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海外から日本のネットワークにつなぐ(7)

さて、前回、SoftEther VPN Server及び VPN Azureの説明が終わりましたので、次は、海外拠点である VPNクライアント側について説明します。

改めて構成例の図を見ていただきましょう。

インターネットに繋がる回線は、海外の携帯電話通信会社(キャリア)のものを使います。

海外でインターネットの固定回線を契約するためにはいくつかのハードルがありますが、申込から開設までに1か月以上掛かったり、障害発生時にすぐに復旧されないなどのトラブルが多いため、短期旅行者に限らず、海外赴任者や海外移住者であっても、キャリア回線を使う人は、多いと思います。

キャリア回線は、外国人でも簡単に契約でき、使いたい日数やデータ容量だけを購入できるため、使い勝手が良く、移動先でも使えるインターネット回線としてお勧めです。

特に、海外では場所によって通信品質が大幅に変わることがあるため、滞在先に合ったキャリア回線を選択できるのは、固定回線にはないメリットと言えるでしょう。

現地キャリアの SIMカードを挿したスマホでやることは、インターネット回線の共有です。Androidや iOSには、テザリングという機能がついているため、それを有効にすることで、スマホに Wi-Fi接続するデバイスでもインターネットを使うことができます。

構成図の例で言うと、スマホに Wi-Fi接続するデバイス(テザリングの子機)は、❶ SoftEther VPN Clientがインストールされた VPNクライアントのパソコン、❷ 無線ルータの WANポートに有線 LANを提供するイーサネットコンバータ、❸ スマートテレビ、❹ MacBook となります。

そして、❶ のパソコンが日本の VPNサーバに接続し、VPN回線をブリッジ接続でアクセスポイント側に提供することで、海外拠点に日本と同じローカルネットワーク環境を構築するため、海外拠点にある他のデバイス(❸ スマートテレビ・❹ MacBook)に別途 VPNクライアントソフトのインストールは不要です。

海外拠点のデバイスがインターネット接続する場合、❸ スマートテレビは、無線ルータの有線LANでネット接続し、❹ MacBookは、無線ルータの無線またはスマホからのテザリングでネット接続します。

そして、日本と同じローカルネットワーク環境でインターネット接続する場合、❸ スマートテレビ・❹ MacBookは、無線の接続先をアクセスポイントに変更するだけです。

少し工夫するなら、❸ スマートテレビでは、通常、海外のインターネット環境を使うのか、それとも日本のインターネット環境(日本と同じローカルネットワーク環境)を使うのかを決めておき、❸ スマートテレビが仕様上、優先するネットワーク(有線 LAN/ Wi-Fi)を普段使わない環境にし、普段は、使わない方のネットワークを遮断する(有線 LANならケーブルを抜き、Wi-Fiなら接続をオフにする)と良いでしょう。

❹では、普段使わない Wi-Fi接続先を自動接続にしない設定にするとよいでしょう。

具体的には、普段、海外のインターネット環境を使うなら、自動接続先として、無線ルータを設定し、日本のインターネット環境(日本と同じローカルネットワーク環境)を使うときだけ、自動接続をオフにしているアクセスポイントに接続するようにすればいいという訳です。

一見、複雑そうに聞こえるかもしれませんが、実運用上、こちらの方がメリットが大きいと考えています。

単純にVPN接続と言っても、接続するデバイスの用途が異なる訳ですから、用途にあった接続先を選択するのは、自然なことだと思います。

たとえば、スマートテレビは、普段、日本のインターネット環境(日本と同じローカルネットワーク環境)にしておく方が、日本のコンテンツにアクセスしやすいでしょう。

また、匿名性を重視している場合、MacBookで日本の拠点にVPN接続する人はいません。海外のインターネット環境下から、SSTP Connectといった VPNクライアントソフトをインストールして、ロシアのVPNサーバ経由でネット接続したり、ExpressVPNや NordVPN、SurfsharkといったノーログポリシーのVPNプロバイダを使ったり、Torブラウザを使ってネット接続することで、匿名性を高めるでしょう。

(続く)

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