サイン

【現代日本昔ばなし55】サイン欲しい

 むかしむかし、あるところに、さいんほしいさんが いました。

さいんほしいさんは、とにかく さいんを ほしがりました。

げいのうじんが のりそうな しんかんせんを みつけては、えきの ほーむで まちかまえて さいんを もらったり、ぷろやきゅうの 2ぐんの きゅうじょうに いっては、れつに わりこんで、にんきせんしゅの さいんを もらったり していました。


 あるとき、さいんほしいさんが いつものように たいりょうの しきしを かかえて はらじゅくを あるいていると、ひとりの おんなが はなしかけて きました。

「すみません。さいんほしいさん ですよね。」

さいんほしいさんは おどろきながら こたえました。

「そうですが、なにか。」

おんなは いいました。

「さいん ください。」

「へ?」

さいんほしいさんは もっと おどろきました。

「しゅだんを えらばずに いろんなひとの さいんほしがる ひとですよね?ちまたでは ゆうめいじん なんです。さいんください。」

おんなは そう いったのです。

「そんなこと いわれても・・・・。」

さいんほしいさんが そう いおうとしたとき、おどろきました。

その おんなの うしろには、ながい ぎょうれつが できていたのです。

もちろん、みんな たいりょうの しきしを もっています。

「じつは、うちの しんせき みんな さいんほしいさんの ふぁんなんです。さいんしきし、150まい かいて ください。」

おんなは いってきます。

「むりです。かんべん してください。」

さいんほしいさんは だっしゅで にげだしました。

どれくらい はしったでしょう。

きづくと、しらない ところに いました。

おっかけは ふりはらった ようです。

「ああ。こわかったわ。さいんを きょうれつに ほしがるのは こんなに めいわく なのね。」

さいんほしいさんは はんせいしました。

「もう にどと、めいわくな こういは やめるわ。でも、さいんは ほしいのよね。なにかいい ほうほうは ないかしら・・・。そうだ!」

さいんほしいさんは あることを おもいついたのでした。


 そのひ いこう さいんほしいさんは、うんそうやさんとして、にもつをはこび、おとどけひょうに さいんを もらいながら、しあわせにくらしましたとさ。

めでたしめでたし。



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