記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

君たちはどう生きるか 感想/シーン考察メモ

君たちはどう生きるか

7月18日 

評価
アートを超えた、ただのエンタメ おもしろい 最高傑作 子供に見せるべき作品で子供の頃に見たかった作品


映画から受け取ったメッセージ

 世界に善悪は無く、自然は食物連鎖で成り立ち、人間の営みもまたその連鎖の中にある。
 しかし人間は奪われる事で悪意を生み出し、その悪意の連鎖で徐々に世界を侵している。
 汚く美しいこの世界の摂理から人間は逃れることはできない。友を作り繋がり伝える事が唯一の人間のみが持つ摂理外の連鎖である。
 人間のみが悪意を持ち、過ちを犯し、それを償い正すことができる。


感想
 テーマを世界、心、仕事、ジブリ、アニメ業界、宮崎駿など多様なレイヤーで受け止める事ができ、観た人間が生きる世界で必要な何かを与えてくれる。
 つまらないと思っても、それは宮崎駿の悪意であり、観終わった時点で心に種を蒔かれしまう。つまらなくて途中退席した人は種を蒔かれていないので素晴らしい対応だろう。
 いい映画だと思った者に蒔かれた種も含めて、宮崎駿もどんな種を蒔いたか分からない。そもそも映画なんてそんなもの。作者のものでもなく、必要な人のもの。
 映画を評価する者が評価しない者を憎めば、それは悪意となる為、批判する者とも友達になること。


シーン考察メモ

・階段を4本足で駆け上がる眞人
昔の階段は狭くて急。その頃は子供は四本足でのぼっていた。警戒警報。空襲警報とは違うたぶん。

・群衆を抜けるシーン
圧巻のアニメ表現、お前らの見たいアニメはコレだろ。主観映像は走るシーンで使われがちな安っぽいカット割で宮崎駿っぽさがない。映像表現のみを求める者たちに向けてのアンチテーゼかも。

・病院の火事 母が炎の中
母の表情に無念はない。母から精霊に変化しているようで、眞人の想像や思い出の母ではない。眞人を生む為だけではなく、火の力を手に入れる為に母は現世戻ってきていた。
空襲とミスリード、母の死が世界が蒔いた悪意の種と思わせ、実は母の愛であった。

・2年後田舎の工事へ引っ越し
戦争激化。悲壮感はなく高揚感は抑えめで表現。単純な反戦映画であれば高揚感を強く押し出し悲壮感を孕ませるが、そうはしていない。

・眞人の新しい母親 夏子は久子の妹
美人、母に似ているので驚く眞人は複雑な心境。いきなりマンツーマンで横に座る。母とは違ういい匂い。

・お腹に赤ちゃんと告げられる
手を掴まれてお腹に触れさせられる。不意打ち。眞人の表情。硬い帯の向こうの生命と女性の身体。性の発露を無意識で抑え、死んだ母への罪悪感から夏子に惹かれる気持ちを半意識で押さえ込む。赤ん坊がいるための疎外感。ないまぜの感情。冒頭の群衆のなかを駆けるアニメならではの表現とは別の、アニメならではの演技で伝える感情表現。実写・CGではこちらの方が難しい。

・出征兵へ車を降りてお辞儀する眞人
眞人に戦争に対する疑念はない。夏子を見ながら会釈する出征兵。金持ちに対する含みがあるのか、よくわからないシーン。
 追記 出征兵は助監督だそうです。

・高台の豪邸へ 工場
父の工場を見下ろす眞人の表情。あえて感情は読みとらせない。母を失った悲しみ、美しい義母、環境の変化への不安。世界から距離を取る事で心を保とうとしている。俯瞰的な冷めた視点。夏子の子が男子であった場合、父の工場を継ぐのは自分ではないと考えたのかも知れない。

・母屋の玄関から入る
豪邸。通常は勝手口から。勝手口は坂で登れる、もしくは高台の下に車庫。

・青鷺登場 接近飛行
挑発。心を閉ざす眞人の身体を掠める。歓迎していると言う夏子。夏子の青鷺に対する認識はその程度。青鷺はこれまで夏子を塔に誘っていない。

・勝手口の荷物の周りに蠢くもの
ダークファンタジーを匂わせる。目を凝らす眞人。近づくと徐々におばあちゃん達が荷物に興味深々の様子となる。客観的アングルで主観的認識変化。白雪姫と七人のこびと。
行列の骨盤歩きが面白い。キリコ、背筋ピーン。

