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省エネ性能の簡易な評価方法「モデル住宅法」とは?

モデル住宅法とは住宅の省エネ性能の簡易な評価方法の一つです。

省エネ基準の評価方法は以下のものがあります。
標準計算ルート
簡易計算ルート
モデル住宅法
(この他「仕様ルート」という評価方法もあります)

これらの評価方法は下に行くほど評価方法が簡単になります。
ただ、計算が簡単になるほど安全側で計算されます。
安全側ということは性能を低く評価されることを意味し、本来の性能が評価されない可能性があり、基準もクリアしづらくなります。

モデル住宅法の計算方法

モデル住宅法はより簡単に省エネ性能を判断する方法です。
面積や長さの計算が不要になり、熱貫流率(U値)日射熱取得率(η値)は、断熱材・窓メーカーのカタログなどの数値を利用します。
そのため、非常に簡単な計算で省エネ性能を判断できます。

モデル住宅法で計算する場合は、計算シートが用意されていて、ここに数値を入力していくことで計算します。
以下はモデル住宅法の外皮平均熱貫流率(UA値)の計算シートのイメージです。
(この計算シートはイメージで今後変更になる可能性があります)

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外皮平均熱貫流率を計算する場合は、各部位(天井・外壁・床など)の熱貫流率をメーカーなどから取得して、それを計算シートに記入します。
計算シートに部位ごとの係数が記入されているので、その係数と熱貫流率をかけます。
そして、それらを合計します。
これが外皮平均熱貫流率になります。
基本的には平均日射熱取得率(ηA値)も同様の計算シートに従って計算していきます。

モデル住宅法のメリットとデメリット

モデル住宅法のメリットは評価を簡単にできることで、デメリットは安全側で計算されることです。

また、モデル住宅法は、住宅トップランナー制度住宅性能表示制度BELSなどには使用することはできません。
また、一次エネルギー消費量の太陽光発電などの創エネには対応できません。

基本的にモデル住宅法は省エネ性能の説明義務化制度を簡易に行うための評価方法と考えた方がいいでしょう。
省エネ性能の説明義務化制度が来年の4月から始まりますが、制度が始まった直後は計算が簡単なモデル住宅法で計算される方が多いと思われます。
その際には、モデル住宅法のデメリットについて十分に理解した上でご利用ください。

モデル住宅法の意外なメリット

さて、モデル住宅法は安全側で計算されるため不利と言いましたが、モデル住宅法が有利な住宅もあります。
それは開口部比率が非常に大きな(窓面積が大きな)住宅です。

モデル住宅法では実際の窓の面積は考慮されません。
窓は断熱材よりも断熱性能が低いため、窓面積が大きくなると断熱性能が低くなり、本来は外皮平均熱貫流率の基準をクリアしづらくなります。
しかしモデル住宅法では窓面積が考慮されないため、有利に計算できる可能性があります。
ただし、これは実際の住宅の断熱性能とは違いが生じ、正しい性能の判断ができませんのでご注意ください。

モデル住宅法にはこのような穴があるということを覚えておきましょう。

なお、モデル住宅法の計算方法については現時点では確定ではありませんので、今後変更になる可能性があります。
あらかじめご了承ください。
せめて開口部比率くらいは考慮できるようにして欲しいところです。


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