野良猫腸戦日記 原作①

これは、ある日の出来事により人生が大きく変わった一匹の野良猫の人生を描いた笑いあり、涙ありの実話である。

       一章 咳

 平成ももうすぐ終わろうかという平成28年冬。野良猫(十七歳)は高校一年の冬休みで課題に追われる毎日を過ごしていた。
そんなある日のこと。野良猫が課題をサボり高校の実習工場でエンジンを作っているとき、
(あれ、なんか、息苦しい。ヤベぇ、風邪かな・・・バレたら○される・・・(自主規制))
とりあえず、野良猫は咳を必死に堪えて何とか学校から抜け出し、こっそり病院へ向かったのである。
「うわぁ、混んでるよ・・・」
それもそのはず、今はインフルエンザの時期なのだから。
 (野良猫さーん、1診へどうぞ~)
看護師さんのアナウンスでわしは診察室へ向かう。
 「よろしくお願いしまーす・・・ゲホッ・・・」
まさか、この医者との出会いが人生を変えるとは当時の野良猫少年には思いもよらなかっただろう。
「はじめまして、私は主治医のフクヤマという。よろしく頼む。」

(よろしくされたいのはこっちのほうだっての!)
「早速だが、今日はどうしたのかな?」
「はい・・・ゲホッ・・・咳・・・ゲホゲホ・・・が・・・止まらなくて・・・ゲホッ・・・」
「なるほどな、とりあえず・・・レントゲン・・・撮る?」

(いや、あんた決めろよ!)
「はい、お願いしま・・・ゲホッ・・・」
そして俺はレントゲン室へ向かった。
「ゲホッ・・・ゲホゲホ・・・」
(野良猫さーん、一番撮影室へどうぞー)
そこで待ち受けていた苦痛は次の通りである。
「はい、ではお写真撮っていき・・・あの・・・ピースはしなくていいですよ・・・。」
(わしはバカだから仕方ない・・・)
「はい、では息をすってー、止めて!はい、しばらく待っててね~。」

(今にも野良猫は咳が爆発しそうである・・・。)
「うーん、地獄・・・」
「はい、楽にしていいよ~あと、心の声もひっこめてね~。」
「はい・・・ゲホッ・・・。」
検査が終わり、診察室へ戻る野良猫は、もう、ひたすら咳と格闘して歩いていた。
「検査の結果・・・肺炎だね。どうする?」
「いや、どうするったって・・・どうしましょう・・・」
「点滴にする?飲み薬にする?それとも・・・ぜ・ん・ぶ?」

(こいつは本当に医者なんだろうか・・・)
「とりあえず、君、疲れた顔してるし、二、三日安静にしててね。」

(適当かよ!)
薬をもらい、とりあえず帰宅した野良猫は
先生の言うとおりに安静にしてのんびり冬休みを送ろうと決意するのであったが、そう簡単には肺炎は治らないのである。
 この肺炎には実は、とてもとても悲しい物語があるのだ。

                            つづく。


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