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就活-真っ暗なスクリーンを前にして泣き尽くした-

モロッコ、彼女たちの朝」の試写会のために小さな劇場に辿り着いた。宗教の影響でシングルマザー(の妊婦)は許されないリアルなモロッコを描いた作品だ。美味しそうなモロッコならではのパンが出てきたり、妊婦を居候させ、パン屋を営む未亡人の葛藤も見所。8/13(金)ロードショーだから今見れることはとてもラッキーだったと思う。

上映の30分前、試写会がある劇場の前でそわそわGmailを見ていた。一次選考の結果が来る。とても働きたい企業で、これまでにないくらいいい志望動機を書けていた。他人に見せても「これまでで一番熱くていいね」と言われていた。ここに落ちたらもう受けたい企業はないから、就活は辞めようとまで思った。

落ちてしまったらしい。なぜだろうか、これまで書類で8割は落とされてきた。入社したらこう働いていきたいと頭の中で描いても、伝える間もなく願い下げ。

18:00 劇場は開いた。体温を計り、アルコールで手指消毒をし、TwitterのDM(招待券)を受付の人に見せて入場した小さな映画館。真ん中の席に座り、まだ明るい会場の中で「理由」を考えていた。

上映は18:30。それまでマスクの中で鼻水が垂れまくっていた。替えのマスクはない。鼻水で呼吸が苦しい。このご時世でなるべくしたくないけれど、口呼吸もして酸素を取り込んだ。

〇〇落ちちゃった」家族LINEに送った。「そうかー」「残念」「次考えなきゃね」母にまた言われた。そんなに受けたい企業なんて見つからない。

とにかく受けなさい」受けたところで志望動機が薄っぺらかったら落ちます。ぶ厚くても落ちますけどね。

人材難の介護業界で働く母とは違います。よっぽど横暴な態度でなければ働ける業界と違います。バブル景気で雑談だけで大手企業に就活した父とも違います。

母がAOKIで買ったリクルートスーツもまともに使えていない。最近サイズが変わって入らなくなった。面接で困るだろうからと、母に一回り大きいものも買った。本当に使えるのだろうか。それほど持っておくべきものか?「リクルート」スーツなんだから。

プレゼン型の就活にも挑戦しましたが、そことの相性も悪かったようです。従来の選考よりは面白みを感じましたが、私より面白い人がいたんですね。

私の魅力が分からない企業が悪い」本気で応募した企業に書類や一次面接で落ちて泣いた後、必ず立ち返る言葉。結局、どんな否定も蹴り尽くす。

ぶたももってさ。仕事できるタイプだと思うよ。」この前のオーキャンで久しぶりに会った友だちから言われた。私もそう思っている。夏休みの宿題は計画的に終わらせる。より良い作品を作るためにやり直すことを恐れない。言われたフィードバックは全部反映させてみる。

こういう態度って伝わらないんですね。書いて話してアピールしてますよ。私の言葉は嘘っぽいですか?

いつもぶたももは仕事早いから仕事振るのが追いつかないよ。」UIデザインのバイト先の定例会議で言われた。

「まだ就職先決まってないんですよ。」「ぶたももぐらい優秀だったらすぐ決まるよ。」まだ決まらないし、「今受けている企業すごい働きたいところなんです。」なんてつい最近言ったばかりなのに今日落とされました。これってお世辞なんですか?

へぇ、作品いいねぇ。ちゃんと話せているし、スキルはあるんだから心配しないで。もっと酷い子が障害者雇用で就職してますよ。ちょっと個性的だけど、あなたならできる!」8年ぶりに訪れた発達障害クリニック。ぶたが表紙のポートフォリオをスマホで見せた。表紙のデザインはぶたしかしっくりくるものがなかった。もし、これが原因で落とされていたのだとしても、ぶたさん以外有り得ない。だから落ち続けるのだろうか。

映画が始まる直前、励ましのLINEを一通り見て、機内モードにした。映画の冒頭、妊婦が仕事を探しにいろんな人に頼み込んでいるシーンがある。断られ続け、パン屋を営む未亡人に拾われてパン屋で働くようになる。わたしもこんな企業に出会えるのだろうか。企業じゃなくてもいい。私と一緒に仕事をしたいと思ってもらえる人はどこかにいないだろうか

映画が始まったばかりなのに涙と鼻水で溢れている。これは映画から受けた感動ではない。上映前の明るい真っ白なスクリーンが真っ黒に見えるほどの諦めと謎だ。


ここにポートフォリオを貼っておきます。
私はこういうものです。
どうか、よろしくお願い致します。


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