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『偶然の祝福』(著者:小川洋子)は頌栄女子学院中、香蘭女学校中、雙葉中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじを紹介!

■『偶然の祝福』(著者:小川洋子)について

この本は

  • 失踪者たちの王国

  • 盗作

  • キリコさんの失敗

  • エーデルワイス

  • 涙腺水晶結石症

  • 時計工場

  • 蘇生

の7編からなる短編小説集です。

小川洋子さんの作品は、『』同様、独特な世界観があり、奇妙な話ばかりです。失ったものへの思い、運命などが描かれていて、大人的には素敵な作品と思えますが、「え?これで終わり?」という終わり方が多いので、小学生にとっては、ますます何だったの???と思ってしまうでしょう。

『海』同様こちらもこの独特な世界の中で、登場人物の像をしっかり思い浮かべていく練習として、出題された「キリコさんの失敗」は、かなり不思議な話ですが、面白く読むことができます。この作品だけでも読んでみるといいでしょう。
(「キリコさんの失敗」の詳しいあらすじを読みたい方は一番最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)

2013年度第1回頌栄女子学院中学校2016年度香蘭女学校中等科、2021年度雙葉中学校の国語の入試問題でいずれも「キリコさんの失敗」から出題されました。

◆2013年度第1回頌栄女子学院中学校の国語の入試問題

大問2番で「キリコさんの失敗」から文庫で約8ページ分が出題されました。大問1番は論説文で、大問2番まででした。

この大問2番の設問形式は、慣用句が1問、適語補充が2問、4択の記号選択が5問、50字の記述が1問、自由記述が1問で、全部で10問でした。

全体の問題量はそれほど多くないと思いましたが、制限時間が40分間でした。

◆2016年度香蘭女学校中等科の国語の入試問題

大問1番で「キリコさんの失敗」から文庫で約9ページ分が出題されました。大問2番は、随筆文ですが、大問1番の方が量が多めでした。

大問1番の設問形式は、漢字1問、語句の意味1問、語句の挿入1問、4択の記号選択問題が2問、6択から2択選ぶ記号選択問題が1問、6択それぞれに◯か✖️をつける問題が1問、抜き出しが1問、自由記述問題が2問、の全部で10問でした。

お手伝いのキリコさんは、私の味方となってくれる人で、なぜか私がなくしたものを取り戻すことができるのです。この2人の人物像と関係が読み取れていれば、難しい問題ではないでしょう。

◆2021年度雙葉中学校の国語の入試問題

大問1番で「キリコさんの失敗」から文庫で約5ページ弱、最初の私が父からもらった万年筆で色々なものを書いてわくわくしているシーンが出題されました。大問2番は語句の用法、大問3番は詩とその説明文、大問4番が漢字の読み書きで、大問4番まででした。

大問1番の設問形式は、語句の意味が1問、副詞の挿入が1問、語句の挿入が1問、指示語の抜き出しが1問、助詞の働きが1問、4択の記号選択問題が1問、自由記述問題が5問、80〜100字の記述問題が1問で全部で12問でした。

■「キリコさんの失敗」あらすじ(ネタバレ)

の家には、キリコさんというお手伝いさんがいた。11歳の夏休み、私は、ヨーロッパを回っていた父親からのお土産で、スイス製の万年筆をもらった。私は、自分が大人になったような気がして、この万年筆で書きたくて書きたくてたまらなくなり、ノートを買ってもらって、好きな本の一節を写したりした。そのうち、だんだんいろんなことを書くようになった。

学芸会の前の日、ソロでリコーダーを吹くことに選ばれていたのに、リコーダーがいくら探しても見つからない。私は絶望に打ちひしがれていると、キリコさんがリコーダーを作ればいいと言う。キリコさんは、本当に本番の朝に木を削ったリコーダーを持ってきてくれたのだ。後から聞いた話によると、家具工場の職人さんに頼んで、10本以上作り直して持ってきてくれたものだった。私は、自分が書いた物語の中で、一番気に入っているものを清書して、キリコさんにプレゼントした。

ある日、お気に入りの万年筆がなくなっていた。焼却炉に入れられてしまっていたのだ。そんな折、父が趣味で集めていた骨董の壺をある収集家に売ることになり、キリコさんが壺を持っていくことになる。壺を引き渡し、サインをしてもらう時に、その人がサインに使った万年筆がまさに私のなくした万年筆と同じだった。そこで、キリコさんは万年筆を譲ってもらえるように交渉し、もらって帰ってきてくれる。ところが、その後、壺を買った収集家から、壺が届かないと連絡が入る。キリコさんは確かに渡したはずなのだが、同姓同名の違う人だったらしい。キリコさんはこのことに責任を感じて、辞めてしまう。私は、自分の書いたお話を一冊の本に綴じて、プレゼントする。

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