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「在庫処分」のタイミング

使用期限がある商品は、期限が切れる前に売り切る必要があります。有効期間が6か月の場合、3月に製造したら9月までに売り切らなければ廃棄することになってしまうでしょう。9月までに売り切るには、そろそろ動かさないと間に合いません。


バキスゼブリア筋注

厚生労働省の専門部会が、アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチン「バキスゼブリア筋注」について、対象を原則40歳以上とした公的接種で使う事を了承したとのこと。 日本向けに「バキスゼブリア筋注」の製剤化が始まったのは、3月でした。血栓症の問題があるのに動きだしたということは、そろそろ使っていかないと、廃棄することになるからでしょうか。

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「バキスゼブリア筋注」は、血栓症の問題があり、デンマーク、ノルウェー、スロバキアでは、使用停止となっているようです。

中止の国

(資料3より)

特例承認に係る報告書

コミナティ筋注(ファイザー社)、モデルナ筋注(モデルナ社)と同様に、バキスゼブリア筋注(アストラゼネカ社)の審査報告書が厚労省のサイトで公開されています。

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「バキスゼブリア筋注 特例承認に係る報告書 」は120ページもあるので、気になった部分を取り上げていきます。

アストラ 3

ファイザーやモデルナとは違い、チンパンジーアデノウイルスが用いられています。(3ページ)

ここからまた、黒塗り祭りが始まります。

アストラ 4

アストラ 5

アストラ 6

(4~6ページ)

全体的に、モデルナ筋注よりは黒塗りが少なかった印象です。

アストラ 10

新添加剤として、使用前例を越える塩化マグネシウムが使われていますが、「安全性上の問題が生じる可能性は低い」と判断しています。(10ページ)

アストラ 16

アストラゼネカ社は「推察」で片づけていますが、その説明で「了承」しています。(16ページ)

アストラ 17

アストラ 19

臨床薬理試験は、通常第1相試験で行われるようですが、なぜ行っていないのでしょうか。(17、19ページ)

アストラ 19 (2)

今回の報告書では、上記のような年月日に黒塗りが多いです。これ以外にも多数あり、企業秘密でもないと思うのですが、なぜなのでしょうか。(19ページ)

アストラ 38

臨床試験では、基礎疾患のある人(一部ではコントロールできている人が参加)や妊婦、授乳中の人は除外されています。
(38ページ)

アストラ 78

疾患増強については、「理論上の懸念」はあり、販売後の情報収集、情報提供が適切であると書かれています。(78ページ)

アストラ 80ページ

「長期の有効性及び安全性や重症化抑制効果は現時点では不明」であり、発症予防効果は「期待できる」というレベルです。コミナティ筋注と同様に、「期待」としか書かれていません。(80ページ)

アストラ 80-2

臨床試験で除外されていたので、基礎疾患のある人(一部ではコントロールできている人が参加)のデータはほとんど得られていません。(80ページ)

アストラ 81

免疫抑制薬の投与を受けた場合など、データは限られていると書かれています。(81ページ)

アストラ 82

妊婦への接種に関するデータは限られていて、授乳中に関するデータはありません。(82ページ)

アストラ 91

新型コロナの重症化リスクが高いとされている基礎疾患を有する人は高齢者も含めて、臨床試験では十分な安全性情報が得られていないと書かれています。(91ページ)

アストラ 99

注目すべき有害事象の一覧。(99ページ)

アストラ 103

血栓症に関する注意喚起は必要だと書かれています。(103ページ)

イギリスでの注意喚起

血栓症を含め、イギリスではどのように注意喚起がされているのか見てみましょう。

AstraZeneca’s COVID-19 vaccine has been approved for emergency supply in the UK, with the first doses being released today so that vaccinations may begin early in the New Year.

アストラゼネカ社のリリース(2020年12月30日付)には、「緊急供給が承認された」と書かれています。ファイザー社やモデルナ社のワクチンと同様に、「緊急供給」の承認です。

上記には、条件付きの販売承認であり、販売承認保有者が、定められた期間内に、有効性や安全性を確認するために完了しなければならない措置が書かれています。(2021年7月19日更新)

In order to elucidate the possible mechanisms of platelet activation after vaccination and to identify the possible triggers, the MAH should conduct and submit the final report for a non-clinical study to test in-vitro expression of the S protein of Vaxzevria.  31 July 2021

例えば、ワクチン接種後の血小板活性化の考えられるメカニズムの解明は、2021年7月31日までとなっていますが、そのほかの多くは、期限が2022年、2023年となっています。つまり、有効性や安全性についてまだ確認できていないことがたくさんあるということです。

