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【今日コレ受けvol.083】大雪の贈りもの

7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書くマガジン【今日コレ受け】に参加しています。


そう言えば、ひどくがっかりしたなあ。

今日の東京の大雪と、「今日コレ」の謙虚の話の掛け合わせで脳裏に浮かび上がってきた記憶。それは、あるサンタクロースの贈りものだった。

白い雪靴だ。

母の実家は兵庫県豊岡市という雪の多い地域で、年が明けたら帰省する予定があった。きっと母は、「そのときすべらないように」と考えてくれたのだろう。

でもそれが、私達きょうだい3人を失望させ、「サンタクロースが誰であるか」を勘付かせてしまった。ゲームが欲しいとリクエストしていたのに……。「サンタは絶対お母さんだ」と全員思ったと思うが、謙虚というかなんというか、誰も言えなかった。 

しかもその雪靴は、とてもダサかった。
けれどみんなで、必死で褒めた記憶がある。「白くてふわふわでかわいいね」「早く使いたいなあ」とかなんとか。

教師の父は、困っている生徒さんのお家にお金を貸して、返ってきていなかったりしていた。だから子どもながらに、「うちにはお金があまりない」と察していたのだ。

必死で「喜んだふり」をしていた気がする。その年だけではなく、ほかの年も、サンタが来たときはずっと。欲しかったモノであっても、そうでなくても。

結局、クリスマスプレゼントに留まらず、大人になるまでゲームを一度も買ってもらえなかった私達は、ほとんどゲームをしない大人になった。習慣がないからだ。

けれど3人とも本は読む。読書が大好きだ。おそらく、父と母が書店に一緒に行ったときだけは、「一人一冊、何の本を買ってもいい」というルールを作ってくれていたからだ。

私の場合は、それがいつしか書くことにつながり、ライターという職業につながったのかもしれない。……そう考えると、長い長い時を経て、大事な贈り物を受け取ったのかも?

大雪と「今日コレ」が気づきをくれた思い出。
本当にサンタが来たのは、クリスマスじゃなかったんだ、と。

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