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鴛鴦夫婦(おしどりふうふ)#14 辞書の生き物

鴛鴦夫婦:オシドリふうふ

 オシドリはカモ科の水鳥で、日本全域で広く見られます。繁殖期につがいで一緒にいる姿が見られることから仲の良い夫婦のイメージが定着していますが、実態は少々異なります。
 実はオシドリは一夫多妻制で、オスがメスと一緒にいるのはメスが卵を産むまでです。翌年、同じツガイが成立する可能性もほとんどありません。
 ではどうしてオシドリが仲睦まじい夫婦の代表になっているのでしょう。これは中国の悲しい故事に由来するようです。

中国の故事

 中国の戦国時代に、宋の国の王が、家臣の美しい妻を気に入り、強引に家臣から奪いとりました。悲観した家臣が自殺し、それを知った妻も後を追って自殺してしまいます。妻は「夫と一緒に葬ってほしい」という遺書を残したのですが王は許さず、二人の墓を背を向けて別々に建ててしまいました。ところが、両方の墓から生えた木が伸び、それぞれの枝が絡み合い一本の大木のように成長していきました。さらに、つがいの鴛鴦(オシドリ)がその木に巣を作って鳴いていたことに人々が感動し、「鴛鴦の契り:えんおうのちぎり」という言葉が生まれました。そこから、仲睦まじい夫婦のことを「おしどり夫婦」というようになったとのことです。

本当のオシドリ夫婦

 鶴や白頭ワシ、アホウドリは、一生同じペアで添い遂げるとされています。その意味では、これらの鳥の方がオシドリ夫婦と呼ぶのにふさわしいかもしれません。見習わなければ…

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