EMA(欧州医薬品庁)にも、バキスゼブリア筋注について書かれたページがあります。

The impact of vaccination with Vaxzevria on the spread of the SARS-CoV-2 virus in the community is not yet known. It is not yet known how much vaccinated people may still be able to carry and spread the virus.
コミュニティでのSARS-CoV-2ウイルスの蔓延に対するVaxzevriaのワクチン接種の影響は、まだわかっていません。ワクチン接種を受けた人々がどれだけウイルスを運び、広めるかはまだわかっていません。
Preliminary animal studies do not show any harmful effects in pregnancy, however data on the use of Vaxzevria during pregnancy are very limited. Although there are no studies on breast-feeding, no risk from breast-feeding is expected.
The decision on whether to use the vaccine in pregnant women should be made in close consultation with a healthcare professional after considering the benefits and risks.
予備的な動物実験では妊娠中の有害な影響は示されていませんが、妊娠中のVaxzevriaの使用に関するデータは非常に限られています。母乳育児に関する研究はありませんが、母乳育児によるリスクは予想されていません。
妊娠中の女性にワクチンを使用するかどうかの決定は、利点とリスクを考慮した後、医療専門家と緊密に協議して行う必要があります。
Thrombocytopenia (low levels of blood platelets), vomiting, diarrhoea, pain in legs or arms, swelling and redness at the injection site, flu-like illness and asthenia (weakness) may affect up to 1 in 10 people. Lymphadenopathy (enlarged lymph nodes), decreased appetite, dizziness, sleepiness, lethargy (lack of energy), sweating, abdominal (belly) pain, itching, rash and urticaria (itchy rash) may affect up to 1 in 100 people. Thrombosis (formation of blood clots in the blood vessels) in combination with thrombocytopenia (thrombosis with thrombocytopenia syndrome, TTS) may affect up to 1 in 10,000 people.
血小板減少症(血小板のレベルが低い)、嘔吐、下痢、脚や腕の痛み、注射部位の腫れや発赤、インフルエンザ様の病気や無力症(脱力感)は、最大10人に1人に影響を与える可能性があります。リンパ節腫脹(リンパ節の腫大)、食欲減退、めまい、眠気、倦怠感(エネルギー不足)、発汗、腹痛、かゆみ、発疹、じんま疹(かゆみを伴う発疹)は、100人に1人に影響を与える可能性があります。血小板減少症(血小板減少症候群を伴う血栓症、TTS)と組み合わせた血栓症(血管内の血栓の形成)は、10,000人に1人まで影響を与える可能性があります。

厚労省のサイトにも、血栓症に関するQ&Aがあります。

Q:ワクチン接種後に血栓症が起きると聞いたのですが大丈夫でしょうか。

A:海外で接種が行われているアストラゼネカ社のワクチンでは、稀に珍しいタイプの血栓症が起きるという報告がありますが、適切な診断・治療方法も報告されています。なお、ファイザー社や武田/モデルナ社のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンでは、現時点では、同様の血栓症と関連性があると評価された事例は確認されていません。

■どのくらいの頻度で起こるのですか。
これまでの報告から、頻度にばらつきはありますが、極めて稀に起こるものであり、ワクチン接種約10万~25万回に1回程度といった報告があります。

EMAのサイトでは、「血小板減少症(血小板減少症候群を伴う血栓症、TTS)と組み合わせた血栓症(血管内の血栓の形成)は、10,000人に1人まで影響を与える可能性があります」と書かれていたので、数がすいぶん違います。

MHRA(英国医薬品医療製品規制庁)のYellow Card reporting(副反応報告システム) には、次のような注意書きがありました。


The MHRA recently confirmed that the evidence to date does not suggest that the COVID-19 Vaccine AstraZeneca causes venous thromboembolism without a low platelet count.
If you experience any of the following from around 4 days after vaccination should seek medical advice urgently:
・a severe headache that is not relieved with simple painkillers or is getting worse or feels worse when you lie down or bend over
・an unusual headache that may be accompanied by blurred vision, confusion, difficulty with speech, weakness, drowsiness or seizures (fits)
・rash that looks like small bruises or bleeding under the skin beyond the injection site
・shortness of breath, chest pain, leg swelling or persistent abdominal (tummy) pain.
MHRAは最近、これまでの証拠から、アストラゼネカのCOVID-19ワクチンが血小板数の低下なしに静脈血栓塞栓症を引き起こすことを示唆していないことを確認しました。
予防接種後約4日から次のいずれかが発生した場合は、緊急に医師の診察を受けてください。
・単純な鎮痛剤では緩和されない、または横になったり腰をかがめたりすると悪化したり気分が悪くなったりする重度の頭痛
・かすみ目、錯乱、発話困難、脱力感、眠気または発作(発作)を伴う可能性のある異常な頭痛
・注射部位を越えた皮膚の下の小さな打撲傷または出血のように見える発疹
・息切れ、胸痛、下肢の腫れ、または持続性の腹痛

「バキスゼブリア筋注 特例承認に係る報告書」の前に、下記のように書かれたページがあります。

5. 本剤の接種に際し、本剤の有効性及び安全性については今後も情報が集積
されることを踏まえ、あらかじめ被接種者又は代諾者に最新の有効性及び
安全性に関する情報が文書をもって説明され
、予診票等で文書による同意
を得てから接種されるよう、医師に対して適切に説明すること。

これはコミナティ筋注などの報告書にも書かれていますが、きちんと説明している医師ばかりではありません。ですが、予診票の「同意する」にチェックしたら、最新の安全性に関する情報にも同意したということになるのです。副反応に関する情報は、日々更新されていきます。医師からの説明が期待できない場合は、自分で納得いくまで調べてから同意するかしないか考えることが大切だと思います。

厚労省のQ&Aには、下記のようにも書かれています。

■どんな血栓症なのですか。
ヘパリンという薬を使った後に稀に生じる「ヘパリン起因性血小板減少症」と似ていることが報告されています。これは、血小板第4因子とヘパリンの複合体に対して、抗体ができてしまうことで、血小板の減少とともに、様々な静脈や動脈に血栓ができてしまう病気です。
一般的な血栓症は、下肢の静脈等にできることが多いですが、アストラゼネカ社のワクチン接種後に生じた血栓症は、脳の静脈やお腹の中の静脈などにも生じ、脳静脈洞の血栓症を起こした方では、脳出血も同時に起きやすくなることが報告されています。このため、早期に診断して、適切な治療を行うことが重要になります。

このような副反応が起きるのは、本当に「稀」なのでしょうか。