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「神聖なる教会」から「パブ」へ


先々週、電車で最寄り駅を降りて階段を上っていたら、30代位の若いお母さんが「これはどこですか」と言ってメモを見せた。
「KIKI LAND」と書かれた場所は知らなかったけど、何か見覚えがあるような気がして、確かこれは…と一瞬考えて思い出した、家の近くの教会に、その名前の看板があったのを。

この教会は、ただの建物として テナントを入れた貸し物件のように使われている。前を通った時夫に聞いたらもう教会ではなくなってなんだかコミュニティーセンターみたいな感じで使われているとの事だった。


おそらく信者が来なくて教会であることをやめてしまったのだが、見かけは教会なのである。だからこの女性にその幼稚園のような名前の場所が一見して100%教会であることを説明した。

ベールを被ったお母さんはニコニコしながら、ここで子供の友達の誕生日パーティーがあって今からとても楽しみなんですよと言っていた。

「どこからいらしたんですか」

街の名前を聞いたのにこの女性は、どこか国の名前を答えた。どこだったか覚えてないけど。それで私も「私は日本から来たんです」と言った。



教会がパブになった

先週日本から友達が来てくだんの教会の前を通った時に、「KIKI LAND」の看板を見てこれは何かと言う。

「昔は教会だったけど、今はコミュニティーセンターみたいな親子の会合場所として使われているんだよ」
とそのお母さんと話した情報を付加して答えた。

「近くのもう一つの教会も、今は教会じゃなくなって、パブとして使われてるんだよ」

とついでに言った。


二階にあったバー(パブ)は行った時は閉まっていた

わが家の近所の一つはコミュニティーセンターみたいな親子の会合場所として、もう一つの教会は、中に3つか4つのパブを入る、パブのモールみたいになっている。

日本から来た友達は言った。

「ふーん。教会もパブやコミュニティーセンターになって、やっぱり当初の目的(教会)に近い感じに使われてるんだね」

そういえばその通りだと思った。

日本人だから、「神聖なる教会」から「パブ」=居酒屋(あえて翻訳すれば)へのその変化に驚くかと思ったけど、友達は平然としていた。

そうそう、彼女は以前、イギリスに住んでいたことがあるのだった。



いつも日本の友人にイギリスの文化のこと説明するのって本当に難しいと感じる。聞かれてもどこから説明すべきか、わからないことが多すぎる。

普通の日本人は、飲み屋と教会はまるっきり別のものだと思うだろう。

実際にはパブは、パブリック・ハウス “public house”(公共の家とかそういう感じ)とか語源である通り、コミュニティーセンターのようなところだったし、今だってある程度そういう機能がある。

この元教会で今パブになっているところも、私が最近訪れたら、結婚パーティーか誕生日パーティーが行われてちょうど終わったタイミングだった。


教会のパブで、パーティーが終わった後の様子

パブはよく、飲み物を提供するバーのある部屋以外に、大きな部屋がある。

テーブルと椅子がいっぱい置いてあって、レストランとして使われていることが多い。

中には普段は大部屋を閉鎖していて、結婚式やら記念パーティーやらそういった集会の時だけ使うパブもある。

パブの、そういう結婚式などセレモニーでの使われ方は今も昔もそうだったらしい。

私の夫の姉も結婚パーティーはパブで行ったし。


教会入り口付近のパブ

教会にも、「チャーチハウス」と言って人々が集まってミサ以外の目的に行うための会場用建物が、必ず隣接している。
(勉強会や結婚葬儀クリスマスなど式後の会合などに使用される場所)

私は夫の故郷であるこの近辺を訪れるようになって以来25年ぐらいになるがこの教会が教会だった事は以前1度も見たことがなく、もうずっと記憶にある限りはショッピングモールみたいだった。

大きな教会で、以前は上下階を使って床屋とか、タトゥー店、アクセサリーなど小物を売る店や、カフェなど6〜7軒の店が入っていた。

今も1〜2件、パブ以外の店もあったが、ほとんどがパブで、パブモールとでも言う様相になったのは、多分コロナ禍と前後してだと思う。

もちろん、イギリスではここも含め、コロナの間数年間、断続的に実施されたロックダウンや規制でほとんどパブなどコロナ禍は閉鎖されていた。

日本人の私としては、やっぱり教会がパブの施設になった、と言うのは驚きを感じるのだけど、周りでそう言う声は聞かない。


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