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【豚のアロマに包まれて カリフラワーは遠くの街の朝陽を映す】 エッセイ


【Prologue】



※タブレットかPCで曲を流しながら読んでいただけると、より楽しめます






この記事は、塩梅かもめさんのこのレシピを参考に、ソーセージ界のプリンセス、挽肉の中の挽肉、とも呼ばれるクリオネが料理した経過を綴ったものです。



知ったきっかけはこの記事。マリナさんの所持していた欧米サイズのカリフラワーを見た瞬間、わたしの中の白色脂肪細胞が唸り声をあげはじめた



欧米化の進むnote界ですが、欧米文化の申し子と呼ばれるこのクリオネも欧米に倣いカリフラワーを炒めたい。そんな気持ちです。








【豚のアロマに包まれて カリフラワーは遠くの街の朝陽を映す】





いても経ってもいられなくなったわたしは冷凍庫を確認し、ブツの在庫を確認、キーとなる例の赤い粉もある。よし、実行だ。

携帯を取り出してある男へ連絡する

「ハイ、ジム。ご機嫌はいかがかしら?ちょっと手伝ってもらいたいことがあるの。今大丈夫?」

「ハイ、アマンダ(=クリオネ)、君はいつだって突然だな、OK、口調でわかるよ、例のやつだろ?今日がその日ってことか…OK、最後かもしれないからな、シャワーを浴びて、ママに電話して、すぐ向かうよ」

「ねえ、ジム。すまないって思ってるわ。でも、いつまでもこのままってわけにはいかない…」

「ああ、わかってる。もう何もいうな、アマンダ。何があっても君のせいじゃない。誰のせいでもない。すぐに向かうから待っていて」

携帯を切り、茶色の薄れてきた窓から外の景色をみる。乾燥した風がホコリと落ち葉をまきあげる。この風が何度か続いたら、きっと春が来るんだろうな、そうやって毎年やってきた。



カチャ

ドアノブを開けてジムがやってきた。ネイビーのくたびれたジャケットにカーキのパンツ。履き慣れたブーツはいつものものだ

「アマンダ、僕だ。待ったかい?」

「ジム、来てくれてありがとう。待ってないわ。」

「そうか、それならよかったよ。ほら、忘れ物だ。」

「え、あ、これは」

「そうだ、これはガーリックだ。今日必要なんだろう?」

「ノー!!そ、そんな、これがガーリック?うそよ、これがガーリックだなんて!ねえ、ジム、やっぱりわたしは間違ってる!やめましょう、やっぱりなかったことにしましょう!」

「落ち着け、頼む!落ち着いてくれ!いいか、アマンダ、これはガーリックだ!どこをどうやって見たってガーリックだ!」

「うそよ、どこでそんな嘘をおぼえたのよ!間違ってるわ!あなたは絶対に間違ってる!」

「アマンダ、目を覚ませ!お願いだ!これは間違いなくガーリックで、これは僕たちに必要なものなんだ!わかっておくれ、アマンダ!」

「ジム、ごめんなさい…取り乱してしまったわ。ねえ…あなたを…信じて…いいの?」

「もちろんさ、アマンダ。僕はそのために今ここにいる!」


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「ねえ、やっぱりいざとなると怖いわ。」

「僕だってそうさ、でもラッキーなことに僕は1人じゃない。君と一緒だ。君だってそうだろう?僕らは一人ぼっちじゃない」

「そうね。1人だったらきっとわたし、自分に負けてた」

「ファースト・ステージはクリアってとこだな。よし、これをこうして、こうだ!いいぞ!粉もある。万全だ!ねえアマンダ、オイルを取ってきてくれないかい?」

「わかったわ、すぐに戻る」


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ガシャーーーーーン


「どうしたっ、どうしたアマンダ!」

「ジム、大変っ!外を見て、FBIよ!!」

「F**k!!あいつら尾行してやがったのか!くそ、よし、時間がない!パンを熱して、ソーセージを中火でゆっくり焼き上げていくぞ!」


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「ねえ、ジム、こんな火力で火が通るの?」

「大丈夫だ、あんしんして、ここで焦がすのはまずい。レアな状態で一度パンから、取り上げて!」

「OK、やってみる」

「ゆっくり、ゆっくりだ。焦らなくていい、後でもう一度カリフラワー と炒めることになる。だからいまは完全に火が通ってなくていいんだ」

「できた!できたわ!ねえ、このソーセージを、お皿に置くわ!いいのね?」

「いいんだ、アマンダ、さあ、ゆっくり、急がなくていい、ゆっくりと、そいつを皿の上に置くんだ。どうかパニックにならないで…そう、そうだ、その感じでいい」

「ああ、ジム、朦朧としてきたわ、ごめんなさい、緊張して。このお皿ね、やってみる、1…2…」

「アマンダ、落ち着いて」

「3!!」

「すごい!すごいよアマンダ!」

「やったわ!わたし、やったわ!」

「いいぞ、よし、アマンダ、つぎはガーリック、落ち着いて、見なくていい、これをそのままパンに入れて、ゆっくりと火を通すんだ。できるね?見なくていい、これは、ガーリックだ。僕を信じて」

