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「小さな箱」から「大きな箱」を想像する思考トレーニング


「小さな箱」から「大きな箱」を想像する思考トレーニング

テーマはフェルミ推定、私の造語は「知らんがなの数値化」です。

この記事をお読みくださっている方であればご存知のことかもしれませんが、念のためフェルミ推定について一般的な定義を述べておきます。

フェルミ推定とは、実際に調査することが難しいような捉えどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することである。一見見当もつかないような量に関して推定し、具体的に数値で捉えるトレーニングをする。企業の採用面接において思考力を測る目的で使われる、あるいはビジネススキルの講座などで題材として扱われることもある。

注目いただきたいのは「一見見当もつかないような量に関して推定し、具体的に数値で捉える」という点。まさに数値化するという行為に他なりませんね。なぜ「知らんがなの数値化」と命名しているのかは前回の記事にて確かめてください。

さて本題です。

企業にビジネス数学の研修を提供する活動を始めて13年になります。「知らんがなの数値化」も頻繁に話題にしてきたもののひとつですが、これが上手な人にはある特徴があることがわかってきました。そのある特徴とは…

統計学「的」な感覚があること

統計学には記述統計と推測統計の2種類あると整理するのが一般的です。記述統計は、収集したデータの統計量(平均、分散など)を計算して分布を明らかにすることにより、データの示す傾向や性質を知るものです。 推測統計は、採取したデータ(標本やサンプルとも呼ぶ)から母集団(全体のこと)の性質を確率統計的に推測するものです。 通常、時間やコストの関係で全数検査は無理なので、推測統計が用いられます。

今回の主題は後者、つまり推測統計の考え方です。しかしながら、なんだか専門用語が並び、わかりにくい説明になっていると思います。(こういうところが数学の嫌われるところ)

そこで極めてシンプルに、子どもでもわかる表現に変換したいと思います。推測統計とはつまり、こういう視点を持った営みです。

「小さい箱」から「大きい箱」を想像する

どういうことかを理解していただくために、実際に私が企業研修で扱うエクササイズをひとつご紹介しましょう。

【エクササイズ】
ダンプカーの荷台にゴルフボールは何個くらい詰め込めるでしょうか?

実際に研修で使用する資料(例)


あなたは心の中で「知らんがな」と思ったはずです。だから「知らんがなの数値化」なのです。あなたのその「知らんがな」という感情を数値に置き換える作業を今から始めるのです。

さて、実際に企業研修でこのエクササイズを持ち出すと、参加者から次のような質問をいただくことがよくあります。

「あのすいません。答えを計算したいので、ダンプカーの荷台の寸法とゴルフボールの直径を具体的に教えてもらえますか?」

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