てらす

【現代日本昔ばなし 9】テラス席男

 むかしむかし、あるところに、しごとができるふうの おとこが いました。

おとこは たいした のうりょくも ないのに、しごとが できる ひとに みられたかったのでした。


 あるひ、おとこは いつものように みどりいろの かふぇの てらすせきで、りんごまーくの ぱそこんを ひらいて そりてぃあを やっていました。

すると、ひとりの おんなが ちがづいてきました。
「なにを やっているんですか?」
おんなは たずねました。
「わたしは えすいーです。えすいーが なにか わかりますか。きみには わからない だろうね。とにかく ぼくは すごいんだ。」
おとこは いいました。
「まあ、すばらしい。あなたは、なんでも できるんですね。」
おんなは いいました。
「もちろん。なんたって、ぼくは えすいー なんだから。」
おとこは とても じまんげに いいました。

「それでは、あなたが いまやっている、その、そりてぃあを、じどうで すべて おこなう ぷろぐらむを かいてください。」
おんなは そういうと、のーとぱそこんを ひらきました。
「さあ。」

おとこは、いいました。
「なぜ、おれの ぎじゅつを あなたごときに みせなければ、ならないのですか。そんな かんたんには みせられない、なんたって おれは えすいー なんだから。」
おとこは、どうようしながら いいました。
「わかりました。さようなら。」
おんなは、さっていきました。


 そのようすを みていた、となりのせきで ざっしを よんでいた おんなは、びっくりしました。
なんと、いま よんでいる、ざっしの ひょうしに、まさに いまの おんなが のっているからです。
そこには、「せかいいちの そふとがいしゃ びげすとそふと しんしゃちょう」とかいてあったのです。


 そんなことも、つゆともしらない おとこは、きょうも みどりいろの かふぇの てらすせきで、そりてぃあを しながら、きゃらめるまきあーとを のんでいるのでした。

めでたしめでたし。

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