わたしのアメとムチのさじ加減
CA時代、糸をあやつるかのように後輩を指導するのがうまい先輩がいました。
私が考える「指導がうまい」というのは、後輩に「あ、わたし指導されている」とあまり感じさせずに自ら成長させる指導です。
私も指導する立ち場になったとき、その先輩の真似をして先輩がやっていたことを取り入れていました。
それは1~10まで段階があるとしたら、それぞれの過程でできるようになったことを褒めてフィードバックする方法です。
ほめることでやる気にさせるというのは良く言われることかも知れませんが、ただ褒めるのとはちょっと違うコツがあります。
たとえば1の段階で出来なかったことが2の段階で少しでもできるようになったら、そのことについてすごく褒める。
次は2の段階でできなかったことが3の段階で少しでもできるようになったら、そのことについてさらに褒めるということを繰り返していくんです。
ポイントは少しでもできるようになったら褒めることです。
人を褒めるときって、意識していないとよほど目立った何かしらの成果や成功について以外のことについて褒めたりしないことが多いものです。
明らかな成長だけを褒めるのではなく、目立たないような小さなことを積極的に見つけて褒めることがポイントだと思っています。
褒められて嫌な気持ちになる人はいません。
自分が意識していなかったことでも人から褒められると「自分が認められた」と感じて自己肯定感が強くなり、やる気につながるものだと信じています。
もちろん、やみくもに褒めるだけではなく「できていない」ことについても本人に伝える必要はあります。でも褒めることを頻繁にすることで「こんなこと言われた」というような否定的な印象は少なくなるんじゃないかと感じています。
特にこの方法は、「ゆとり」と言われている世代に効果的だと思っています。
世代でひとまとめにするのは好きではないですが、傾向として他の世代よりも叱られることにあまり慣れていないというのが特徴があるように感じます。叱られ慣れていない人に対して強い語調や表現を使って指導するのは効果がないのではないかと。褒められることのほうが成長する過程で絶対的に必要だと感じています。
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私がCAとして新人の訓練を受けたとき、今の新人の訓練とは指導の仕方が180度違いました。
私が新人として訓練を受けたときは、今思えばかなりスパルタもので、出来が悪いと「あなたのような人と一緒に飛びたくありません!」と言われたりして。でもそういう言葉を聞いて青ざめながらも「もっと頑張らなきゃ」という気持ちになったりしていました。
今同じようなことをやっても、そういった言葉で人をやる気にさせるのは難しいかもという気がします。これが通用するのは、おそらく昭和生まれ世代までです。
アメとムチの割合を世代や相手の個性に合わせていくのが指導するときに必要なことだと感じています。
ちょっとしたアメとムチのさじ加減をかえてみるって、結構おもしろいものです。こんなことで変わるんだっていう発見があるかもしれません。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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