「感覚値」を「数値」にするトレーニング
「感覚値」を「数値」にするトレーニング
かつて、「ファクトフルネス」というビジネス書が大ベストセラーになりました。この記事をご覧の皆様なら、この本を手に取った方も多いのではないでしょうか。
思い込みは良くない。しっかり事実ベースで考え、事実ベースで語ることが大切。そんなことを教えてくれる1冊でした。
ここで重要なのは、ビジネス文脈において「事実」とはほぼ「数字」を意味するということです。昨年のあなたの会社の売上高は「事実」です。あなたの会社の従業員数も「事実」であり、あなたのサービスの顧客満足度はリサーチという営みの結果を示す「事実」です。
ファクト=事実=数字
しかし、実はビジネスにはファクトでない数字というものが存在します。仕事をうまく進める人はファクトの使い方がうまい。このことに疑いの余地はないでしょう。しかし仕事をめちゃくちゃうまく進める人(笑)は、ファクトでない数字の使い方もまたうまいのです。
ファクトでない数字とは何か。仮定・想定によって作られた数字です。私は次のようにネーミングし、企業研修などで広めています。
アサンプションベースの数字として代表的なものは、過去のファクトがない中で未来の数字を予測しなければならない場面でしょうか。
たとえば新規事業の初年度売上高を見積もる場合、単価は◯と仮定して、市場の△%シェアをとると想定して、と考えざるを得ません。「ファクトがないので見積もれません」は許されないのです。
仮定・想定という2つの言葉に共通するのが「定」という文字です。すなわち、アサンプションベースの数字とは私たち人間が定めなければならない数字となります。そこで頼みの綱になるのは何か。そうです。人間の主観です。
ビルゲイツの言葉にこのようなものがあるとされます。
もしかしたらあなたはある種の矛盾を感じているかもしれません。
ファクトフルネスは人間の主観や思い込みを排除するべきと主張しています。一方でこの記事は「しばしば、直感が頼みの綱になる」を正義としています。難しいものです。要はバランス、使い分け、ケースバイケースということでしょう。
しかしながらひとつ確かなことは、くどいようですが、仕事をめちゃくちゃうまく進める人(笑)は、ファクトでない数字の使い方もまたうまいということ。もしこのことを信じていただける方は、引き続き読み進めてみてください。次回以降の記事も楽しんでいただけるはずです。
人間が主観を頼りに数字を作る。そんな行為の代表的なものは、アンケート調査かもしれません。満足度を5段階で評価するような経験はこれまであなたにもきっとあったでしょう。
しかしこの誰もが自然に(簡単に)やっているように行う数値化にも、実は明確なメカニズムがあります。
たとえばあなたが私の著書を読んだとします。その評価を5段階で行うとしましょう。
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