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【ワインテイスティングnote: RAATS DOLOMITE Cabernet Franc 2015】 #呑みながら書きました





クリオネ語録



ワインを飲まなかった時期がわたしにもある

注いであげたい人も

注いでくれたら嬉しくなるような人も

まるで見えていなかったの

-クリオネ
(自伝 ボルドー色の口紅で書き殴った手紙 より抜粋)











のみながらこのワインのテイスティングの内容を綴っていきたい

今日のわいんはこちらよ

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いつだったかいただいたもの。

南アフリカ産、葡萄はカベルネフラン。

カベルネフランについては昔ノートを書いたわね


飽きっぽいわたしは2、3個の話を書いただけでワインのお話をやめてしまった。

このスガシカオ の出てくるお話のワインが、カベルネフラン。

さっそくグラスに注いで色を見てみる


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深紅色で暗過ぎない。深さのある部分はダークチェリーのような色

美しいです

香りについて

グラスに注いですぐ、ピーティーなスコッチのような強い揮発臭

それがしばらく続く

揮発臭が消えた後は、なぜか清涼感を感じる。きだものというよりかは、花の弁の青い香り

ああ、ああああ、この香りは、記憶がある。どこだ、どこだここは。わたしはいったい、こ、ここは、曽祖父の家の先にある畑?そんなバカな、曽祖父は亡くなり、畑はなくなったはずなのに?

ふと現実に戻る。わたしは自身の部屋にいる。手を強く握りしめ、ゆっくりとはなす。それを何度か繰り返し、意識をはっきりとさせる。

さあ、テイスティングの続きを。

香りを辿る。青々とした香り、その次にやってくるのは売れきらないスモモのような、若干の渋みを皮に残した香りがやってくる。

眼前に、まただ、曽祖父の家が広がっている。

草の香りの残る畳に寝転がり、冷たい場所を探してごろごろと転がる幼き日のわたしと対峙する。おまえは幼子でありながら、もうすぐ様々な我慢を己に課して生きていくのだ、結果疎外感にまみれて生きる長い時間が来る。わたしは知っている。気の毒に思う反面、安心しなさいと思う気持ちも反面。

曽祖父の家には酸っぱいスモモがたくさんあった。その影響からか、母もよくスモモを買っていた。

皮にかじりつくと酸っぱく、その内側にはほのかに甘い果肉が隠れていて、夢中でそれを齧れば、今度は種の周りの酸っぱい部分も出てくる、そんな果物であった。

視界が後退していき、背後からやってきたのはわたしの部屋の風景、グラスの中の液体を少し飲んでいたようだ。

まだ若いか。こなれてない要素が多い。それをグレープフルーツの皮の苦味と表現するのは大袈裟かもしれない。しかしイヤな感触ではない。柑橘の皮のようなオイリーに残留する軽微な刺激も心地よく馴染んできた。

そうだ、あの香りだ。わたしは曽祖父の家の湯船に浮かんだ庭の木になった柑橘の実を思い浮かべる。一番風呂を浴びに曽祖父は向かいの家から自分の家へやってくる。そして夕飯を食べ、向かいの家へ帰っていく。全く何の問題も生じることはなかったが、かわった親族であったと思う。優しい嘘がいくつかあった。小さい私たちのための嘘。いろんなことを知った曽祖父のお通夜の日、祖母は優しく私たちに微笑みかけた。

は、また、わたしは遠い場所でこのワインの香りを嗅いでいた。グラスの中で時間が経って、柔らかくなってきた。味に深みは足りないものの、ほんのりとバラの香りや心地よい酸味が葡萄の骨格をうまくつくってきている。ここにきて青さのアクセントがこのワインの質を一つ上のものにしていることを知る。

そうだ、数年前の初夏の頃ね、ここは。

そうだ、間違いないわ。

祖母、実際には家系図的には祖母ではなかったが、わたしの祖母である。彼女は今年91歳、まだ自転車に乗って移動できるし、夏前になるとわたしの母に電話をしてきて、もうわたしもそろそろだから会いにきいやと。毎回元気だから安心するのだが。一年に一回みんなで集まっていたあの頃を懐かしんでいるのだ。若くして亡くなったものもいるし、いろんなことが変わった。

母と姉とわたし、父はお留守番、3人で祖母に会いに行った。

二日間泊まらせてもらった。祖母が昔みたいにわたしと寝たいというので、一緒に寝た。祖母がお風呂から上がってきて、いいかおりのバラのミストを顔にシュシュシュッとしてあげてね、パンパンとやさしく刺激する。

いまさらそんなん効くかいな、おばあちゃんはシワだらけの顔で微笑む

お布団を並べて寝ましょう。初夏と言っても夜は寒いから、時々布団がずれてないかなって気になるわ

なんだか昔とは逆ね、でもそれも楽しいね


たまにはちょっといいワインもいいものだ

たくさんの香りのヒントがなんだかいろんなことを思い出せて、ワインのステキな部分を再確認。

外にあまり出れない状況なら、いいワインを買っておうちで飲むのもたのしい。

まあこのワインはもらいものなのでじぶんでは買ってないのであまり偉そうには言えないんだけれど。

今日も一杯でおしまいにしますね。


【おしまい】



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