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なめたけ
2016年10月1日 20:37
蒸し暑い。開けられる窓は全て開放していたが、網戸越しの風はいくら待っても吹かず、不快度の高い熱帯夜だった。月明りが差し込みほのかに青白く暗い寝室で、悠は眠るに眠れず寝返りばかりうっていた。 昼間路上で受け取った団扇は、扇ぎ疲れてたまらず床に放り投げてあった。汗がジワジワと噴きだして止まらないのは、やはり肥っているせいもあるのだろうか。いつもこれだけ汗をかいても一向に痩せないんだよなぁ、とボンヤ
2016年9月13日 21:05
人生はごく小さな判断を無数に積み重ねて構成されているのであって、テレビや映画のようなドラマティックな“人生が変わった瞬間”なんてものは、大げさな誇張だというのが小川悠のつねづねの持論だった。けれども、今回の判断によって、確かに自分の人生は少し動くのかもしれない。それもそう、たぶん、よい方向に。今日に限っては、なぜだかそんなふうに思えるのだった。 自宅への道すがら、心が少しずつ高揚しはじめる