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勝手に動画分析 #08「大胆な構成で惹きつける台湾のイベントティザー」

こんにちは、BYNDのNATUです。

BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。

noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。

8回目。今回は最近モーショングラフィックス界隈で勢いを感じる台湾からの作品。


CF | 2023 新生地_新北城市藝術節

 (via vimeo|K4s Motion Studio)



ビジュアルデザインは Chen Hung Yu (YEN Design)、モーションデザインが Kforce Chen (K4s Motion Studio)。モーションまわりを一人で担当してるKforce Chenが地味にすごい。(ちなみにこの記事のタイトル画像がグラフィックのメインビジュアル)


今回の5項目チャートはこんな感じです。


今回のエクストラ項目は「動かさない」。前回の「動くって楽しい」とちょっとだけ対になってたりします。ちょっとだけですけど。


そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。



[LOOK:★★★★]


黒をアクセントに原色でカラフルに彩ったシェイプ、ここのところ台湾のモーショングラフィックス作品でよく見るPOPなビジュアルはやはり目を引きます。欧米のPOP系モーションはどちらかというと手書き感やラフさが味ですが、どこか工業的というかソリッドな印象に仕上げるのが台湾っぽいと個人的には感じてます。


[音:★★★]


シンプルながら細かい動きにもしっかり音を入れてきているのがうれしい。日本の作品では動作音を乗せること自体あまりない傾向にありますが、やっぱりこういうほうがTHE MOTION GRAPHICSという感じがして楽しめます。

キービジュアルでもあるこのシーンでは細かな音が使い分けられ
サウンド面でも見せ所とすぐわかる。


[編集:★★★]


シンプルな動きで構成しながら、ひとつひとつの動きには多様性があって見ていて飽きさせないモーションデザイン。グラフィックデザインとしてのメインビジュアルがカチッと決まっている中、シンプルでダイナミックなグラフィックデザインの印象を動きにも反映させているのが見事です。

静止したモチーフから動きを創造する。モーションデザインの難所であり醍醐味。


[構成:★★★★]


個人的に一番目を引いたのは漢字の使い所のうまさ。終始勢いある英字に比べて漢字は逆張りスタイル。小さくすることで目を引かせるという演出はすごいの一言。これには「ぅお…」と声が漏れました。英字は速く動いてたり薄字だったりで、基本的に「読ませる気のない存在」ながら漢字はしっかり視認できる尺を取っていたりして、ちゃんと記憶に残るんですよね。いやあなんとも緻密な構成です。メインビジュアルにはないこの部分こそモーションデザイナーのセンスが光るなと感じました。


[動かさない:★★★★★]


気づく人は気づいてたかもしれませんが、実は中心の円が終始動いていないという大胆なモーションデザインになっています。これにより常に中心の円がシーンをまたぐ共通項として機能していて、派手な動きが連続するなかでも作品全体に統一感を出しているんですよね。動かさないことでモーションをまとめ上げるという手法。これには一本取られました。

動かさないモーションデザイン。
そここそがこの作品の一番のポイントなんじゃないかと。うまい。




さて、以上いかがでしたでしょうか。

動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。

それではまた次回。NATUでした。

(Writer:スタッフ NATU)

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