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chiemanga
メガネ朝帰れず ♯毎週ショートショートnote
肩をトントンと叩かれ、後ろを向くとアタシの頬に人差し指が食い込んだ。
「おはよーメガネっ」
声の主はクラスメイトの男子、橘だ。
「おはよーじゃないし」
睨むような仕草で橘を見たが、心は笑顔だった。
その頃アタシは冴えない眼鏡キャラで、男子は苦手。橘も友達というより、ただ一方的にイジってくる相手だ。それでもアタシは嬉しくて、橘の笑顔が好きだった。
高校生になり、メイクを覚えた。眼鏡もオシャレの一部として活かせるようになった。自然と友達も増え、高2の時、初めて彼氏が出来た。
自分に自信が持てるようになるほど、脳裏には橘の悪戯な笑顔が過ぎる。
それは高校を卒業してからも変わらず続いた。
成人式には参加するか悩んだ。冴えない自分に戻るのは嫌だった。でも、この機会を逃したら、橘にもう会えないかも知れない。
「おーメガネっ」
久しぶりに会った橘は垢抜けて、大人びて、結局アタシは14歳に戻ってしまった。
朝帰りなんて想像もしたけれど、アタシにはまだまだ早そうだ。
【本文418文字】
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