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多様性の意味合い:AWSのPride talkをきっかけにダイバーシティについての考えを整理してみた

多分日本では全く話題になってないと思いますが、6月28日はInternational LGBT+ Pride Dayということになっています。ブラジルでもその直前の週末はPride Paradeとしてパウリスタ大通りで盛大なパレードがあり、毎年超大盛り上がりです。私が初めてこのパレードを見たのは2011年だったんですが、日本では考えられないなあ、と思いながら改めてカルチャーの違い、オープンさを感じたものです。

こちらのスタートアップ界隈でもアマゾン・ウェブ・サービスがPride Talkというウェビナーをスペイン語で企画し、弊社のAlejandro Trollがスピーカーとして参加しました。その際にBrazil Venture Capitalとしてダイバーシティについてどう考えるのか、という質問を受けたので普段ボヤっと考えていることを言葉にできたのでここに整理しておこうと思います。

多様性を受け入れられないとスタートアップエコシステムは発展しない

まず、私たちは「スタートアップ」と仕事をしています。スタートアップは超マイノリティです。世の中の誰もがうまくいかないと思っているような新規事業で初めて、マジョリティである既得権益の非合理性を解決したり、アプローチしきれないところにサービスを提供していきます。なので、そもそもがダイバーシティがビジネス構造のベースにあるといっても良いと思います。

ラテンアメリカ内での弊社の位置づけ

次のレベルがブラジル・ベンチャー・キャピタルとしての弊社の位置づけです。弊社はブラジル市場で日本人が初めました。当然ながら超マイノリティなファンドです。日本では「ベンチャーキャピタルなんて外国人のお前がブラジルに行ってもうまくいくわけない」と言われましたし、ブラジルでも「日本人のお前に何がわかるんだ」と言ったコメントを頂くことは当初から多数ありましたし、それなりに存在を認識された今でも「10年もいるのにアクセントが直らないんだね」と軽い皮肉を言われることも多々あります。一方で日本に対する肯定的なイメージからブラジル人のよくわからないエンジェル投資家から投資を受けるよりはディシプリンがしっかりしてそうだし、経営面で異なる側面から支援を受けられることに期待して頂くこともあります。

ダイバーシティがどのように機能しているか

いまの弊社の構成は国籍でみるとブラジル、コロンビア、ペルー、日本。性別は男性対女性が約半分。年齢は24歳から46歳。ただ人種では白人系が多くを占め、アジア系が私一人という状況です。実際に事業をしていてわかりやすく感じるのは「スタッフのいる属性コミュニティへのアクセスのしやすさ」です。投資候補となるスタートアップもコロンビアやペルーからの流入が増えましたし、今回女性起業家向けのアクセラレーションプログラムを開催しましたが非常に多くの応募・反響を得ることができました。また、大学生向けのアプローチを強化しているのですが、新卒のスタッフの存在が大学の起業サークル等と話すときにプラスに働いている感覚はあります。ベンチャーキャピタルに限らず、こうしたコミュニティ、ネットワークへのアクセスは明確に多様性の利点だと考えます。そもそもawsのPride Talkに参加させて頂けたこと自体もありがたい機会でした。

多様性を強化する具体的なアクション・認識している課題

スタートアップ・ベンチャーキャピタルが以前よりは身近になってきている中で、このエコシステム内での多様性は大きなテーマだと思います。起業家としてのプロフィールもいわゆる大手にいくエリート層とは違うような気もしますが、高学歴偏重や、人種の均質性は否めないのでこの辺りは大きな課題です。ブラジルではGoogleなどがアフリカ系起業家によるアクセラレーションプログラムなどを提供するなどのアファーマティブアクションをとっています。弊社でも私以外は白人系ラテンアメリカ人で、人種バックグラウンドの多様性は高めなければいけないと考えています。ただ、実際採用しようとするとマイノリティの応募者が少ないため、多くの応募者数をとるために多大な広告投資をしなければいけないところが直近のボトルネックとなっています。
また、弊社の投資先には大企業の採用プロセスでのバイアスを排除するようなツールを採用の利便性向上と合わせて提供しているブラジルのスタートアップもあります。

最終的には個性が貢献できる環境をいかに作るか

日本で事業をしてる時も高学歴の男性日本人でまったく事業に貢献できない人もたくさん見てきました。ブラジルでのスタートアップを見ていてもどうようで、高学歴男性白人系起業家であっても失敗している例の方が当然多いわけです。
特に弊社のように業界内でもまだまだ小さな存在で、絶対数としてかかわる社員・起業家が少ない中では属性グループにかかわらず個々人の個性・能力をしっかり見極めて貢献できる環境を作っていくことが重要だと日々考えています。一方で多様性を広げていくことでのユニーク化が差別化の一つのカギになるのは間違いないと信じているので、限られた人数ではあるものの今後もダイバーシティを強化していきたいと、スタッフの募集活動をしながら改めて感じました。

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