・離れで夢
ベッドで横になりそのまま寝てしまう。夏子が飲み物を持って起こさないように置く。
涙を見たのかも。次回確認したい。
母親似の夏子を見たせいか、母の死に際の夢を見る。

・庭で青鷺に導かれ塔へ
青鷺をフォローすると塔が見えてくる。宮崎駿らしい誘導カット。ブリンと入る青鷺。ファンタジー確定演出。羽を見つけつつ塔の内部へ。
本読みすぎてイカれた大叔父が、でかい隕石の周りを覆い建てた塔。地下に迷宮洞窟。
走り出しそうで走らない物語。

・父と夏子が玄関で
階上から屈んで見たがる眞人。よく見えない。
コッソリ部屋戻って、何をしたのだろう。

・青鷺
部屋に入ってくる青鷺。窓にこびりつく大量の体液とフン。アニメでは描かない汚物を敢えて描く違和感。青鷺の生物性。現実の自然は汚くて美しい。それも人間が勝手に解釈しているだけ。

・おいでませ
夢を見せたと思い青鷺と対峙、木刀では太刀打ち出来ず。蛙まみれでおいでませ。鏑矢で追い払う夏子。夏子は青鷺の正体を知っているのかも。鏑矢は破魔矢の上位互換らしい。
倒れる眞人。
アイツらのやりそうな手だ。青鷺は大叔父と隕石に心服しているわけでは無い。
トイレが豪華。木刀バラバラで現実の出来事。

・ご飯マズイ
悪意。おばあちゃん達には心開くのか。

・父親は息子への善意で車で学校
生徒達は働いている。車自体もそうだが、ガソリンも貴重だろう。善意のおバカで分かりやすい父親。

・帰り道
隣席の生徒は歓迎していない。他の生徒は働いているのに働かないで帰る眞人に生徒が文句を言う。奉仕活動。生産するものへの罪悪感。掴みかかる眞人。暴力で父の善意、母の死の現実、夏子への不安は解決できない。

・石で自傷
石で側頭部を殴る。思ったより血が噴き出す。
結構出るなぁと思った瞬間、再びヤバいくらいでる。頭を押さえる眞人の表情に強い意志。
悪意の証となる重要シーン。学校に行かない為の策略だけでは無い。眞人の心の世界の痛みと傷を肉体の痛みと傷に顕現化。

・ベッドで療養
心配する夏子のセリフで夏子も罪悪感を感じているのが分かる。300円寄付したおバカ父親。
眞人は誰がやったか言わない。嘘をつく事で悪意が重なる。

・手術後熱でうなされる眞人は母の夢を見る
眞人助けて。母は何を助けてと言ったのだろうか。少女の頃に塔に行った自分なのか、夏子の心なのか、大叔父の心なのか、眞人の心なのか。これまで青鷺の不気味な描写で青鷺が塔に誘い込む為に見せたと思わせる。眞人も青鷺を疑う。

・夏子に塩対応
悪阻で苦しむ夏子をやっとお見舞いする眞人だが、社交辞令。弓を見る。タバコを盗む。

・眞人の心情
夏子を母と認めることは実母への裏切。母に似ているが故に、義母となる夏子に女性を感じる罪悪感。夏子を受け入れる未来への不安から夏子と距離をとる。他の子は働いているのに働かない負い目、働こうとしない罪。おバカな父。キズの痛み程度では拭えない。ないまぜの感情。悪い青鷺を殺して自身の悪意をゴマカすしか無い。

・夏子の心情
悪阻つらい。眞人が冷たいのは自分の存在のためだという罪悪感。未来への不安。眞人と自身の子が仲良く出来るのか。眞人よりも自身の子を愛してしまう。姉から眞人を奪った。ないまぜの感情。眞人の前から消えるしかない。
夏子が塔に本人の意志で行ったと読み取るのが難しい。しかし塔が夏子の子や、眞人を狙い誘ったとすると塔が俗人的になりすぎる。

・弓作り
鏃の釘は多分貴重。タバコで買収。キリコは俗物的で信用できそう。弓返り。矢羽は青鷺の羽を使う。何故か消えていない。魔力が宿った軌道を描く矢。

・夏子が森へ
気にしないフリ眞人。夏子に母の面影。敢えて眞人の部屋の前を通ったのか。2階じゃなく1階に見えた。違う部屋かも。

・君たちはどう生きるか
母さんの字。涙。世界は本の様に単純では無い。だが本に入り込み心が動く眞人。この本は事前に読めば良かったかも。めくるページはCGぽい。CGにした方が表現したいベクトルに近かったのか。

