中国食道楽記(3) ー小麦と肉とスパイスと

中国シルクロードの食記録、間が空いてしまいましたがラスト更新です。西寧→夏河→張液→敦煌編 。今回は街ごとではなく、まとめて書きます。

シルクロードの朝ごはん

旅で一番好きな食事は朝ごはんかもしれない。朝ごはんってパターン化されているからその国の食文化のキホンがわかるでしょう。毎朝同じようなものを食べるから、朝ごはんが旅行の象徴的記憶になる。朝ごはんを食べてお茶を飲んで、今日は何しようかなあとぼんやり考える時間が好き。

油条（揚げパン）、豆浆（豆乳）、肉包子（肉まん）

台湾の朝ごはんのイメージが強いこの組み合わせは中国でも定番。揚げパンを豆乳に浸して食べる。揚げたてのパンは香ばしくて、豆乳に浸すとほんのり甘くなる。

私は早朝から行動することが多かったので、よく肉まんをテイクアウトしていた。夜明け前、暗くて寒い道の店先、蒸し器を開けると白い湯気がぶわっと立ち上って視界が白くなり、ふかふかの肉まんが並んでいるのが見える、これを幸せと呼ばずしてなんと呼ぼう。

お粥

あったかいお粥がタピオカみたいな容器で売られていて、テイクアウトするのに便利。これはかぼちゃのお粥で、麺類と肉で疲弊した胃袋を優しく包み込んでくれる味。

肉夹馍

てろてろに煮込まれた牛の角煮とピーマンを刻んでパンに挟んだ、中国式ハンバーガー。パンは熱い鉄板で上下プレスされて、香ばしく焼き上げられている。これシンプルだけどおいしいのー！ 　パンがぱりぱりもっちりで、肉はジューシーで五香の香りがして…。まあこれは別に朝ごはんとして食されるものではないんだけど、私はこれを夜に買って朝ごはんにしていた。朝用に買うんだけど、焼きたての匂いに我慢できなくて3割くらい食べてた。

そしてひたすら、麺

羊腸面

細麺に辣油ベースのたれと、大根の角切りをゆでたのと、ニラと、羊のソーセージがごろごろ入ってる。この羊のソーセージが旨い！！　色んなお店で食べてた。あ～～また食べたい～～～　

醸皮

　青海省の名物。にゃんぴーって読みます。でんぷん質のつるっとした麺と、これはなんだんだろう…なんか海綿みたいなのを、辣油と黒酢のたれで食べる。冷たくてさっぱりしていておいしい。6元（90円）。

涼面

名前の通り冷たい麺、つまり冷やし中華。これも辣油と黒酢のタレと混ぜて食べる。中国の麺は総じてやわめ。左上はキャベツのピリ辛和え。

驢肉黄面（ロバ肉麺）

敦煌名物、ロバ肉。なかでも最もポピュラーで手軽なロバ肉料理がこれである。麺に麻婆豆腐みたいな餡がのってて、ロバの肉と一緒に絡めて食べる。ロバ肉は鴨肉っぽい？　癖がなくて食べやすい。こういう餡を絡めるやつ快楽がすごくて大好き。

スイーツもあるよ

牦牛酸奶（ヤクのヨーグルト）

これも青海省の名物、ヤク乳のヨーグルト。表面は乾燥？してかぴかぴになっていて、カッテージチーズのようなクセがあり美味しい。毎日食べてた。

仙草ゼリー氷みたいな　名前忘れた

張掖の夜市で食べた。「仙草ゼリー」というと黒くて苦いやつを想像するけれど、これは透明でぷるぷるした葛餅みたいなの。ゼリー、甘いシロップ、黒蜜、スイカ、干しぶどう、ナッツ、ごま、芋圓（タピオカみたいなの）、色々入ってるスイーツ。ぷるぷる、もちもち、カリカリ、しゃくしゃく、色んな食感。これを女の子たちとキャッキャしながら食べたい人生だった。

ていうかこいつめちゃめちゃ食ってね？と思ったかもしれないけれど、めちゃめちゃ食ってました。ええ。例えば横浜中華街にお出かけしたら、その日は力の限り食べるよね？　それを毎日やってた感じ。
屋台系の中華料理って小麦＆肉＆油＆スパイスで殴りかかってきて快楽物質をドバドバ分泌させられるので、もうなすすべがありませんでした。

あと、中国語で書かれると全部がものすごく美味しそうに見えません？

（伝われ…）

「ジャージャー麺」って言われてもフーン…だけど、「炸醤面」だとものすごくそそられる。ヨーグルトより「酸奶」、アイスクリームより「冰淇淋」、「焼肉」より「烤肉」。「葱白爆炒羊肉」「西红柿炒鸡蛋」「酸辣粉」…漢字から伝わってくるシズル感がすごい。こういうのが通りにひたすら、薄汚れた看板に掲げられているわけです。『千と千尋の神隠し』で、両親が食べ過ぎて豚になってしまうイメージがすごくよくわかる。通りを歩いていて、目に飛び込んでくる食べ物の名前の全てが魅惑的すぎて、全部食べたい～～～！！！ってなってしまうので。
でも毎日2万歩以上歩いていたせいか、めちゃくちゃ食ってたのにあんまり太らずに帰ってこれた。運動って大事だなと思いました。