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【今日コレ受けvol.099】言葉のダイソン

7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書くマガジン【今日コレ受け】に参加しています。


昨日梅田の街を歩いていたら、1ヶ月前まで花屋があった場所が、「肉吸い」専門店になっていて二度見した。

肉吸いを知らない方も多いかもしれない。ごくごく簡単に言うと、肉うどんの麺なし。
甘めの出汁に、これまた甘く炊いた牛肉の薄切りとネギ、三つ葉などが浮かんでいる大阪のソウルフードだ。

それを見てとっさに思った。吸いたい、と。
肉ではない。(いや肉も吸いたいけれど)
言葉を。本を。

ときどき、どうしようもなく、本を読みたい衝動に駆られる日がある。
仕事の資料や、学ぶために読む本ではなく、沈み込むような読書体験がしたい。動詞で表現するならば「吸う」がおそらく一番近い。


どうしてだろう。
たぶん読んだ言葉たちは、知らず知らずに自分のなかに蓄積する。そして書くと、だんだん目減りする感じがする。忘れるわけではなくて、言葉に宿ったエネルギーのようなものが減る感覚……

語彙、もあるのかもしれない。
WEBや雑誌を読んでいるだけでは、言葉のバリエーションがどうしても限られる気がする。数万字ある本だからこそ、登場する言葉が沢山ある。それら言葉のエネルギーと語彙が、自分が「書く」原動力になっているのだと思う。


ライターという職業を名乗るとよく、「昔から文章を書いていたんですか?」と言われる。けれどお恥ずかしながら、全然書いていなかった。長い文章といえば、大学のレポートくらい。

それなのに、曲がりなりにも書く職業に就けたのは、小さい頃から読書が好きだったからだと思う。言わば、「言葉の貯金」があったのだ。


再び貯めなければ。言葉を。
家事(あまりできていないけれど)や仕事を全くせずに、本に没頭する時間をつくりたい。
そして、ダイソンばりに吸いつくしたい。

ひとまず今、スケジュール帳の空いた日程に、「吸」と書いてみた。

それだけで、なんだかちょっと落ち着いた。
よし。明日はそこに、読みたい本のタイトルを入れよう。

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