・夏子を探しに行く眞人 塔へ
おばあちゃんついてくると、動き遅くなるから冒険出来なくなる心配が先に立つ。青鷺の形態変化はホラーからコミカルに徐々に移行。

・青鷺
正体不明で善悪不明なものでも眞人の友達になれる。隕石を落とした神か、隕石の力で妖怪になった青鷺か、ただのパシリか、どうとでもとれるが故に正体に意味はないのだろう。鈴木敏夫とすると話が分かりやすくなりすぎ、狭まるので何を当て嵌めにせよ、その理解の元で。
塔に導く役目はあるが、本心は導きたく無いのかも。母の水人形を作り眞人に塔と自身を信用させないように誘導したのか、それとも母を探しに下の世界へ誘うためか。言動不一致で人間らしさをもつ。おじさんが青鷺の着ぐるみを被ったような形態が本来の姿で、傷を負うと青鷺になれず、飛翔能力がなくなる。魚の捕り方はハサミアジサシ。

・塔に助けに 薔薇 下世界へ
水人形。(初列)風切りの七番。大叔父の髪で忌野清志郎に見えたが多分関係ないので払拭。
塔、薔薇、下に落ちるでカリオストロの城をオマージュか。落ちるところでナウシカもオマージュか。この辺からオマージュが増えて楽しくなるが、以降オマージュは割愛。
眞人の夏子を助けに行く気持ちより、母に会いたい気持ちの方が強いだろう。この時点で夏子に拒否られたら引いていたのだろう。青鷺は案内はしたく無いみたいだが、本心は分からない。

・下世界
多義的に捉えられる創造物。塔(石)であるスタジオジブリが作り出したアニメ世界がわかりやすくなるが、やはり狭めないように。
隕石と大叔父の契約で成された世界。大叔父が理想とする悪意のない世界を目指すがバランスは崩壊寸前。大叔父がバランスを微調整して延命している。時間軸、進み具合は実世界とは違う。閉じてはおらず人間の輪廻転生機関としての側面を持つ。実世界の食物連鎖の隙間に割り込む形で存在か。実世界も誰かの創った世界であるかも。入る時は上から。出る時は扉から。
生物を導入し生態系を作るが、悪意が生まれバランスは崩れていく。生物が生きる下世界を創る過程でどうしても悪意は生まれ、実世界もまた悪意無しでは人間は存在できないと気付いている大叔父。血縁者である眞人の悪意と共に生きる力に託そうとする。断られたため新たな世界の構築をを提案するが、それも断られ、インコ王の手で崩壊する。

・海辺
何故かペリカン。ワレヲ學ブ者は死ス。墓。ペリカンは墓の何かを食べたいのか。キリコの様子から何かどデカいのが出てきそうな感じなので、ワラワラではなさそうだが、ワラワラになる前の現世界の死霊かも。海側からはペリカンは行けない。ペリカンの羽とフン。

・キリコと漁
船の亡霊。どうやら死後の世界でもある。殺生できない影人間達。魚は少ない。でかい古代魚。世界設定が説明ぽくならないで上手くされている。が、説明されてもわからない世界。世界のルールの輪郭があやふやでも問題なかった。

・ワラワラ
商売の匂いのするデザインで、単純すぎて逆に今までなかったのか。ミニオン。
魚の内蔵を滋養として空に昇り人間に生まれ変わる。ペリカンの主食だが、魚より不味いのだろう。ヒミに助けてもらうが、巻き添えにされるものもいる。

・ペリカン
作品を消費するだけの観客と捉えらると、尚更可哀想に思えてくる。消費者。
大叔父に連れてこられた種族。当初は実世界へ帰ろうと上へ飛んだが、世代を重ねる事で高く飛べなくなった。機能が衰退したのか、意志が衰退したのだろうか。眞人はワラワラを食べる悪と捉えたが、ペリカンに悪意は無く、命を奪っている事を知りつつ、生きるために行動しただけだった。ワラワラを食べようとするとヒミに燃やされる。

