文徒ジャーナル Vol.36

Index------------------------------------------------------
1)「河瀬直美が見つめた東京五輪」はケアレスミスでは済まされない!
2)最近書店閉店事情
3)野球漫画の水島新司が亡くなった
4)NFT(非代替性トークン)の時代がやって来た!?
5)講談社の女性ファッション誌「with」が事実上の休刊へ!適時刊行に移行
6)フランス書籍専門の欧明社が2月末をもって閉店
7)芥川賞は「ブラックボックス」直木賞は「塞王の楯」と「黒牢城」のW受賞
----------------------------------------2021.1.17-21 Shuppanjin

1)「河瀬直美が見つめた東京五輪」はケアレスミスでは済まされない!

日刊スポーツは1月13日付で「NHK会長が字幕問題謝罪『率直に言って、お粗末だと』検証番組は予定せず」を掲載している。1月13日に定例会見が開催された。「河瀬直美が見つめた東京五輪」に言及したようだ。
《前田会長は「映画監督の河瀬さんや(撮影に参加した)島田角栄さん、映画関係者の方々、視聴者の方々に申し訳ないと思います。改めておわびします」。また「チェックの仕組みはしっかりとあるが、機能が十分に働かなかったことが一番大きな問題。再発防止に取り組むことが一番大切。不確かな事実をそのまま字幕にすることはあってはならない」と述べた。》
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202201130000673.html
https://www.nhk.or.jp/info/pr/toptalk/assets/pdf/kaichou/k2201.pdf
朝日新聞デジタルは1月13日付で「テロップ問題でNHK陳謝 『クロ現』過剰演出で導入のチェックせず」(西田理人、伊藤宏樹)を掲載している。NHKからすれば、そろそろこの問題の幕引きを図りたいのだろう。しかし、
《昨年末に放送されたNHK・BS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」で取材内容と異なる字幕が付けられた問題で、制作したNHK大阪拠点放送局の角英夫局長は13日、定例会見で「報道機関として最も守るべきことができていなかった」と改めて陳謝した。事実確認が不十分だったなどと改めて説明し、捏造は否定した。また、取材相手を匿名にするのが適正かなどを判断するチェックシートによる確認を、この番組では怠っていたと明らかにした。》
《角局長は「取材、制作の過程で制作担当者間のコミュニケーション不足に加え、事実の確認とチェック体制が不十分だったことが原因」と述べ、捏造ではないかとの指摘に「担当者が意図的、または故意に架空の内容を作り上げたという事実はない。やらせだとは考えていない」と改めて否定した。》
https://digital.asahi.com/articles/ASQ1F64PKQ1FPTFC019.html
毎日新聞は1月13日付で「NHK字幕問題 大阪放送局長陳謝『入れるべきではなかった』」(倉田陶子、稲垣衆史)を掲載している。
《13日の記者会見で、問題の字幕について「視聴者は五輪反対デモに参加したと受け取るのが自然だ」との指摘に対し、角局長は「あのシーンで字幕を使うべきではなかったが、2枚のテロップは次のインタビューの『人物紹介』のように使っている」と釈明した。
関係者の追加調査や番組の検証、放送倫理・番組向上機構(BPO)による調査の必要性などについては、いずれも「差し控える」などと言及を避けた。男性が五輪反対デモに参加したかという事実関係の根幹について、記者から「番組の取り消しにも関わることだ」などと繰り返し問われても「(回答は)控える」とした。角局長自らを含めた処分については「取材の基本ルールが守られていなかったことが原因で、必要な対応が検討される認識でいる」と述べた。》
https://mainichi.jp/articles/20220113/k00/00m/040/149000c
担当者に「捏造」「虚報」の意図がなかったとしても、視聴者の立場からすれば放送された内容は紛れもない「捏造」「虚報」ではなかったか。
「異邦人」も角の説明には納得できないようである。
《五輪反対デモに金銭での動員があったと捏造が行われた「河瀨直美が見つめた東京五輪」を流したNHK大阪放送局の角英夫局長が、本件について「あの字幕は入れるべきではなかった」などとしながら「捏造ではない」と結論ありきで言い訳をしている。検証もしないまま捏造も認めない。組織として言語道断。》
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1481778122366205957
元テレビ東京の青木俊が連ツイを発表している。
《文春の記事は、河瀬ドキュメンタリーのOAを自宅で見たNHKのデレクタ―が「なんだ、これは!」と絶句するところから始まる。別のDも「ヤバいね、これは…」NHKの社内に急速に危機感がひろがる。
テレビ屋の世界では、このDたちの反応が当然、当たり前、100%そうなる、というものなのだ》
《そも、反体制市民デモの主催者はカネがなく、カネをもらってデモ参加は考えにくい。それでも「あった」とするならば、
(1)当事者の顔出しの証言
(2)いくら、いつ、どこでという詳細
(3)その人物が確かに反五輪デモに出ていたという写真等の証拠
(4)金を誰からかもらったか、カネを渡した人物への直撃取材》
《少なくとも以上の4つが、本編の中で明示されていなくてはならない。そのどれもなく、ただのテロップというのは考えられず、絶句するしかないのだ。それがテレビ報道屋の世界の常識であって、チェックミスだのの次元の話では初めからないのだ。NHKはウソをついている。故意捏造をミスと偽っている。》
《しかも、担当Dの独断ではこれはできず、チェックした管理職もふくめ、複数の番組関係者の「共謀」がないと成立しない。真相が明らかになれば、多数の職員が共謀のうえ捏造番組を放送したという、放送史上空前の大醜聞に発展する。会長の辞任ではすまない。いまやNHKは一丸となって隠蔽に邁進している。》
《以上が、臆測ではなく、あり得る唯一の可能性だ。この醜聞は、残念ながら、新聞のいまのような弱腰では明らかにできない。NHKの防御は固く、BPOでもどこまでできるか疑問だ。あり得るとすれば、文春などの週刊誌が、ずいぶん後になって、関与した関係者の誰かの証言をとることしかない。》
https://twitter.com/AokiTonko/status/1481954916092448769

