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通訳者x異文化理解xコミュニケーション vol.4 ~Open AIのChatGPTがブームになる中で人間だからできること(通訳者編)~

こんにちは。ブライトウーマンワールドの通訳者&コミュニケーションストラテジストのえりりんこと高瀬惠理です🌈

先日、友人が代表をしているNPO法人HIKIDASHIの講師として、異文化コミュニケーションについて、お話させていただきました。ママさんがたくさん所属している食育コミュニティ向けということで、『グローバル子育てに大事なこと』というお題をいただいて、いろいろとお話させていただきました。(講座にご興味ある方はこちらのお問合せからご連絡ください👉HP

7つほど大きな問いをいただき、その答えを自分なりに考える中で、思ったことがあります。問いはこんな感じでした。『AI化が進むなか、人間だからできることは何ですか?』と。

この問いはよく聞かれます。実は2年前に本田圭佑さん(😲)が代表を務めるNowDoでお話させていただいた時にも、問いとしていただいたのですが、今から思えば、まだまだ私の中で考えがまとまってなかった気もします。
(と言いつつ、その時のアーカイブは(NowDo登録がいるようですが)こちら👉アーカイブ

今回、もう1度考えてみると、次のことに思い至りました。

通訳者は相手の背景知識を考えながら、ターゲット言語に訳しているということ。分かりにくいのでちょっと例題を。

(https://smbiz.asahi.com/article/14533295から引用)

これ何ですか?

多分、日本に住んでいる人ならだいたい知っているお菓子。

これを英語にしてくださいと言われたらどうしますか?

一応、今、翻訳精度がよいと言われているDeepL先生にどうするか聞いてみると、

Umaibo

時々あるんですよね。日本語をそのままローマ字表記にしたり、意味不明な日本語は訳さずごっそり飛ばしたり。。。💦

じゃ、通訳者はどうするかと言うと、

1.通訳を聞く人がどれくらい日本について知っているかを考える
けっこう知ってるなら→DeepLさん同じく、Umaiboでいいと思います。変に違う言い方をするより、しっかり通じます。(日本食を取り扱うバイヤーさんがそんな感じ。前に、南アフリカに住んでる日本食取り扱いバイヤーさんの通訳をしたら、ものの名前の部分は日本語のままの方がしっかり通じてました!Binchotan(備長炭)とか)

2.うまい棒の成分などを考える
Umaiboと言って通じなさそうであれば、どういう風に表現すれば、うまい棒っぽいのを表現できるか考えます。通訳対象者さんが韓国など、日本の食文化と近い文化を持っている国であれば、韓国でいう○○だよという言い方もできるかと思います。(またまた余談:日本でいうパックンチョと類似したお菓子が韓国でもあるのですが、なんとその名も”カンチョ”(😲)。なかなかな名前ですw)
全く近しいものがなければ、成分を考えます。コーンからできているスナックなど。(ちなみに、うまい棒を説明した英語のサイトでは、puffed corn classic Japanese snacksと表現しているところも。)

過去に、「うまい棒は訳したら"delicious bar"じゃないですか?」と言われたこともあります。うまいに相当する英単語は確かにdeliciousやtastyになると思いますが、delicious barでもともとのうまい棒の雰囲気を再現できるかどうか???

よく、通訳者の間で、「スピーカーが見てるものと同じものをリスナーに見せる」というような言い方をします。

つまり、通訳者は辞書に載ってる単語を日本語や英語に置き換えているのではないということ。ただただ辞書に載ってる単語ベースで変換するのであれば、機械の方が絶対に正確で速いに決まっている。

でも、通訳者は言葉ではなく、スピーカーを言わんとしているイメージを通訳対象者の言語で再構築している。その再構築の作業の途中には、冒頭に出た『日本文化をどこまで知っているか』という作業も入っている。そんな相手を考えた通訳というのは、人間しかできないと思っているし、逆に、「単語だけ置き換えてほしい」というような依頼(文法がそもそも違うので無理な話ではありますが)は、機械に任せてしまって、機械と人間で共存していくのもありだと思う。

だから、ChatGPTというワードがブームになっていても、自分がやるべきことをやるだけかなとも思う。

そして、通訳をしながらいつも思うことで、これを読んでくださってる方にぜひお願いしたいことがあります。ぜひ、プレゼンする時には、相手が自分や日本についてどれくらい知ってるかを考えながらプレゼンしてほしいと思います。

例えば、「弊社は○○県、○○市に本社を構えておりまして~」というようなことを言いたいとき。

おそらく、これまで何度となくそういった話し方で、日本国内の企業さん向けに会社説明をして来られたので、ついそう言ってしまわれたのだと思います。

ただ、Tokyo、Osakaしか知らない海外の方であれば、まず、○○県ってどこ?ましてや○○市って???となって、せっかくのプレゼンも冒頭から不明瞭なものになってしまいます😿

それこそ、文章を読むだけなら、AIもできます。自分しかできないプレゼンのために、相手に寄り沿って、「○○県って知ってますか?」というようなインタラクティブな進め方ができたらいいんじゃないかなと思います。

参考になると幸いです🌈



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