・キリコの家 死の島
ワラワラ牧場。魚を捌く眞人。生命を奪い生産する。眞人もペリカンと同じ。終えて夜になるとワラワラ達は久しぶりに空に飛び転生する

・ペリカン ヒミ登場
両生類の卵が螺旋状になったかのように夜空に昇るワラワラをペリカンの群れが食べる。ヒミはワラワラも巻き添えに阻止するが、眞人は納得いかない。ペリカンだけ燃やせ。

・ペリカンと対話 青鷺合流
ペリカンは長老級。この世界には寿命が無いのかもしれない。ペリカンの業に眞人は世界の成り様を考える。下世界の生産と消費の網の中で捕らわれているペリカンを殺す事を正しいと思っていた眞人は、善悪の二元化に疑問を持つ。
ペリカンを埋める。結構深く掘る。

・おばあちゃんたちゴメンね
飯マズいって言ってごめんなさい
母からの本で眞人の中で生まれた小さな火が、何かを溶かしていく。

・青鷺と仲良く水汲み仕事
初めて眞人が楽しそうに見える。夏子を助けに行く決意する。

・キリコ
キリコと気付く眞人スゴイ。杖を使って火の魔法を使える。キリコばあちゃんの存在忘れてた。キリコにも眞人同じ頭のキズがある。キリコも実世界で悪意を持ち下世界に来たのだろう。ヒミと同じ扉から帰るのでヒミ失踪の手伝いをしたのかも。生きているため、下世界で重ね合わせの状態になれず、人形となり眞人のポッケへ。ワラワラの世話の為、島の家に残るが崩壊間際に合流し、過去の扉から帰る。

・ヒミ
眞人の母。強力な火魔法を持つ。キリコからヒミ様と呼ばれるのは、大叔父の血縁だからか、魔法力のためか。少女ヒミと火事で死ぬ事で火の力を得た母ヒミと重なり合っている。夏子を助ける事に賛成もしないが手伝う。母時代の記憶を思い出し。眞人を産み火事で死んで火の力を得るために過去の扉からキリコと共に実世界にもどる。

・旅立ち
キリコからキリコばあちゃんの人形をお守りにもらい青鷺と旅立つ。

・実世界で設定説明
塔の由来。過去に起きた母の失踪。

・青鷺の嘴の穴
下世界での傷は、傷つけた者が塞がなければ機能は回復しない。実世界でも人を傷つけたら、傷つけた者が償わなければならない。眞人の頭の傷は眞人自身が受け止めるしか無い。憎めない青鷺。

・インコ
オウム=王蟲。色とりどり。品種改良。人語を喋る。ペット。その辺りからの設定か。
大叔父によって連れてこられ繁殖。象でも食べる食欲で雑食。形態変化し空を飛べるが、普段は2速歩行。単一種でおそらく下世界で国家を形成している。下世界の中核である石の中に住み数が多い。人口問題からの食糧不足か深刻であるの下世界の崩壊を危惧している。DUKH(公爵か)がインコ王。

・鍛冶場 ヒミとの出会い
青鷺が眞人を騙し、インコに眞人を売った疑念をもたせる構成。ヒミに助けられる眞人。ヒミは明るく朗らかで、女性を抑えながら母性を感じさせる。青鷺とははぐれる。

・ヒミの家 夏子救出へ
ジャムパンを食べる眞人。ヒミは夏子の役割を知っているせいか救出に賛同していないが、手伝う。ここではまだヒミが母だと気付いていない。

・実世界と同じ形の塔に侵入
インコ達が住む塔の夏子の産屋に行くために、塔に侵入する2人。

・実世界の扉を開ける
途中でインコ達から逃げるため元いた場所に戻る扉を開けると、父が登場してインコに向かって行く。実世界に戻る方法の説明。

・扉
132の扉が眞人の実世界でおそらく1日程度。
559はヒミの実世界に戻る扉で1年経過。
原作の君たちはどう生きるかのページ数に計算を加えた数字だろうか。ヒミが計算して扉を見つけていた。
実世界に戻れるが、来た時間以外の扉からは出たらダメそう。実世界でドアノブを離すと扉は消えてしまう。

・石に拒否される
産屋に行く途中で眞人が石の壁に触ると、石の悪意が雷のような反応を示す。どうやら眞人たちが産屋に行くことを歓迎していない。

・産屋にて
産屋に入るのが禁忌とされている理由は作品では判断できないが、神聖な場所として入ってはならないと理解していいだろう。
夏子の悪意が眞人にぶつけられるが、成長した眞人は悪意を受け止める強さを持っていた。夏子は眞人の強さに救われたが産屋の結界によって眞人とヒミは倒れてしまう。
おそらく、眞人の母さんという叫びでヒミの中の母親の記憶を甦らせ始めたのだろう。
眞人とヒミはインコに捕まる。