https://twitter.com/AokiTonko/status/1481961858060132356
東京新聞労働組合がツイートしている。
《「公共放送」を自称する放送局が/公共の名に反するフェイク、デマを流している。/その中で働く仲間たち/(私たちと同じメディア労働者)は/ちゃんと立ち上がっているのか。》
《五輪反対のデモ参加者に日当…の捏造問題など/メディアの信頼失墜行為、極めて深刻である。/現場で働く者が、自ら事実関係を明らかにし/対外的にも情報発信、意見表明すべきだ。/上層部の圧力から現場の労働者を守り/真実の報道を守るために、労組があるはずだ。》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1482047825928421378
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1482115609022595072
「さよなら昨日の私」の次のようなツイートが気になる。
《NHKの捏造番組。河瀨直美監督の取材クルーが事前に缶ビールを用意し、男性に持たせていたと強くうかがえる映像がコレだ。「『昼間に公園で酒を飲む中年男』がカネ目当てで参加していたのが反五輪デモ」と印象付けたかったか。だとすれば映画自体がアウトだ。河瀨監督はこの件も含めて真相を語るべき。》
https://twitter.com/SaYoNaRaKiNo/status/1482156243909492737
これも「さよなら昨日の私」のツイート。
《五輪に反対する一般市民を撮影する河瀨直美監督。撮影を拒む市民をチャカしているようにも見える仕草。まるで迷惑系ユーチューバーのようだ。国家公認の映画であることが彼女をここまで強気にさせたか。様々な疑惑が浮上している以上、この作品は制作を中止すべきだと思う。》
https://twitter.com/SaYoNaRaKiNo/status/1482281122948329472
青木俊が引用ツイートしている。
《問題は、河瀨直美氏が、もはや映画監督という芸術家ではなく、政治的存在と化していることだ。NHKの捏造も、間違いなく、彼女が帯びている政治性が影響している。》
https://twitter.com/AokiTonko/status/1482304966131798017
河瀨直美の「政治性」とは?立川談慶が次のようにツイートしている。
《河瀬直美さんについては田中康夫さんをブロックしていると聞いてから信用していない》
https://twitter.com/dankeitatekawa/status/1482213595325034500

ここから先は

25,109字
【文徒とは】 デイリー・メールマガジン「文徒」はマスコミ・広告業界の契約法人経営者にクローズドで配信されている。2013年より月〜金のデイリーで発行し続けており、2021年6月で通巻2000号を数える。出版業界人の間ではスピーチのネタとして用いられることが多く、あまりにも多くの出版人が本誌を引用するせいで「業界全体が〝文徒〟になっちゃったね」などと噂されることも。

文徒ジャーナル

¥2,000 / 月

マスコミ・広告業界の契約法人向けに完全クローズドで有料配信されていたデイリー・メールマガジン「文徒」をオープン化。デイリーで配信されるメー…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?