ヤブ医者

【現代日本昔ばなし53】素人ヤブ医者

 むかしむかし、あるところに しろうとやぶいしゃが いました。

しろうとやぶいしゃは かってに ひとを びょうきと はんだんし、きめつけることで せいかつを していました。

たばこを すっているひとが いたら、

「あのひとは はいがんの ひとだ。」

とか、ぱちんこの れつを みたら、

「あのひと たちは ぎゃんぶる いぞんしょうだ。」

とか、かってに きめつけて ひとを みているのでした。


 あるとき、しろうとやぶいしゃが いつものように、でんしゃに のろうと すると、こどもが ゆびさして いいました。

「あのひと、じょせいせんよう しゃりょうに のろうと しているよ。ちかんに ちがいない。」

しろうとやぶいしゃは いいました。

「ひとを かってに ちかんと きめつけるなんて、びょうきに ちがいない。きみは びょうきだ。にどと ひとを ちかん よばわり するんじゃないぞ。」

こどもは、なにも いわずに さって いきました。

しろうと やぶいしゃは あんしんして、じょせいせんよう しゃりょうに のり、ちかんを しました。


 そして、そのひ、しろうとやぶいしゃは たいほ されました。

さいばんまえに しろうとやぶいしゃは いしゃに びょうき だと はんだんされました。

しろうとやぶいしゃは おもいました。

「おれを びょうきだと いうやつなんて びょうきだ。」


 それからというもの、しろうとやぶいしゃは つみを まぬがれ、せいしんびょういんで あいかわらず まわりを びょうにんに しながら、しあわせに くらしましたとさ。

めでたしめでたし



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