『夏のカルテット』（著者：眞島めいり）は海城中、西大和学園中で出題されました！中学受験国語の入試問題の内容・あらすじを紹介します！

■『夏のカルテット』（著者：眞島めいり）について

この本は、中学１年生の男女４人が図書委員で集まったことをきっかけに、夏休みの自由課題で、グループ研究としてバンドを作っていくというお話です。
動画投稿したり、グループ通話で話し合ったり、まさに現代の中学生の日常を描いていて、とても楽しく読める作品です。
ですが、ただバンドで音楽を作っていくだけでなく、動画投稿後に学校で噂やデマのネタにされたりと様々な問題も出てきます。イジメに近い問題もあるのですが、それに対しても前向きに描かれていて、４人の絆は深まり、みんなでバンドを続けていこうとする中学生青春小説といった感じです。
小学生にも共感しやすく、読みやすく、長さも208ページと長すぎず、ぜひ読んでもらいたい本です。

最後のあらすじは、読書感想文を書く際などに参考にしてみてください。（ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。）

夏のカルテット (カラフルノベル)

中学受験では、2022年度第２回海城中、2022年度西大和学園中（東京・東海・岡山会場）の国語の入試問題で出題されました。

◆2022年度第２回海城中学校の国語の入試問題

大問１番で、最初に、「４人が夏休みの自由課題として「笹屋」というバンドを組み、顔が映らないように動画も投稿していたが、３人の名前が学校で知られてしまい、残りの１人が誰かという中、その１人である幹は３人と連絡を取らなくなってしまう」という説明があり、物語最後のクライマックスシーン「俺（霜村典）が校内で幹を久しぶりに目にするが、学年主任の先生に声をかけられ、バンドをやっていること、３人と後１人が誰かという話になったところで、後ろから幹が自分だと名乗る。（中略）あり、幹が先生に、今のクラスがつらい、来年は離れたいと訴え、先生がクラス分けの会議で検討するから話を聞かせてくれと言ってくれる」という場面が出題されました。

大問２番は説明的文章で、大問２番までです。

この大問１番の設問形式は、４択の記号選択問題が11問、50〜70字の記述問題が１問で、全部で12問でした。

◆2022年度西大和学園中学校（東京・東海・岡山会場）の国語の入試問題

大問２番で、最初に、「４人で結成したバンドグループ「笹屋」として動画投稿したが再生回数が伸びず、メンバー４人でグループ通話で話し合いをする」という説明があり、「その後急に再生回数が上昇するが、その理由は佐々矢がクラスの友だちにバンドを組んだことを話したため、ネット検索されてバレてしまったということだった。コメント欄に学校名を匂わすようなことも書かれ、動画はすぐに非公開にしたが、学校では噂やデマのネタにされてしまう。しかし、メンバーは好きな子たちと好きなことをすることの何がいけないのかと思う。」という場面が出題されました。

大問１番は論説文で、大問２番まででした。

この大問２番の設問形式は、漢字の書き取りが１問、語句の意味が１問、語句の挿入が１問、慣用句が１問、５択の記号選択問題が２問、50字・80字の記述問題が各１問で全部で８問でした。

■『夏のカルテット』のあらすじ（ネタバレ）

中学１年の霜村典（しもむらつかさ＝主人公・俺）、瀬尾幹（せのおみき）、寺佐々矢（てらささや）、鯨井夏野（くじらいかの）の４人は図書委員の当番で、夏休みの図書室開放のために登校する。ところが、夏休みに校舎の改修工事が始まり、工事の音がうるさいため、ほとんど図書室に来る生徒がいない。佐々矢に持っていたギターを聴きたいと頼むと校歌を弾き始め、夏野も歌い出す。そこで、夏休みの自由課題にあったグループ研究の中に、合唱または合奏とあったことを思い出し、４人でやろうということになる。

幹と夏野は以前同じ音楽教室に通ったことがあり、２人ともピアノを弾けるが、夏野は歌担当、幹がピアノ、佐々矢はギター担当となる。典だけ楽器でできるものがなかったので、作詞担当となる。
作曲は大変なので、ヘンデルの『調子の良い鍛冶屋』という曲に詩をつけることになる。

幹の家でスマホで録音し、バンド名は佐々矢から「笹屋」として、自由課題は完成した。ところが、２学期になり提出するときになって、幹がグループ研究を抜けたいから名前を消してほしいと言う。幹はクラスのみんなからからかわれていて、また目立つようなことをしたくなかったのだ。

このままにしたくない３人は、もう一度演奏して、動画を投稿しようと決める。そして、顔出ししないで一緒に撮影しようと幹を誘う。

新しく演奏したものを動画サイトに投稿し終わると、再生回数が気になって仕方がない。ずっとほとんど増えなかった再生回数がある日、急に増えている。一瞬喜んだが、実は佐々矢のクラスで、夏休みのレポートのバンド名を検索した人がいて、動画がバレてしまったのだ。余計な噂やデマが流れ、動画は非公開、そしてアカウントを削除することになる。

だけど、みんなの気持ちは変わらない。４人でいる場所が、４人でいる時間が好きで、週１で集まっている。もう一度、新しいバンド名を決める。