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牛乳よ、私を連れてどこまでも
牛乳は、昔の私を連れてくる。
小学生の頃、私は給食を食べるのがめちゃくちゃに遅かった。
みんなが食べ終わって、給食当番が空の銀トレイを片付け、教室の掃除が始まっても、私は給食を食べ終えられなかった。
冷めた料理と、ぬるくなった牛乳を前に、いつも泣きそうな思いだった。
食べるのも遅い、算数のプリントも遅い、作文も遅い、走るのも遅い。
自分が遅れていると気づくのも遅い。
周りの大人はいつも「遅
脅して、追い込んで、焦らせて、鶏肉
鶏肉を食べて、美味しいなあって思う。
美味しいから、もう一口、もう一口って食べる。
気づいたらいっぱい食べてる。
こんなふうに生きられたらいいなあ、とか思う。
よくわからないけど、最近、いろんな情報が私を脅してきている気がする。
脅して、追い込んで、焦らせてくる。
お急ぎください!
まだ〇〇してるの?
絶対失敗できないあなたに!
知らないと損!
うるさいなあ、と思う。
でも、鶏肉
しけしけのじゃがりこ
じゃがりこは時計である。
じゃがじゃが、りこりこ。
ガリゴリ、ゴリガリ。
ボリボリ、ジャクジャク。
チクタク、チクタク。
埼玉県、浦和、夜9時。
タワーマンションの下に、公園と呼べないような、小さな公園がある。
ベンチに座って、缶チューハイのプルタブを引っ張る。
プシュッと音が鳴って、缶の中で小さくシュワワ〜。
隣の友だちも、プシュッ、シュワワ〜。
ゴキブリがベンチの横を通過する。
コン
チーズinハンバーグ
箸を入れた瞬間、肉汁がジュワッ。
「あーっ、もったいない!その肉汁、もったいない〜っ!」
心の中で叫びながら、しかし容赦なく、箸をずいずいとハンバーグに押し付ける。
端っこを切り取って、鼻息荒く、一口目。
口の中にひろがる甘み。甘み。天海祐希。
子どもの頃、ハンバーグは単純にひき肉の塊を焼いたものだと思っていた。
玉ねぎが入っていると知った時、甘みの正体を知って感動した。
二口目にむけて
金太郎飴になりたいブロッコリー
私は長年、ブロッコリーは金太郎飴に憧れているのではないか、と疑っている。
ブロッコリーを切ると、縮小版のブロッコリーが誕生する。いくら切っても、ブロッコリーはブロッコリーの形を崩さない。
まるで金太郎飴を切っているかのようだ。
それだけではない。
ブロッコリーというのは、よく味わってみると、甘い。
蒸したり茹でたりしたやつは、特に甘さが際立っている。
ブロッコリーは金太郎飴に憧れて、野菜のくせに
消える10万円とスパゲティ
深夜0時。
夕飯を食べ損ねた私は、ダイニングテーブルの大皿に残っていたあさりのスパゲティを食べ始めた。
父はテレビを、母はスマホを見ている。
一口食べて、硬い、冷たい。
電子レンジで30秒。
スパゲティから湯気が立つ。
フォークでくるくる巻いて、口の中にいれる。
唇を閉じて、フォークをゆっくり引き抜く。
電子レンジを発明した人に、私は今日こそお礼を言わなければならない。
ホクホク、つるつる
綾瀬はるかになった私
口に入れた瞬間、少し甘い。
そのあとすぐ、舌の上で小さくパチパチパチッ。
耳をすますと、口の中からしゅわしゅわしゅわ〜と音がする。
後味は、これでもかというほど甘ったるい。
グビグビ飲んで、プハーッとやる。
片手は腰に。
この瞬間、わたしは綾瀬はるかになっている。
コーラじゃない、コークだ、って感じ。
綾瀬はるかになった私は思い出す。
「コーラを飲むと歯が溶ける」という嘘を信じ込んでいた、小学