『改造版少年アリス』(著者:長野まゆみ)は筑波大学附属駒場中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容・あらすじを紹介!
■『改造版少年アリス』(著者:長野まゆみ)について
この本は、1988年第25回文藝賞を受賞している『少年アリス』の改造版です。
本自体は字も大きく、ボリューム感もちょうどよく、さらに、巻末に「少年少女のための『少年アリス』辞典」というのがついていて、例えば、カラスウリ、アケビのようなものがどういうものなのかという説明があります。
ですので、小学生向けのような感じですが、独特の世界観があり、読んですぐにはなかなか入りこめないので、小学生には難しく感じるでしょう。
登場人物がアリス少年と、友だちの蜜蜂と耳丸という犬です。
名前からして違和感で、本当に人間の世界の話なのかどうか疑ってしまいそうです。
実際に、中盤からアリスが鳥の世界に入り込んでしまうので、その境もきちんと理解できるかどうか、読解力のある生徒さんに挑戦してもらいたいです。
長野まゆみさんは、宮沢賢治に強く影響を受けているということで、『銀河鉄道の夜』を思わせるようなファンタジーの世界が描かれています。
少年アリスという中性的な名前。蜜蜂という名の友だち。とても不思議な世界ですけど、美しいファンタジーです。
詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)
中学受験では、2015年度筑波大学附属駒場中学校の国語の入試問題で出題されました。
◆2015年度筑波大学附属駒場中学校の国語の入試問題
大問2番で「第2章スカラ座通り」から単行本で3ページちょっと出題されました。蜜蜂が鳥の本を学校に忘れたので、夜の学校に本を取りに行く際、アリスを誘う場面です。
大問1番は論説文、大問3番は詩が出題されました。
筑波大学附属駒場中の国語の問題は、出題される文章が短く、読むのは楽ですが、逆にヒントが少なすぎて背景が読み取りきれず、難しく感じるでしょう。
この大問2番の設問形式は、漢字が1問、5択の記号選択問題が1問、自由記述問題が3問で全部で5問でした。
■『改造版少年アリス』あらすじ(ネタバレ)
(あらすじを書いてしまうと、なんだそれだけ?というような印象を持たれてしまうかと思いますが、実際の「改造版少年アリス」は、言葉も美しくさまざまな自然が描かれ、清らかな世界を表しています。)
ある夏の終わり、蜜蜂は兄に鳥の本を返す約束があったのに学校に忘れてしまったので、夜の学校に取りに行くことにします。耳丸という犬を連れて、アリスを誘い、向かいます。鳥の本はすぐに見つかったので、夜の学校を探検することにしました。
理科室に向かうと、そこでは授業が行われていました。鳥のうまれそこないの子たちが人の姿となって授業を受けています。アリスは見つかってしまい、蜜蜂と耳丸はどこかへ消えていなくなってしまいました。ですが、アリスは石膏で作ったたまごを持っていたため、鳥の子どもたちと同じように授業を受けることになります。
図工室では、ブリキ板で月を、貝がらで星を作り、天幕にみんなで貼り付け、終わるとまた理科室に戻ります。そして、たまごに戻るように言われますが、アリスはたまごに戻ることはできません。そこで、教師にガラス戸の中に閉じ込められてしまいます。蜜蜂が探しに来ているのもわかるのに、声が届きません。そして、たまごがホンモノではなく、石膏で作られたものであることがバレてしまい、すべてを忘れてしまうように、上着のボタンをひねられます。
夜明けころ、蜜蜂とアリスは図書室で再会します。アリスは気づいたら図書室にいたのです。
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