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コロナ禍のDX成功事例:学生の食生活を支えた弁当販売

今回は、コロナ禍におけるDXの成功事例をご紹介します。

事例紹介


企業情報
C大学生協 / 食堂事業
(大学内の食堂運営・定期券サービスの提供など)

コロナ禍では大学生の生活にも影響がありました。
学生の入校禁止が発表され、学校はもちろん食堂にも行けなくなったからです。この大学の7割の学生が下宿生として一人暮らしをしており、県をまたいだ移動が禁じられたので実家へ帰ることもできませんでした。
授業はリモートで実施されますが、バイトはできず収入は減ってしまいます。

親もコロナの影響があり、仕送りの金額が減る学生もいました。お金がないときにまず削るのは食費ですよね。安く食事ができる学食にも行けず、カップラーメンや菓子パンがメインとなるなんて話も聞きました。
そんな状況を打破したいと立ち上がったのが学食のスタッフです。
一人暮らしの学生の食生活を心配し、栄養のある食事を安価に届けるために「お弁当販売」をできないか?と考えました。

現場の声をスピーディに実現化


お弁当販売システムの開発を相談するとシステム会社は、なるべく接触を減らすためにウェブ上での予約を提案しました。幸いにも学生が普段から利用する大学のウェブサイトがあるので、そこにお弁当の予約販売の機能を追加することにしたのです。
1ヶ月ほどでシステム構築し、学生に実際に使ってもらいました。校内は立入り禁止のため、一人暮らしの学生が多くいる地域の駐車場で、移動販売車のようにパラソルを立てて販売しました。
予約販売としたことで個数が把握でき、フードロスを防げます。受け渡しの時間も短縮できます。
これは学生も喜んでくれました。
うまく稼働していることが確認できたので、次に決済機能も追加します。
ウェブ予約時に決済まで完了させることで、現地での金銭の受け渡しが不要となります。
金銭の受け渡しがあると、感染リスクがあります。お釣りの過不足等のトラブルの原因にもなります。これが不要になるメリットはかなり高いものでした。

決済の方法には、学食で使える定期券「ミールカード」を使いました。
ミールカードとは先払い式の定期券で、「1日上限〇〇円まで学食で使える」という仕組みのものです。本来は保護者が食費を気にせずに十分にご飯を食べてもらう目的で持たせています。これをお弁当販売でも使えるようにしたことで、保護者の安心にも繋がりました。

学生も学食も救ったお弁当販売


この年の1年生は入学からリモート授業で、1度も学校へ通えていません。
友達や知り合いもおらず、実家にも帰れない不安な状況でした。
そんなときお弁当販売で学食のスタッフとコミュニケーションを取れることが学生の安心感にも繋がっていたのです。

このシステムで助かったのは学生だけではありません。
生協も学食が稼働しないことにより売上が0になる事態を避けられたのです。一時はミールカードのキャンセルも多発し、運営がピンチでした。ミールカードを継続してもらう理由を作ることでキャンセルを防止し、なんとか生協も売上を作ることができたのでした。

学食スタッフのアイデアとシステム会社の連携によって実現できた「お弁当販売システム」は、学生と保護者、そして生協を助けるツールとなりました。みんなでアイデアを出し、1歩1歩実装していったことで実現できたのです。お弁当販売はコロナが収束した現在でも継続して利用しています。

今回の事例から学ぶ成功ポイントは?
・現場から出たお弁当販売のアイディアをすばやく実現
・段階的に始めたこと(始めに注文受付のみでトライ、その後決済も行う)
・一時的なDXではなくコロナ後も使い続け業務を変えていけた


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