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【カナダ横断記①】グリズリー(巨熊)に食べられそうになる

どもー。
分析太郎です。

様々な業種の市場分析や、
ビジネスアイデア考察を
生業にしています。

学生時代、
大学を休学し、
カナダを西から東へ
自転車で横断しました。
5ヶ月で8,000km走りました。


現地で購入した自転車

大学の広報誌に
寄稿した記事があったので、
noteにも載せます。

テーマは、
「グリズリー(巨熊)に襲われそうになる」
です。
それではどうぞ。


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出発地点のバンクーバーから東へ400kmほど離れたところに、カナディアンロッキーという巨大な山岳地帯がある。バンフ国立公園のルイーズ湖やジャスパー国立公園のマリーン湖など透き通った美しい湖があることで有名で、毎年世界中から多くの観光客が訪れている。


バンフ国立公園のレイクルイーズ。当時はまだ氷が残っていた。


ただ、ここはグリズリーという巨大な熊が出没することでも知られており、登山者がばったり遭遇し襲われたびたび死亡事故も起きているという、丸腰の私にとっては大変危険な場所だ。できることなら避けて通りたいこのカナディアンロッキーだが、東へ進むためにはどうしても通らざるをえない。これまでの道中で出会った人達からは「絶対にベアスプレー(熊撃退用スプレー)だけは持って行けよ!」と忠告されていたが、お金がもったいなかったので買わなかった。


横断は基本的にトランスカナダハイウェイというカナダ全土にまたがる高速道路を通る(カナダでは自転車で高速道路を走ることができる)。カナディアンロッキーにも高速道路が敷かれており、道路と森との間には高さ2mくらいの立派な柵が一直線に設けられていた。これはもちろん、森に生息する野生動物が誤って道路に飛び出してこないためだ。だが、柵が設けられているのは車の通りの多い限られた区間のみで、ほとんどの場所には柵がなかった。6月2日、山間の寒空の下、あたりを気にしながら自転車を漕いでいると、やはりそいつはいた。熊である。


遠目から見るブラックベア。小熊だが近くには親がいそう。


幸いこの熊は、主に植物の根や葉を食べるブラックベアで、自分からの距離も遠く、また見た感じまだ幼かったので、襲われる心配はなかった。ただ、熊がいるという事実をこの目で確認したことの影響は大きかった。私はさらに背中を丸め「熊出るな熊出るな」と独り言を念仏のように唱えながら自転車を漕いだ。


翌3日、ルイーズ湖を観光し、初めて柵が設けられた道路が出てきた。私は心底安心し良い気分で自転車を走らせていた。ただ、柵の向こう側の森には土や枯葉、木の枝を一か所に集めた成人男性くらいの高さの土盛りがいたるところにあり(理由はわからない)、茶色いスポーツグラスをかけていた私にはそれがいちいち熊に見えて仕方がなかった。はじめはそれを見かける度に「熊や!」と驚いていたが、あまりにたくさんあるので間もなく見慣れてしまった。


この日は近くに宿がなかったので、キャンプ場に泊まることにした。ハイウェイを離れ、森の中に続く人気のない細い道を進む。その道には柵がなかったため、私はまた熊に襲われる不安に駆られ始めた。


そんな折、40mくらい右前方のえらく道に出っ張ったところに、また先ほどの土盛りのようなものがあるのを見つけた。私は自転車でゆっくり進みながら目を細めてその物体が熊ではないかを確認した。全く動く気配がなかったので安心して通過しようとすると、10mくらい手前に来たところで、その土盛りにくっついて何か白っぽいものがプラプラと揺れているのが見えた。それはウサギ?のような小動物だった。「は?」と我に返り改めてその茶色い物体全体をよく見てみると、それは紛れもない熊だった。その小動物は熊の口に咥えられていたのだった。しかもその熊は私が最も恐れていた天敵グリズリーだった。その時私はすでにグリズリーの6mくらい手前まで来ていた。


しまった。茶色いスポーツグラスをかけていたのがいけなかった。おかげで本当に土と熊を見間違えた。だが後悔したところでもう遅い。私は無意識のうちにペダルを全力で踏みつけ、グリズリーに相対した際に絶対にしてはいけないことのひとつと言われている、全速力での逃走を敢行していた。グリズリーの横を通り過ぎる際、視界の右端でそいつがのそっと動いたのが見えた。「ああ、殺される。」私は何も考えずただひたすらに自転車を200mくらい全力で漕いだ。恐る恐る後ろを振り返ると、幸いそいつの姿はなかった。私は何とか一命をとりとめた。小動物が、私の犠牲になってくれたのだった。


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以上になります。
いかがでしたでしょうか。

最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

Part2あります


あ、本業は市場分析屋です。
色んな業種の市場分析やってます。


モチベUP記事たくさん書いてます。


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