「ジム、怖いわ…わたしまだ信じ切れてない、ねえ、怖いわ」

「アマンダ、僕の目を見て!ガーリックは見なくていい、僕の目だけを見ておくれ!」

「ジム!!」


※タブレットかPCで曲を流しながら呼んでいただけるとより楽しめます





「夢の中にいるみたい…」

「これは夢なんかじゃない、さあ、アマンダ、このガーリックは、僕が!パンに!入れる!こうやってね!!」


ザァァァァァァァァァ


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「すごいわ、ジム、こんなに手際がいいなんて!」

「火は強くなくていい、目的はガーリックのフレーバーをひきだすことだ、落ち着いて、そう、それでいい」

「ジム、わたし勇気が出てきた、ねえ、次はどうするの?」

「火力はそのまま、ガーリックの表面の色が変わってきたら、落ち着いて、アマンダ、君はガーリックを見なくていい!!見ちゃダメだ!!」

「ジム、みちゃいけないのはわかってる!でもダメよ、どうしても恐怖がわたしを支配してる!」

「大丈夫!僕がそばにいるから!落ち着いて!しばらくは見なくていいように、僕がいう通りに、いいね、その赤い粉をティースプーンにいっぱいすくって、パンに」

「わかったわ。」

「これも香りを良くするために火を通すんだ。できるね?」

「やれるだけやってみる」


シャァァァァァァァァ


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「ねえ、大丈夫?」

「安心して、僕はここにいる。次はカリフラワーを、パンに」

「この白いものね…」

「そうだ、アマンダ、君は正しいところにいる。あんしんして」

「怖いわ…」

「何も怖いことなんてない。なにも不安なことなんてない。さあ、そのカリフラワーを、パンに入れて!」


ジュシュゥゥゥゥゥゥゥゥ


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「すごい…これがカリフラワー …」

「そうさ、これがカリフラワーさ!すごい野菜なんだ!パワフルで、最高だ!」

「美味しいのかしら…」

「ああ、味の方も最高さ!僕が保証するよ!」

「火は強めなくていい?」

「大丈夫、そのまま。いま塩胡椒もするから。ソーセージも入れよう、僕がパンにいれるよ、安心して」

「信じてるわ」

「できた!よし、軽く水をパンに入れて、蓋をして」


ファンファンファンファン


「しまった、FBIがもうすぐそこまで来てる!」

「そんな、ジム、どうすればいいの!?」

「落ち着いて、アマンダ、僕たちは大丈夫だ、僕が対応する!君は僕がいいって言うまで、その蓋をとらずに、そこにいて!僕の合図で蓋を開けたら、盛り付けて欲しい。できるね?アマンダ」

「そんな、こんなことってないわ!わたしたちは一緒よね?わたしも一緒に行くわ!」

「ダメだ、君はここにいておくれ、お願いだ。FBIは僕1人で対応する。君はここで僕の合図を待っていて。お願いだよアマンダ。君は1人でできるはずだよ。いいね、行くよ。」

「…………」

「アマンダ、そんな顔をしないでおくれ、僕の美しいアマンダ。君はいつだって僕の太陽なんだ。いつまでも、輝いて!」

「ジーーーーーム!!」





パパパパパッ

「ぐわっ!」


ザザッ

「くそっ、ここまでか!!」


ダダダダダダ

「F**k!!」


ズダズダズダッ

「し、しまった!!くそっ!くそっ!」



ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!




「アマンダッ!いまだ!火を消して、蓋をとって、盛り付けて!」







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「アマンダ…もう平気だよ…目を覚まして」

「ジム!無事だったのね!」

「もちろん、無事さ。FBIがワインをくれたんだ。南アフリカのものなんだけれど、Pinotageっていう葡萄で作られたワインなんだ。柔らかなPinot Noirの香りとCinsaultの酸が豚肉のお料理にもよく合うと思う。FBIがそう言ってたよ。」

「ステキ、こんなことってあるのね…」

「君の勇気が起こした奇跡さ。さあ、グラスをとって…」

「ジム…わたし…あなたを」

「アマンダ、そこから先は僕に言わせて!アマンダ、君を、愛してる!」

「ジム、わたしも!あなたを愛してる!」





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【Epilogue】



ハイ、みんな!

今日もタフな1日だ!とびっきりタフだった!

もちろんそれは僕だけじゃない、みんなタフな1日さ!

え?そうでもない?

それはきみが想像以上にタフだったってことだ!

でも、油断しちゃいけないよ、栄養をとって、休める時はしっかり休もう!


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ねえ、ジム、話が長いわ!みんなそんなことよりお料理の感想を聞きたいんじゃない?

どうだったの?教えて!

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そうだね、アマンダ、きみの言う通りだ。

正直な意見を言わせてもらうよ!

ポーク・ソーセージの旨みとガーリック、パプリカのアロマがカリフラワーに染み込んでいって、カリフラワーのやつがまるでポークみたいにフレーバーフルな美味しさだったんだ!

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「あら、ジム、それはよかったじゃない!確かに大量のポークを食べるとなると、明日の体重計が怖いものね!」

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「そうなんだ!付け合わせでなく、一緒に調理することで、野菜にも高い満足感が得られたよ!」

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「そうね!それはわたしも感じた!それに、フード・ロスもほとんどなくて、すごくいいお料理だと思ったわ!ディナーにもいいし、休日のパワフルなランチにもいいわ!ねえ、これって最高じゃない!?ジム、あなたって最高よ!」

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「あはは、アマンダ、君こそ最高さ!さあ、もう一度乾杯しよう!世界のみんなに、この幸せが届きますように!ってね!」









【ありがとうございました】












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