眠り姫

【現代日本昔ばなし41】眠り姫

 むかしむかし、あるところに、ねむりひめが いました。

ねむりひめは がくせい じだい から

「ねむーい。」

と ぬむたがる ことが、いかして いると かんちがい していたので、つねに ねむそうでした。

「きょうで 3てつめ。ほんと しんどい。」

などという ふけんこう あぴーる しては、まわりから

「すごいね。」

といわれて まんぞく して くらしていました。


 あるとき、ねむりひめが いつものように、でんしゃの なかで とりあえず、ねようと すると、めのまえに おとしよりが あらわれました。

ねむりひめは おもいました。

「これは せきゆずんなきゃ いけない やつかした。でも そうしたら、でんしゃの なかで ねむれないわ。わたしは つねに ねむそう で いたいの。」

 しかし、でんしゃの なかでの しゅういからの つめたい しせんに、しかたなく せきを ゆずることに しました。

「でも、ここでも ねむそうに することは かのうだわ。」

ねむりひめは つりかわに つかまったまま、ねむそうに しました。


 また、あるとき、ごうこんで、

「ねむーい。」

とねむがっていると、おとこが、

「じゃあ、むこうで きゅうけい しようか。」

と ほてるに つれこみました。

ねむりひめは、いわれるが ままに ついて いきましたが、そこでも、ねむそうな ふりだけして、おとこの もとめに おうじませんでした。

そのときです。

「うぜえよ、ぶすが。」

おとこが みるみる うちに ぶちぎれて いくでは ありませんか。

「てめえは いっしょう ねむそうに してろ。」

おとこが あっというまに まほうつかいに かわって、そして、

「ちちんぷいぷい」

と まほうを かけて きえて しまいました。

するとどうでしょう。

いままで、ねむたい ふりだけ していた ねむりひめが、ほんとうに ねむく なったでは ありませんか。

ねむりひめは ねむそうな えんぎを しなくて いいことに よろこんだのも つかのま、おそろしいことに きづきました。

なんと、ねむれないのです。

ねむいのに ねむれないのです。

ねむりひめは ふみんしょうに なって しまいました。


 そのひ いらい、ねむりひめは ねむくて、だるいのに ねむれない じょうたいのまま、しぬことも なく、 えいえんを しあわせに くらしましたとさ。

めでたしめでたし。

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