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DX推進者が知っておきたい必要なスキル

企業がこれからDXを推進するにあたり、誰を担当にしようか考えている場合、または、少しだけパソコンに詳しいからという理由だけでDX推進者になった方は、今後、どのように取り組んでいけばいいのか悩んでいるのではないでしょうか。
また、自身には必要なスキルが伴っていないのではないかと不安にもなると思います。DX推進者に任命された方に必要なスキルとはいったい何なのでしょうか。
そこで今回は、ビジネスデザイン研究所が考える、DX推進者に必要なスキルをご紹介していきます。


DX推進者は必ずしもITに詳しい必要はない!


私たちが考えるDX推進者に一番必要なスキル、
それは『経営方針を理解し社内を変える熱意』です。
DX推進者はIT技術に詳しくなければならないと考えがちですが、それは違うと私たちは考えています。
なぜ『経営方針を理解し社内を変える熱意』が必要なのか、なぜITの知識が詳しくなくても問題ないのかについて、実際に私たちが経験した具体例を交えながらお伝えしていきます。


DX推進者に必要な3つのスキル


【DX推進者に求められる3つのスキル】
1、業務を知っている!
2、部署間の要望を取捨選択できる!
3、推進する熱意がある!


1、業務を知っている

まず初めに、DX推進者は社内の業務を知っているのかが重要となってきます。
社内の人を巻き込んでDX推進をする場合、社内のことについて知らない、曖昧な知識しかない人に相談しようと思うでしょうか。
相談しても問題の本質を理解することができなければ、話をしたい気持ちがある人も、なかなか相談する勇気が出でこないのです。
要望を言ってもらえる人物でいられるかどうかが大切になってきます。

2、部署間の要望を取捨選択できる
次に必要なスキルは「部署間の要望を取捨選択する」ことです。
社内のDXを推進するとなると、社内の様々な部署の困りごとを聞いて改善策を考える必要があります。
要望を聞いて、それらをすべて聞き入れてシステムを作ると失敗につながります。
要望の優先順位を本来の目的に照らし合わせて、取捨選択できるスキルが重要です。

3、推進する熱意がある
最後にDX推進者に最も必要なことは、会社の課題を解決しようとする熱意です。
ITの知識や技能が一定以上の水準であることが求められると思いがちですが、システム開発などは、専門家が考えてくれます。
それよりも、よりよい会社にしていきたいという強い熱意が必要です。
先に挙げた3つのスキルにITの知識は必要でしょうか。
ITの知識よりも必要なことは、業務を知ること、部署間の要望を取捨選択すること、そしてDXを推進させるという熱意です。


DX推進者の失敗例と成功例について


総合商社のDX推進者が行った具体例を紹介していく。
当該企業では複数の事業部があり、社内全体で使う販売システムの導入を進めるべく各部署にヒアリングを始めた。
ヒアリングをもとにシステム開発を試みた場合の、失敗例と成功例を紹介する。

【失敗例】

業務課題のヒアリングは行われたが、個人の視点に偏り、経営視点を見失ったため、目標達成に繋がらない典型的なDX失敗例。

各担当者の業務課題をヒアリングした。
現場から上がってくる要望は、現場個人の視点の要望がほとんどだった。
個人の要望ばかりに気を取られ、「経営視点で本来業務はどうあるべきか」が判断できないままシステム会社へ渡した。
経営課題の解決や目標達成を目指すのではなく、各部署の不満を解消するためのシステム開発を目指し、そのためのDXができあがった。

社内の不満を解決するためのシステム開発が完成し、本来の目的である「目標達成」のためのDXとはかけ離れてしまったのです。
何も解決しないまま「DXできた」という満足感だけで終わってしまう、典型的な失敗例です。



【成功例】

業務の知識や、コミュニケーションを重視して、DX推進者を選んで成功した例。

DX推進者が各部署の業務を知っていたからこそ、どの業務が必要か、どの部分が統一できそうかなどを考えることができた。
システムの知識より、部署間をまたいで各担当者とコミュニケーションをとることに重点を置いた。
さらに、会社の方針を理解し必要な要望を取捨選択した。
各部署のキーマンを作りコミュニケーションをとることで、現場の話も聞きつつ、経営方針からずれのない要望を拾うことができた。
課題を抽出し取捨選択したことで、経営視点から考えることができたシステム導入に成功。

部署をまたいで担当者とのコミュニケーションを大事にした結果、ヒアリングによる課題の抽出に成功。システムの知識より、何に悩んでいるのかに着目したことがDX推進につながりました。会社の方針を理解し、他者を巻き込む力が必要だということが明らかとなった成功事例です。そして、DXを推進するにあたって現在の課題やDX導入のための目的を経営者からきちんと説明することで、社員に周知させたことも成功へと繋がりました。


まとめ


以上のことから、DX推進者に必要なスキルは「業務を知っている」「部署間の要望を取捨選択できる」「推進する熱意がある」の、3つであると私たちは考えます。
ITの知識よりも会社の課題は何なのか、社員の要望は何なのかを知ることから始めていくことが必要なのです。
DX推進者には、ITスキルが必要だと思い込んでいる方も多い中、必ずしも必要ではないのではないことが成功事例からも読み解くことができたのではないでしょうか。
経営方針を理解し、社内を変えていく立場であるという強い気持ちが重要であると、私たちは考えます。