フォローしませんか?
シェア
伊藤緑
2022年7月1日 20:48
言葉ってものを吐いたら吐いただけ手のひら汚れて癖になっててべろべろと他人の舌に唇を舐められてるの気付かず話す手の首を欲という手に絞められて連れていかれることを拒めず目の玉を夜の水面へ落としても底を漂う星に届かずテレビ台白いおひげがびっしりと生えてて指でざらざら遊ぶ
2021年12月8日 19:02
はいこれも持ちなさいって唇を胸やら肉を抱えさせられ何一つ通じないから言葉ってもので分かったふりをしている熱っぽさ怖いのなんで近いうち炎とするの分かってるから甲高い響きに我慢できんからブレーキかけんと突き進むんやねトントンとその場で跳んで頭から澄んだ夜空へ落ちていこうと
2021年9月17日 18:47
剥き出しの足で地面を踏むことを思い描いて靴下履いて分かってるつもりになってる唇が好んで食むの想像の飴自らの感覚考え疑わず他人のそれらばかり疑いXやYをそのままにはできず代入しては解いた気になり腰かけて足をぶらぶらさせながらかかと削って見た町の熱
2021年7月20日 01:00
明るさが見向きもせずに踏み砕き欠片になった朽葉拾って発露した攻撃性に正義とか道徳なんて名前をつけて黄緑にしがみついてはゆらゆらと大気に浮かぶ蝉の抜け殻お前など存在価値がないんだと言われてこころ微笑み軽く流木の朽ちたところを親指で埋めて見下ろす足呑む土を
2021年7月8日 01:00
響かない掠れるような声出してひっそり夜の深く沈めて宝物だったら奥へ隠さなきゃ見せびらかしても傷がつくだけ自らの感覚だけが正しいと思ってるから罵倒すんでしょ駆け抜けてしゃがみ歩いてよじ登るそんな理想にひどく焦がれて特別や意味ってものが奪ってく空もご飯もにおいも夜も
2021年7月7日 01:00
比較っていう土必死に掘り続け握り締めたの濁った赤で着せられた名前を脱げばはだかんぼなれば捕まるだから脱げずに楽になるために自分を愛しても結局はただ騙してるだけ息を噛みそうして飲んだつばの味苦くてきつく歯ブラシ握りこっちだよ幸せの道引っ張っていく人の手の爪が食い込む
2021年7月6日 01:00
前の日とまったくおんなじかっこして両手後ろにうんと遠くへ一時間おんなじ場所にいた川の痩せた鳥見てふっと微笑し手のひらにないものばかり見えていて刺さる陽光見えないままでぬかるみの冷えとやらかい感触に足を浸して潮を嗅ぎ嗅ぎ嬉ションをしてるわんこにがおーって両手と笑みで威嚇してみて
2021年7月4日 14:43
砂なでて土をえぐって石食べてぺっぺと吐いてまた砂なでて側溝をずんずん進むカラスまね今はもうない秘密基地へと馬鹿にして馬鹿にして馬鹿にして馬鹿にして馬鹿にして支えにして生きろって石をいくつも投げ込まれ波紋広がる命濁って煙ってる山を見上げて肌さすり冷たい朝に深くうつむく
2021年2月6日 18:03
ひゅうひゅうと腕を広げて駆けてゆく風の胸元名札はなくてするすると垂れた光の綱手繰り絞め上げ吊るす終わりの首を呪って呪って呪って呪って呪って呪詛がもたらした受肉にこにこと微笑みながら人のこと否定し続けそれに気づかず散らばった日影のかけら寄せようとモザイク窓に触れれば濡れて
2020年11月27日 19:25
甘くって吐いたあめ玉ゴミ箱に入らず落ちて陰毛のヒビそのやせた体をそっと抱き締めることで救いの温度に触れて言葉と言葉をこすり合わせて燃やした暖を取るために他人を綺麗だなぁ綺麗だなぁっていくらつぶやいても濁ったまま臭くて濡れた壁に手をつき鼻すすればガス代に頭撫でられて出た
2020年11月20日 18:30
電柱もカラスも朝もできている気持ちの悪い言葉ってもので磨かれた鏡の浮かぶ秋空に映らぬ世のなかそぞろ歩いて木枯らしと戯れ光る前髪をよけてはよけてよけて切ろって価値という物差しで肉切っていくふりしてるうちほんとに切れて自らの呼気だけにおう古ぼけたベンチのうえで私は話す
2020年11月10日 18:30
仰いだらみ空の鏡へさらさらと息も心も落ち込んでいきふぅふぅと黄色の風船ふくらませみかんの皮の汁かけ笑いため池に並び浮かんでいる鳥の生んだ波紋のように燃えたい近づけば相手は自分のなかで死に自分は相手のなかで息絶え体温が一度違っているだけで人は相手を溶かし殺すし
2020年11月5日 18:30
掃除機の吐息に鼻を舐められてかつて過ごした家の間取りが人声の遠くでふくらむ気配嗅ぎ背もたれに首そっと預けて手で文字を書くこと忘れて久しくてそれを忘れたことも忘れてあの黒い翼のようにトットッと地面を跳ねてみたくて笑うとろとろと雨声のはしゃぐ声を聞き文字で真白に音をスケッチ
2020年10月30日 22:30
命って珠には死というヒビがありある日突然そこから裂けてくちびるの本質はただたらしだと知っていながら言葉を継いで仰向けば裂かれた月が熱せられ蒸発してて目玉が蒸れて海水に絡んだ網をたぐり寄せ寄せれば寄せるほど傷しみて天井の隅で震える銀の糸月光で濡れ白くきらつき