物欲

【現代日本昔ばなし60】物欲男

 むかしむかし、あるところに、ぶつよくおとこが いました。

ぶつよくおとこは、とにかく かいものが だいすき。

やすみのひは いろんな おみせを まわっていました。

しかし、ぶつよくおとこは かせぎは おおく ありませんでした。

なので、いつも ほしい かでん なども ういんどう しょっぴんぐで がまん して いたのでした。


 あるとき、おとこが いつものように かでん りょうはんてんで、ほしい かでんを みていました。

すると、そこに ひとりの おとこが はなしかけて きました。

「あなたは かいものが すきですか?」

ぶつよくおとこは こたえました。

「だいすきです。ですが、おかねが ないのです。」

すると、おとこは いいました。

「この かーどを つかうと、つうじょうの 2ばい たまります。ということは、ぽいんとを つかえば、さらに たくさん かいもの できるのです。」

「これは すごい。ありがとう。」

ぶつよく おとこは ぽいんとが 2ばい たまる かーどを てに いれたのです。


 そのひから、ぶつよくおとこは、あいかわらず、しょうがくの かいものを していたのですが、ぽいんとが おもしろいように たまっていきます。

「これは すごい。おとくだなあ。」

ぶつよく おとこは だいまんぞく でした。

そして、いつものように れじに しょうがくの ものを もっていったとき、れじの おねえさんは いいました。

「かーどで おしはらい しますか?」

ぶつよく おとこは こたえました。

「ぽいんとは つかいません。」

れじの おねえさんは つづけます。

「ぽいんとは つかわずに こうにゅう できます。」

ぶつよく おとこは いみわからず

「おねがいします。」

とこたえました。

すると どうでしょう。

なんと げんきんを しはらう ことなく しょうひんを てに いれることが できたのです。

しかも、ぽいんとも たまって います。

「これは すごい。おかねを しはらわずに かいものが できる なんて ゆめのようだ。」


 そのひ いらい、ぶつよくおとこは、かーどで どんどん かいものを しました。

ほしかった かでんを ぜんぶ かいました。

あっというまに いえは、おおがた かでんで いっぱいに なりました。

そして、そもそも そんなに かじなど しない ぶつよく おとこが、かでんに あきはじめてきた そのころ、 1まいの かみが とどきました。

「くれじっと せいきゅうしょ」

とかいてあります。

しかも、そこには みたこともない きんがくが ならんでいます。

「なんだこれは。」

ぶつよくおとこは むしを しつづけました。

 

 そんなあるひ、いつものように たいりょうに かいものを して、じたくに かえろうと したとき、じたくまえに あきらかに やばい ひとたちが いました。

「かねかえせや!」

やばいひとたちが おおごえを あげています。

すべてを さとった ぶつよくおとこは

「これは やばい。」

と ようやく おもいました。

「にげなきゃ。」


 そして、ぶつよくおとこは、かーどに たまっている ぽいんとを まいるに かえ、かいがいに とうぼうし、いなかまちで ひっそりと しあわせに くらしましたとさ。

めでたしめでたし。


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