なぜ「分数」は最強なのか 〜人間に生き方を教えてくれる数〜 シンタロウのさんすう vol.7
シンタロウです。僕はネコです。ある理由で人間の皆さんに読んでもらうための連載をはじめました。その背景はぜひこちらで復習をお願いします^^
では本題に入るにゃ。
前回は小数のお話でした。なぜ小数なんて数が必要だったのか。皆さんのような人間にどうメリットがあるのか。ご納得いただけたと思います。
さてさて、「小数」とくれば次になにが来るか。きっとおわかりですよね。
分数
我が家の旦那様は数学者なんだけど、「子供が算数で挫折する最初のポイントは分数だな」ってよく言っています。それくらい、子供にとって(もしかしたら大人にとっても)わかりにくい数なのかもしれないね。
だから今回はいまさら聞けない、「分数の正体」をお話することにします。ちゃんとわかっている人も、実はあまりよくわかっていない人も、ぜひ楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。もしあなたにまだ小さい子供がいたら、その子は間もなく算数を勉強するし、この分数の壁にもぶつかることになるわけです。
学校の先生頼りではなく、パパやママが子供にわかりやすく分数を教えてあげられるのって、いいことだと思うんだよね。親子のコミュニケーションも増えるし、子供からも尊敬されるし(笑)。実はこれがこの連載を始めた大きな理由でもあるんだけどね。
では本題に。
前回お伝えしたように、「小数」の考え方さえあれば世の中にある数はすべて説明できます。例えば10個集めて1になるような数は「0.1」と表現しますし、2個集めて1になるような数は「0.5」と表現します。
さて、10個集めて1になるような数は「0.1」です。これは言い換えれば、「0.1」という数は「1」という数を10個に分けたうちのひとつだとも表現できます。同じように、「0.5」という数は「1」を2個に分けたうちのひとつだとも表現できます。
しつこいですが、ここで重要なのは「小数」の考え方さえあれば世の中にある数はすべて表現できるという事実です。ということは、3個集めて1になるような数も当然あるわけです。さて、それっていくつ??
10個集めて1になるような数は「0.1」
→ 「0.1」「0.1」「0.1」「0.1」「0.1」「0.1」「0.1」「0.1」「0.1」「0.1」ぜんぶまとめて「1」
2個集めて1になるような数は「0.5」
→ 「0.5」「0.5」ぜんぶまとめて「1」
3個集めて1になるような数は「??」
→「??」「??」「??」ぜんぶまとめて「1」
そうなんです。この「??」は間違いなく存在する数なのに、十進法でどう表記していいかわからないんです。「3個集めて1になるような数」と表現はできるのに、表記できないんです。困りました。間違いなくある。でも表記方法がない。そこで人間は考えました。考えた結論はこうです。
じゃあ、新しい表記ルールを決めましょう♪
そう。新しい表記のルールを決めてしまったんです。この「??」という数は、3個集めることで「1」になる数です。3等分ということです。「1」を3等分したときの数です。
1/3
もちろん、「1☆3」でも「1〜3」でも「1⁂3」でもなんでもよかった。でも、結論としては「1/3」になった。お勉強している方は、この「/」がいわゆる割り算を意味していることを知っているでしょう。四則演算についてはいずれ詳しくお話をしようと思っているので、今はサラッと流しますね。(今回の話においては本題ではないからという意味です)
1を3等分した数ですよ。
これは言い換えればこうです。
1を3つに分けたうちの1つですよ。
だから「3分の1」(さんぶんのいち)と言うように決まりました。
だから「1を3つに分けたうちの2つ」という数も同じように表記できることになります。
2/3
これはすごいことです。なにがすごいか? この考え方さえあれば、世の中にある数はすべて分数という手法で表記できるということになるからです。(正確にはそうでない数も存在しますが、この連載はあくまで「算数」なので、その範囲内でのお話だと思ってください)
嘘だと思うなら試してみてください。ピザを3等分したときの1枚分の面積も表記できます。あなたの身長は? 仮に165.5cmだとしたら、この数も分数で表記できますよね。いま何時ですか? その時刻は必ず分数で表記できるはずです。
何事もそうですが「○○さえあればすべて〜〜できる」みたいなことって、すごいことだと思いませんか?
愛さえあれば生きていける。
お金さえあれば生きていける。
ボクも大好物のサンマや麻婆豆腐やパンケーキさえあれば生きていけます。(笑)
愛もお金もサンマ麻婆豆腐もパンケーキも、最強だってことです。
それくらい、この分数という表現方法の発見は革命的なことなんです。最強なんです。いったい誰かは知りませんが、初めて分数を発見した人はその瞬間さぞ気持ちよかっただろうなーと思います。こういうのが、数の楽しさだよね♪
人間は「分数」からなにを学ぶか
ボクがこの分数の話を通じて伝えたいことはたったひとつです。
「じゃあ、新しいルールを決めましょう♪」
そういう発想でいることが、困難を突破するヒントになったり、進化するきっかけになったりするんだよってことです。表記方法がない。だから人間は考えました。そして「じゃあ、新しい表現ルールを決めましょう♪」となった。だから分数という最強の表記方法が生まれた。そうですよね?
前例がないからダメだとか、無いからできないとか、そういうことじゃないんだ。この分数の誕生は、そういうことを教えてくれているんだとボクは思っている。いかがでしょうか。
前回お伝えした通り、小数は「曖昧なもの→はっきりする」の気持ち良さを教えてくれました。そして分数は「新しいルールを作る大切さ」を教えてくれました。
算数って、単に数の扱い方や計算の練習をするためだけに勉強しているんじゃない。ボクはそう思います。登場するテーマからどんなことを学ぶか。もしあなたがパパやママなら、算数を通じて愛する子供にどんなことを学ばせるか。それをわかっているかどうかが、とても大切なんじゃないかなーって思ったりします。
どお? いいこと言うでしょ?(笑)
あ、我が家の奥様が帰ってきた。今夜の晩ご飯はなんだろう。。。 昨日は麻婆豆腐だったからな。。。 サンマ、サンマ、サンマ♪
では今日はこのへんで。
最後まで読んでくれてありがとにゃ。
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シンタロウ(猫・オス)
人間に算学を教える猫・シンタロウ。なぜか日本語を喋ることができる。前世は商人として財を成し、晩年は教育者として算学を子どもたちに教えていた。そして現現代。猫として生を受けたシンタロウは現代の人間があまりに数字を苦手としていることに剛を煮やし、ブログなどで人間に算学を教え始める。飼い主である夫妻は夫が数学者・妻が投資家。日中はふたりとも外出が多く、自宅でひとりぼっち。暇つぶしで書き始めた「シンタロウのさんすう」は、数字に苦手意識を持つ大人や子供に数の大事さをどう教えようか悩むパパやママが“ムッツリ”読んでいるともっぱらの噂。
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