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日射熱取得率(η値)の計算方法

今回は省エネ基準平均日射熱取得率(ηA値)日射熱取得率(η値)の計算方法についてご説明します。
この計算はなかなか大変です。

日射熱取得率は、窓と窓以外で計算方法が大きく異なります。

窓以外の日射熱取得率

窓以外の外壁や天井などは熱貫流率(U値)がわかれば簡単に計算することができます。
熱貫流率は外皮平均熱貫流率(UA値)の計算時にすでに計算していますのでそれを利用します。
計算式は以下の通りです。
日射熱取得率 = 日除け効果係数 × 0.034 × 熱貫流率

0.034は固定の値です。
日除け効果係数は、日除け(庇など)を考慮するための係数です。
窓以外の場合は日除け効果係数は1として計算することができるので、通常は日除け効果係数は1で計算します。
窓以外は窓と比べてに日射熱取得率が非常に小さいので、通常は1で計算しても大きな影響はありません。

窓の日射熱取得率

窓の日射熱取得率の計算は非常に複雑です。
ここで全部説明すると非常に長くなってしまいますので簡単にご説明します
計算式は以下の通りです。
日射熱取得率 = 取得日射熱補正係数 × 窓日射熱取得率

窓日射熱取得率はガラス仕様や日射遮蔽物(障子・外付けブラインド)などで決まる値です。

省エネ基準資料にガラス仕様別に一覧がありますので、そこで調べることができます。
また、窓メーカーで窓日射熱取得率が提示されている場合は、それを使用することもできます。

取得日射熱補正係数

取得日射熱補正係数は季節(冷房期・暖房期)、方位、ガラスの仕様区分、地域、窓の高さ、日除けの出、日除けと窓の距離などで変わる値です。
取得日射熱補正係数は簡略な計算方法(簡略計算法)と詳細な計算方法(詳細計算法)があります。
簡略計算法では簡易な方位別・地域別の計算式が用意されていますので、その計算式を使用して計算することができます。

詳細計算法は以下の手順で計算します。
・窓の高さ(y2)、日除けの出(z)、日除けと窓の距離(y1)からl1 = y1/z、l2 = y1+y2)/z を計算
・ l1、l2から省エネ基準で用意されている表から比例配分してf1、f2を取得
・取得日射熱補正係数 f = (f2×(y1+y2) - f1×y1)/y2 を計算

これだけ見ると計算は難しくないように見えますが、省エネ基準で用意されている表が季節、方位、日除け、ガラスの仕様区分でl1、l2ごとに分かれているため、膨大な数値が並んでいる表から数値を拾い出さなくてはなりません
しかも、窓の高さ、方位、日除けの寸法が異なれば、別々に計算しなければならないため、窓の数が多くなるほど計算量もその分増えます。
さらに季節により数値が変わるため、冷房期と暖房期は別々に計算しなければなりません。
そのため計算に非常に時間がかかります。

専用ソフトでは詳細計算法で計算できるものがありますが、手計算では詳細計算法で計算するのは時間がかかるため、通常は簡略計算法で計算します。
ただし、簡略計算法は計算が簡単になる分安全側で計算されるため、不利な計算になりますので、本来の性能を評価したい場合は詳細計算法で計算したいところです。

詳細な計算方法についてご興味があれば以下をご参照ください。


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