【艶福】〜男は愚かな生き物だ〜

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気温30度を超える猛暑日。全身から溢れ出る汗を拭いながら一刻も早く冷房の効いた室内へ辿りつきたい一心で早歩き。そんな時ですら男は道ですれ違う美女に見入ってしまう。そして自分の中で点数化する。「可愛いけどもうちょっと胸が大きければ...80点だな。」勝手に見られて批評されて女性からすると失礼極まりない話である。
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男という生き物は元来愚かである。欲に対して実直であり、理性で抑制することが出来ない。これはもう開き直りに近い。そう作った神様が悪いのだ。男の破滅パターンはだいたい以下の3つに分類される。「女」、「金」、「酒」。どんな男も欠点を持っている。
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浮気性で金は返さないし、酒が入ると説教と悪態をつき始める。3つを誘発するものはクズといっても過言ではない。2つなら病気、1つも当てはまらないものは万に1人だ。「女癖」「借金癖」「酒癖」分かりやすくこんな言葉もある。残念ながら1つくらい男の愚かさには目を瞑ってあげることが女性にとっては賢明なのかもしれない。
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いや、我こそはそんなことは無い!と手を挙げて堂々と言える男はたいしたものだ。一方で多くの男性はそんなことは言えない。こっそり墓場まで持っていくような秘め事が脳裏をよぎる。こうした欠点を直そうとしても人間はそんな簡単に変われない。一定期間、自分を省みて、また同じ過ちを犯す。その度に自分が嫌いになる。でもまぁしょうがないやと開き直る。それが男だ。僕は根っからの「性悪説」主義者なわけだ。
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誤解を恐れずに言うとだいたいの男は「モテたい」と思っている。これはメスの気を引きたいオスの生存本能に起因する。かっこよくいたい。太りたくない。ハゲたくない。そしてできるだけ可愛い子とヤリたい。そんなことばかり考えている。
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だが本当にヤるための努力をしているのか、というと特にしない。2軒ハシゴして、適当にナンパでもしてみるが、上手くいかない。「そんなに可愛くないくせにお高く留まってんじゃねぇよ。」女性に対してせめてもの負け惜しみと最低の文句を垂れながら最終的にはキャバ嬢様に慰めてもらう。その場しのぎの衝動的な醜態である。
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世の男は「モテる」ということについて考えているのだろうか。僕はこの「モテる」を言語化し、恋愛を科学することに人生を費やしてもみたい。そしてどこかの大学で常勤講師となり「恋愛心理学」を人気の講座にしてみたい。残念ながらいい歳して、女子大生を口説いている自分の姿は安易に想像できる。
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では女性が惹かれる男性とはどんな男性なのか、顔のタイプ、身長、体型、服装、声、匂い、etc.... 残酷にも女性から下されるチェック項目数は街頭アンケートよりも多い。男たちはそれぞれ自分にあった方法で磨きをかける。だがこれらは非常に指標化しにくい。相手の好みによる変動性が大きいからだ。無理やり相手に合わせにいくにはそもそも遺伝子レベルで改良を加えないといけない。
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だいたいの女性もできることなら「イケメンでお金持ちの腕の中で眠りたい」とは思っている。だが女性は男ほど愚かではない。理性で抑制し、現実的思考を持つことができる。美人のあの子が結婚したお相手の写真を思い浮かべてみよう。実態は「まぁそこそこのルックスの旦那」が映っているはずだ。こいつが射止めたのか。だが彼らは総じて優しそう、誠実そうなのだ。
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これこそ「モテる」要素である。上記した変動性要因の強い外的部分ではなく、内的部分に無条件にモテる男を際立たせるものがある。それが「優しさ」「器量」そして「無邪気さ」だ。
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「優しさ」は奥が深い。まず女性の気持ちに徹底的に寄り添う。基本的に聞き上手で相槌がうまい。否定はしない。気が効く。率先して男が動く。一挙手一投足まで彼女のために。あー、なんで私がしてほしいことこんなに分かってんの!と思わせることだ。そのために観察して努力をしなきゃいけない。そしてそれを自然に。さりげなく。華麗に行う。「車道側危ないから場所変わるよ!」そう言いたい気持ちをグッとこらえてヒラリと場所を変える。え、この人は先天性でこんなことができるのね、って男を演じる。
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「器量」も言わずもがなだ。優しさにも紐づくが、小さなことでイライラしない。けちけちしない。お金に余裕を持っている人はまさしくこの類だ。器の大きな男には女は弱い。「このバッグ可愛い!」「あー可愛いね。似合うと思うよ。プレゼントするよ。」「ハワイ行きたい!」「いいねー、じゃあ来週あたり行こうか」こんなことを言われて喜ばない女は残念ながらこの人類には存在しないのだ。
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そして最も重要な「無邪気さ」。いくつになってもキラキラした目で夢を語る男。休日は馬鹿みたいにはしゃいでアウトドアに夢中。男の人って意外と無邪気なんだな、、、そう思わせてしまえばもう勝ちだ。一種の可愛さを孕んだ無邪気さは突然男らしさの中に隙を覗かせる。その瞬間、女は恋に落ちる。
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モテる男はこうして誕生する。理論はよく分かった。あーなんて簡単なんだろう。先日、女性と食事をした。意識は「優しく」「寄り添って」「余裕をもって」
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2時間後、満腹な体にハイボールを流し込みながら気付いた。僕は自分の話しかしていない。
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やっぱり男はどうしようもないのだ。
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