禅の公案の答え（12）

感謝の海

人間、100%の感謝の海へ没入することは可能であると思います。そのうちの手立ての一つが坐禅ということになりますが、感謝100%になると一体どうなってしまうのでしょうか。私は良い意味で心が精神崩壊を起こして、その人は生きられなくなってしまうと思います。
私も「今、この瞬間に限って」「100%のありがとう」という状態になることはあるのですが、これが継続してしまうと仕事も家事もおろそかになってしまうでしょう。
なので、返って嫌なことを思い出して心に緊張感が保たれるよう、逆の意味で調整をしています。この、プラスの意味での崩壊の対極にあるものが自殺です。これを防ぐには良いことを思い出す努力をするはずです。
坐禅を続けていると、ある日ふと、何かのきっかけでベクトルが逆になります。そして100%の感謝の力は、どんなネガティブな記憶も押し流してしまう絶対的なものを持っているのです。
私は自分が善人だと言うつもりはありませんが、禅の老師に認められてまずまずの人生だと思っています。たぶんそういう、自分の人生にまずまずと納得出来るような人が死後行くのはこの100%感謝の世界のような気がします。坐禅の経験があってもなくても、悟っていても迷っていても、自分の人生に良心が納得出来れば天国行きは確実ではないでしょうか。