・大叔父との対面
大叔父が積み石を積むことによって下世界はバランスを保っている事を告げられ、大叔父は眞人をその後継者に誘う。

・眞人を助ける青鷺
捕まった眞人を助ける青鷺。青鷺の行動原理は分からない。後継者の眞人を必要とする大叔父の命令の可能性はあるが、おそらく青鷺の独断だろう。

・ヒミ救出へ
インコの群衆の中を気を失ったヒミが連れていかれいく。インコの持つプラカードのDUKHの意味だが、おそらくインコ大王の称号で大公爵的な意味だろう。

・インコ大王と大叔父
ヒミを渡す条件がよくわからない。世界のバランスが崩れ、食糧不足に陥っているのを何とかしてくれという事か、大叔父の座をインコ大王に譲れという事かよくわからなかった。

・空中に浮かぶ石
石の中枢であり本体。実世界では塔に覆われた巨大な石として存在している。下世界や大叔父の庭園は石の中に存在するが、空間概念が違うため大叔父の庭園から観測可能。大叔父はなんらかの方法で石と契約し下世界を創造した。下世界から生まれる悪意によって下世界を維持する力が弱まりバランスが崩れかけている。新たな契約は大叔父の血を受け継ぐものでなくてはならない。

・大叔父の元に向かう眞人たち
途中で石を拾い、ポケットに入れる。

・大叔父の願い
大叔父は悪意の無い13個の石を3日に1個積み上げることで新たな世界を作る事を提案する。
大叔父は戦争による空襲や原爆で火の海となる世界に未来はないと考えていた。人間に悪意がある限り戦争は繰り返される。実世界を捨て悪意のない世界を新たに創ることを選択した大叔父だが、その世界も悪意をもちはじめている。眞人に石との新たな契約をさせる事で新たな世界を作らせようとしたのだ。

・眞人の決断
眞人は悪意の印を持つ自分に悪意の無い世界を創る資格は無いと伝えた。大叔父は悪意を知る者こそ相応しいと言う。眞人は実世界から逃げる道を選ばなかった。友達をつくり、悪意と共に実世界で生きる事を選んだ。大叔父は悪意を解決せず、共に生きる道を選んだ眞人の答えに、実世界から逃げる選択をした自身との違いを見た。
 このあたりの解釈はかなり難しい。そもそも大叔父は誰にも後を継がせる意思はなかったのではないだろうか。

・青鷺を友達と言う眞人
悪意を持つ善意の皮を被った人とも友達となるといった意味だろう。しかし、メタファーを避けて考察したいがどうしても、信用できない鈴木敏夫を友達と思っていると言った宮崎駿にしか思えない。

・下世界の崩壊
下世界の理を知らないインコ大王は、自身の世界が積み石ごときに頼っている事に腹を立て、悪意のない石を積み上げようとするがうまくいかず、下世界の積み石を剣で切ってしまい、下世界は崩壊を初める。

・下世界からの脱出
崩壊する下世界から逃げる眞人や下世界の鳥たち。扉の回廊で夏子やキリコと再会する。ヒミは眞人を産み火事で死ぬことを素晴らしいと言い眞人の扉132と違う扉559から戻る。ヒミは下世界の記憶を失っていたのだろうか。

・記憶の残っている眞人
下世界から鳥たちも逃げ出し、塔も崩壊する。
ポケットからキリコおばあちゃんが復活。夏子はフンを顔につけ世界を美しいと感じる。眞人はポケットの石を取り出し、下世界に思いを向ける。青鷺から普通は下世界の記憶が無いはずだが、いずれ無くなると伝えられる。

・終戦
眞人に弟ができ、眞人たちは屋敷から出る。
一瞬のブラックアウトから、終わりの文字もなくスタッフロール。いい作品は心の中に何かを残すが、この作品は映画の中に心を残されたままである。終わりの文字は観客がいつか付けなければならないのだろう。

世界は人間になにもしてくれない。
人間だけが人間のために行動できる。
生きている限り作品をつくりつづける。
この作品は宮崎駿の最後の作品とはならい。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?