の国津神くにつかみ大国主オオクニヌシである。

そして、ここから物語は、オホナムチ(後のオオクニヌシ)の話に移っていくのだった。


古事記~スサノオと八岐大蛇~


死ぬまでに一度は行きたい神社巡り
マガジンのフォローはこちらから



【島根】
妻を守るため、縁結びの聖地
「八重垣神社」

八雲立つ  出雲八重垣  妻ごみに  八重垣作る  その八重垣を
(妻を厳重に守るために八重の垣を巡らそう)

ヤマタノオロチを退治したスサノヲは、その後クシナダヒメと夫婦となり、この地に宮造りをしたことから県内でも指折りの縁結びの聖地として知られている「八重垣神社」。

境内奥地には、スサノヲがクシナダヒメを避難させたと伝わる「佐久佐女さくさめの森」があり、神話との結びつきは深く、良縁祈願を兼ねた観光であれば必ず訪れておきたいパワースポット。


【島根】
英雄神スサノオノミコトの御魂を祀る古社
「須佐神社」

出雲観光協会HPより引用

スサノヲが各地を開拓した後、この地に来て最後の開拓をし、「この国は小さい国だがよい国だ。自分の名前は岩木ではなく土地につけよう」と言って「須佐」と命名し、最後に自らの御魂を鎮めたとされる地に建つ須佐神社。

古来より朝廷や武将だけでなく、一般の人々からも厚く信仰され、中世から近世にかけては「須佐大宮」、「出雲大宮」、「十三所大明神」と称えられていた。

松平松江藩の時代には、国の守護神として特別に崇拝されていた。


【島根】
出雲大社に並ぶ出雲国一宮
「熊野大社」

伊邪那伎日真名子いざなぎのひまなご 加夫呂伎熊野大神くまののおおかみ 櫛御気野命くしみけぬのみこと

まるで呪文のような一文だが、実はこれ、熊野大社の主祭神・スサノヲノミコトのことで

伊邪那伎日真名子いざなぎのひまなご」=父神である伊邪那伎命がかわいがった御子
 「加夫呂伎熊野大神くまののおおかみ」=熊野の地の神聖なる神
 「櫛御気野命|くしみけぬのみこと」=スサノヲノミコトの別名

と、スサノヲノミコトのことを目一杯讃えているのである。

また、スサノオノミコトは、火起こしの方法のひとつ「きりもみ式」を伝えた神様でもあり、熊野大社は別名「日本火出初之社ひのもとひでぞめのやしろ」とも呼ばれ、火の発祥の神社とされている。

毎年10月15日に行われる「鑚火祭さんかさい」では、出雲大社の宮司が11月23日の「古伝新嘗祭こでんしんじょうさい」に使用する神聖な火を起こすため、燧臼ひきりうす燧杵ひきりぎね(火を起こす道具)を受け取りに熊野大社を訪れる。




近くの星野リゾート施設

いにしえの湯と出雲文化を遊ぶ宿
「界 玉造」

奈良時代から続く玉造温泉に佇む温泉旅館。全室露天風呂付の客室での湯浴み、日本海の幸、日本酒や茶の湯など、滞在を通して島根の文化に触れることができる。

また、神話をもとにした「石見神楽」の舞を毎晩上演。演目はスサノオノミコトが大蛇を日本酒で酔わせ戦う「大蛇」で、日本酒発祥の地である出雲地域にちなんだ演目は、鮮やかな衣装をまとった演者が、軽快なお囃子に合わせてダイナミックに舞う。


この記事が参加している募集

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!