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「木いちごの王様」の森に迷い込んで

今年もブラックベリーが豊作みたい。ちょっと近所散策しただけで1キロ位取れた。朝食シリアルにちょこっと入れた。

数日前から散歩に行くと、近所であちこちに生えているブラックベリーの木から熟れた実だけ手で摘みながら歩いている。


近所に生えているブラックベリーの実

黒くなって初めて美味しいのだけど、まだ90%位が緑から赤で、10%ぐらいしか食べられる程度に色づいていない。

黒いからといってなんでもいいわけでもないけれど、とりあえず黒いのをとっておけば大丈夫。
去年もずっと摘んでいてやっとわかったこと、黒いだけではなくて触って、ふっくら柔らかいのが良い。


イギリスの典型的な朝食は、果物をたっぷり入れたシリアル


黒くても硬いものは食べてもやっぱり硬い。硬いのはあまり美味しくない。

でももう黒くなっているのは2日ぐらい置いておけばすぐに柔らかくなって食べごろになる。

ふっくらと柔らかいのが味も甘酸っぱくて最高においしい。

あんまり食べたことない人もいると思うけど、イチゴの味をよりジューシーに、ギュッと凝縮したような感じ。
逆に熟れすぎて、これまた硬くなったやつは、味があまりしない。

この柔らかく、ちょうど食べごろっていう期間が1〜2日ぐらいしかなくて、その絶妙な1日に食べると甘さと酸っぱさがバランスよく味が濃い上、感触もふわりと柔らかのだ。



赤いのは少し待たないと甘くならない


小さい時、1番好きだった児童文学の1つに「木いちごの王様」と言うお話がある。これはイギリスではなくて、北欧のお話みたいだけど、小さな姉妹が木苺を摘んで森の中に入って道に迷ってしまう。

暗くなってお腹が減るとごちそうが、眠くなるとベッドが森の中に突然現れるとか、そういう魔法の場面に驚きうっとりした。

よくあるように、これはこの子供たちが、過去に家の庭で助けた芋虫が森の王様だったので、森で迷い夜を明かした子供たちに王様がご褒美あげたのだった。


近所の林に沿って古城を見ながら海へと抜ける散歩道に、ブラックベリーがたくさんある

小さな姉妹だけで、森の中で迷って真っ暗になってしまうのは、とても怖いけど一応話の中では、こんな不思議な事が起こって無事おうちに帰れたので、そこら辺の怖さはあまり印象に残らなくて、木苺を摘みながら森の中に入って、立派なごちそうとふかふかのベッドがプレゼントされる場面だけが残った。

何十年も経って夫に出会った頃に、子供の頃姉と森にブラックベリーを摘みに行って、たくさん摘んでジャムを作ったと言ってたのを聞いた。

木苺(ラズベリー)とブラックベリーは似ていても、厳密には同じではないけれど、森にベリーを摘みに行くのがこの話みたいだと思った。

自分も今毎日歩きながらブラックベリーを摘んでると、あの物語に迷い込んだようでワクワクする。


黒くふっくらしたブラックベリーは、ちょうど食べ頃


イギリスの夏がとても穏やかというか湿気もないし、そこまで暑くもならない涼しい気候で、たとえガーデニング作業でも、花に水をやったり、野菜を収穫し食べたりするのは心が安らぐ。

森や草が多いところは鳥の声も聞こえ(近所の公園の鳥の声はいつも賑やかで豊か) 散歩してると知らない人でも笑顔で挨拶を交わし、道を歩いているだけで自然が育てたブラックベリーをたくさん収穫できる。


ネトルの葉

ブラックベリーと葉の形がそっくりで、触ると後で肌がチクチクする葉ネトルがそばにあり、夫はブラックベリーを摘んでいてネトルを触ってしまった。(それに触ることもネトルで動詞みたい。)

夫はチクチクを緩和するというドックリーフという葉をコレまた近くで見つけてNettleした手を擦っていた。翌日、だいぶ良くなったと言った。ネトルはイラクサ、食べられるらしい。(調理するときは、手袋が要る)


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